保有編

【不動産投資】現金が命!~物件総額10%の現金でリスクに備えよ~

不動産投資で一番重要なのは、現金です。

現金があれば不動産が買えます。

現金があれば、万が一の際、耐えられます。

どの程度、現金を持っておけば良いのでしょうか。

ここでは、所有物件総額の10%とします。

2億円の物件を持っている場合、手元の現金は2,000万円にしておくということです。

不動産投資は中毒症状

不動産は、上手く持てると、次から次へと欲しくなります。

買った瞬間から手元のキャシュフローが増え、自分の収入は上がり、総資産と純資産がどんどん増えていきます。

すると、中毒症状のように、次から次へと欲しくなるのです。

買えば買うだけ、自分の生活が即座に楽になるので、わからなくもありません。

買付を入れ、決済を迎え、家賃が振り込まれるようになると、すぐに次を買いたくなります。

ほとんど時間を空けずに複数購入している人も少なくないのではないでしょうか。

それほど不動産投資は魅力的であり、数多く所有したくなるものです。

但し、過激な買い増しは危険です。

過度な買い増しを避けるために、物件総額の10%を現金で持っておく運用を心がけると良いと思います。

物件総額の10%という数字は容易ではない

なんだ、

物件総額の10%か、

と思われるかもしれません。

しかし、次から次へと欲しくなる人にとっては、なかなか実現が難しい数字なのです。

物件総額の10%とは、物件購入後に10%の現金を持っている状態を指します。

これが結構難しいのです。

【例】

物件価格:5,000万円

物件総額:5,000万円

自己資金:1,000万円

頭金:300万円

購入諸費用:400万円

ローン残債:4,700万円

自己資金残高:300万円

自己資金1,000万円に対し、頭金で300万円、購入諸費用で400万円の合計700万円を使っています。

すると、自己資金残高は300万円になります。

購入した物件が5,000万円なので、その10%は500万円です。

自己資金残高が500万円であれば、物件総額の1割は現金を持っていると言えます。

今回は、200万の不足でした。

まだ補えそうな範囲です。

なんだ、いけるじゃないか、と思います。

しかし、2棟目、3棟目と購入が進むと、物件総額の10%を現金で持っておくのが極めて難しくなってきます。

1棟目の購入が終わった時点で、物件総額5,000万円、自己資金残高300万円です。

1棟目の購入が終わると、家賃収入が入ってきます。

手元にお金が沢山残るようになります。

すると、貯金も増えます。

・不動産ってすごいな

・もっと欲しいな

前述した中毒症状に突入です。

さて、仮に2棟目も同じ条件で購入に至ったとします。

自己資金は、毎月不動産が生むキャッシュフローを貯めた結果、1,000万円に到達したとします。

物件価格:5,000万円

物件総額:1,0000万円

自己資金:1,000万円

頭金:300万円

購入諸費用:400万円

ローン残債:9,400万円

自己資金残高:300万円

ポイントは、物件総額が増えているにも関わらず、自己資金残高は増えていないというところです。

2棟目、3棟目が次から次へと欲しくなる人が陥りやすくなるパターンです。

短期的に、一気に買い増しをしているオーナーなどは、購入のほとんどがフルローンです。

10億円の総資産があっても、同額に近い負債を抱えています。

このような状態では、物件総額の10%を現金として持っておくことはできないでしょう。

それでは、なぜ手元に現金を持っておく必要があるのでしょうか。

リスクへの備え

不動産投資は、想像以上に費用がかかります。

ほとんどの場合は、購入前に想像していたキャッシュフローを実現できないと思います。

どのようなリスクに備えておくべきなのでしょうか。

修繕費

区分マンションにはあまり関係ありませんが、不動産投資の醍醐味である1棟物件になると、修繕費を考慮しておく必要があります。

区分マンションでは、管理費と修繕積立金がマンションごとに決められており、1人のオーナーが自由に金額などを決めることができません。

しかし、1棟物件の場合、建物管理も修繕も、オーナーの自由です。

毎日アパートの共有部分を掃除することもできれば、1年間何もせずに放置することもできます(勿論、入居者からクレームがくることでしょう)。

修繕積立金という概念がないので、自分で計画して資金を貯めておく必要があります。

1棟物件で建物に問題が生じると、数百万単位で修繕費がかかります。

大規模修繕と呼ばれる定期的な修繕でも、数百万円規模の費用がかかります。

※火災保険を有効活用して大規模修繕を行う方法もあります。

詳しくはこちら

手元に現金がない状態だと、いざ修繕が必要になったとき、資金が不足するという問題が生じます。

不備を修繕できないとどうなりますか。

入居者が離れる

新しい入居者が付かない

家賃収入が減る

手元に残る現金が減る

修繕に充てられるお金が無くなる

アパートがさらにボロボロになる

という、負のスパイラルに陥ります。

入居者の立場で考えるとわかります。

同じような家賃で、建物の綺麗なアパートと、汚いアパートを比較した場合、綺麗な方に入居したくなるのは当然です。

見た目が綺麗に維持されている方が、入居者の満足度は上がります。

それほど定期的な建物の修繕は重要であり、計画的に現金を残しておく必要があるのです。

金利の上昇

不動産の収支が一気に悪化する要因があるとすれば、金利の上昇です。

これは非常にインパクトが大きいにも関わらず、あまり認識されていません。

低金利に慣れている状態で、いきなり金利が上がると、黒字幅が削られるだけでなく、赤字に陥る人もいるでしょう。

金利が上昇すると、収支の悪化は必然であり、そこを耐えるだけの現金が必要なのです。

次の物件が買いやすくなる

手元にしっかりと現金を確保しておと、次の物件が買いやすくなります。

銀行は、資産のある人と無い人を比べた時、ある人に貸すのは当然です。

預貯金が2,000万円ある人と、300万円しかない人では、評価が違って当然です。

初めて不動産投資をする人にも言えることですが、既に収益物件を複数保有している人に対する金融機関の見方は厳しくなるため、現金を持っているという強みを活かさない手はありません。

資産と負債のバランスは重要であり、純資産比率の高い運用は好まれます。

純資産の中でも、現金は最高評価です。

最高評価の現金をしっかりと手元に持っておき、コツコツ堅実に総資産と純資産を増やしていく買い方をお勧めします。

まとめ

黒字倒産という言葉があるように、手元の現金がなければビジネスは成立しません。

不動産は経営です。

経営者として、現金を手元に確保しておく必要があります。

1億円の物件を持っている場合は、手元に1,000万を確保、2,000万の物件を持っている場合は、手元に200万は即動かせる現金を確保しておいてください。

物件総額の10%を現金で常に確保しておくのは、実はなかなか大変なのです。

実際に何棟も不動産を持っている人であれば分かると思います。

しかし、何が起きるか分からない不動産投資では、爆買いではなく、手元の現金と相談した上で、堅実に買い増した方が失敗しないでしょう。