コラム

マイホームと賃貸はどっちがお得?~マイホーム VS 賃貸を徹底比較~

家賃が勿体ないからマイホームを購入する。

これは安易すぎる発想であり、極めて危険です。

マイホームは資産になるし、みんな購入しているので購入しよう!

と思っているのであれば、購入のリスクも正確に理解しておくべきでしょう。

今の時代、マイホームを買わないという選択もありますし、賃貸とマイホームを比較し、必ずしもマイホーム購入がお得にはなりません。

自分の置かれた状況を踏まえて、購入のリスクも踏まえて、最善の決断をすべきでしょう。

—書籍より抜粋—

絶対に知られたくない! 不動産屋の儲けの出し方 [ 斎藤智明 ]

「お家賃同等の金額で買えます」の是非

家賃と購入どちらが得かの論争の正解はどこにあるのか?

どちらが得かという争点を「お金」というモノサシで測ることが多いのですが、私は「どちらが得か?」と聞かれると、その方の「家族構成」「生活スタイル」「性格」によって選択は大きく異なってくるため、一概にこちらがお得ですよとは言い切ることは致しません。

仮にお金で比較するとした場合、月々11万で30年住んだ場合を考えると、変動金利にした場合は変動幅もありますが、11万の家賃とローン返済のコストを30年間でシミュレーションすると、ローン返済の方がコストは高くなります。

マイホームは本当に資産になるのか?

マイホームは、買い方次第では資産になります。

しかし、買い方を間違えると資産になるどころか、本来貯蓄できていたはずの資金も吹き飛ばします。

買い方とは、

・価格

・立地(場所)

を指します。

・中古相場を正確に把握した上で、妥当な金額で購入できているか

・中長期的に需要のある立地で購入できているか

という2点で間違いを起こさなければ、マイホームは資産になる可能性があります。

しかし、残念なことに、マイホームは「欲しい」気持ちが先行しがちであるため、十分な調査を行わず、結果として高値で購入してしまうケースが後を絶ちません。

立地が悪ければ最悪です。

マイホームはどうしたら資産になるのか?

高く買わない事です。

これはマイホームだけではなく、不動産投資においても同じです。

失敗する人の、ほぼ全員が高く買い過ぎています。

「高く買う」とは、本来3,000万円の価値しかない物件を、4,000万円で買ってしまう行為を指します。

不動産業者は、本来の市場価値からかなりの金額を上乗せして販売しているため、注意が必要です。

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都心に、妥当な価格で買う。

これができれば、マイホームを資産にできる可能性が出てきます。

最も注意すべきは、都心部から少し外れた戸建てで駅から離れているケースです。

資産の観点では、売れる価格を意識しておく必要があります。

ローンを支払い終えた後、その戸建てやマンションの

売れる値段が、ローン支払い期間で増やしたとされる資産

になります。

7,000万円で物件を購入したとします。

35年かけてローンを全て支払い終えました。

金利も含めると、支払い総額は11,000万円です。

この物件の売れる値段は、3,000万円だったとします。

すると、11,000万円支払って、3,000万円の資産が残った。

ということになります。

非常に残念ですが、35年前後経過した戸建てやマンションの価値は、よほど好立地でない限り、あまりありません。

戸建ての場合は、土地のみの値段が資産となります。

戸建ての難易度は高く、都心だと値段も高額になることから、郊外に購入せざる得ないケースが大半です。

郊外に戸建てを購入するのであれば、少しでも都心寄りにマンションを購入しておいた方が、35年後の資産価値は維持できるでしょう。

35年かけてローンを払い終えても、価値のない土地を所有しているのでは、意味がありません。

マイホーム購入のリスク

マイホームは、「欲しい」という気持ちが先行するため、リスクと真剣に向き合わずに購入してしまう人が多いと感じます。

マイホーム購入には、どのようなリスクがあるのでしょうか。

・35年間も今と同じ給与が安定して貰える保障はありますか?

・35年も同じ家に住み続けると言い切れますか?転勤があったりはしないですか?

子供の学校が合わずに住む場所を変えたくなることはないですか?

隣人に問題があり、離れたいと思うことはありませんか?

・購入価格から見ると、金利を含めた支払い総額は、かなり高額になることを把握していますか?

・金利上昇リスクを真剣に考えていますか?目の前の支払い額だけで判断していませんか?

・固定資産税、管理修繕積立金などが別途かかることを理解していますか(戸建ての場合は各種建物修繕)?

怪我や病気になって今まで通り働けなくなることはないですか?

35年後のマイホームに資産価値があると思いますか?

家賃が勿体ない、というだけでマイホームを購入するには、リスクが高すぎます。

多くの人は、物件の購入価格を引き合いに出しますが、これは違います。

金利を含めた支払い総額で判断すべきなのです。

支払い総額は、思ったより高い金額になっているのではないでしょうか。

購入価格が5,000万円であっても、金利が2%で35年のローンを組むと、支払い総額は約7,000万円になるのです。

すると、5,000万円として計算するのではなく、7,000万円で計算し直す必要があります。

 

また、晩婚化もあり、マイホーム購入の年齢も上がっています。

35年ローンを組んで購入した時の完済年齢が60歳を超えているケースも珍しくありません。

60歳を超えると、再雇用はあるものの、給与は半分以下になるでしょう。

雇用が延長されても、給与総額は変わらないので、現役時代の給与を減らし、その分を補足長く定年後の再雇用分に充てるような形にシフトするでしょう。

ローンの支払額は変わらないので、60歳以降のローンは、確実に苦しくなるはずです。

退職金で完済します!

というのも安易です。

退職金がそもそも出るかもわかりません(倒産していたらどうなりますか?)。

長い老後も待っています。

退職金の大半をローンの返済に充てると、その後の生活がひっ迫する恐れもあります。

このような観点から、組む住宅ローンの額と期間は慎重になるべきでしょう。

私が主張していることを解説してくれている動画があるので掲載しておきます!
↓ ↓ ↓ ↓

マイホーム VS 賃貸を比較

マイホームは、必ずしも資産になるとは限らず、結果的に賃貸で住み続けていたほうが得になるケースもあります。

そしてほとんどの人が、そのケースに陥ります。

なぜなら、大半の人は、買える値段の関係から、都心を選択できていないからです。

中途半端な立地では、資産価値を維持できません。

35年間賃貸の場合と、マイホームを購入した場合で比較してみたいと思います。

条件は以下とします。

【条件】
物件価格:5,000万円
支払い総額:7,000万円
金利:2%
期間:35年
35年後の資産価値:2,000万円
(※)家賃設定:11.7万

(※)35年間で総額7,000万を支払い、2,000万の資産が残ったと仮定すると、35年間で2,000万円貯蓄したのと同じです。

35年間で2,000万を作るためには、毎月4.8万円貯金する必要があります。

5,000万円のローンを上記条件で借り入れた場合、毎月のローンは16.5万になります。

賃貸側は、4.8万円を毎月貯蓄する必要があるため、16.5万 – 4.8万 = 11.7万が、マイホーム購入組と同じレベルを維持するために支払える家賃となります。

引き分け

35年後に残せる資産が、マイホームと賃貸で同額になるケースです。

マイホームVS賃貸
マイホーム 万円 賃貸 万円
購入価格 5,000 購入価格
支払い総額 7,000 支払い総額
ローン(月) 16.5 賃料(月) 11.7
貯金(月) 貯金(月) 4.8
完済後資産 2,000 貯金総額(35年) 2,000

《マイホーム》

35年経過した後、5,000万で買った物件が2,000万になっており、7,000万の支払い総額に対して、2,000万の資産を残したことになります。

すると35年間で、結果的に居住コストとして、5,000万円かかったことになります。

実際にはこれに加え、多くの修繕費や固定資産税など支払いがあります。

購入時と売却時には、仲介手数料など不動産売買に関わる費用もかかります。

こちらも無視できないほど大きな金額です。

《賃貸》

家賃11.7万で毎月4.8万円貯蓄すれば、支払い額はマイホーム派の毎月のローン16.5万と同じになり、35年間での貯蓄は2,000万になります。

双方がこの関係を維持できれば、数字的には引き分けになります。

賃貸側は35年後にマイホームがないのでは?

と思うかたもいるかもしれませんが、築35年の住宅を現金2,000万円で一括購入すればマイホーム側と同じ状況になります。

まとめ

前述した条件を少しでも賃貸側が上回れば、賃貸で35年生活していたほうが良かった、ということになります。

賃貸は、転勤や突発的なアクシデントにも柔軟に対応できます。

マイホームは資産になるとは限らず、資産にすることは容易ではありません。

まず、35年間マイホームを保有して、ローンを完済する必要があります。

実際は、35年経過せずに売却する人も多いのではないでしょうか。

その時、売却してもローンだけが残るリスクも考慮しておいてください。

マイホームは、新築が好まれますが、新築は高額な場合が多いため、よほど安いと判断できる時期(景気が著しく悪い)以外は避けるべきであり、中古から選択するほうが賢明です。

仮に、内装に問題があれば、リフォームをかけるほうが、新築を購入するよりもはるかに安く済みます。

中古のマイホームも選択に入れて比較検討してみてください。

新築を購入し、偶然にも価格が落ちずに売れるまたは買った値段よりも高く売却できる、というケースもゼロではありません。

マイホームは、

・高ければ買わない!

・安くなったら買う!

安くならなかったら賃貸のままで良い!

と考えて物件の購入を見極めてください。

「賃貸のままで良い」は、立派な選択なのです。

時代は変わっています。

土地を持ち、その価値が上昇すると考えられていた昔とは違います。

郊外の土地は著しいペースでその価値を失っています。

資産どころか負債です。

・売れない

・貸せない

・税金ばかりかかる

というお荷物物件になる可能性が高く、立地には最大限注意を払って購入しない限り、マイホームは資産にならないでしょう。

郊外の売れない不要な土地であれば、相続するするときも、喜ばれません。