「利回り・エリア・物件価格・キャッシュフロー」という4つの指標は、不動産の良い悪いを見極める上で重要です。
その大原則を理解していますか?
頭ごなしに、
・3,000万円は高い!2,000万円が安い!
・キャッシュフローはプラス〇〇円の方がいい!
・都心6区がいい!
という絶対的な数字やエリアで判断したりしていると大変危険です。
不動産には、他の投資と同じ大原則が当てはまります。
今回は、
・利回り
・エリア
・物件価格
・キャッシュフロー
の関係性についてです。
これらを頭で理解しておかないと、ダメな物件が良く見えたり、良い物件がダメに見えたりします。
また、完璧で理想の存在しない物件も求めてしまうことになるでしょう。
好立地で高利回り!
なんてあるわけないのです(不動産業者間では、「ファンタジー物件」なんて呼ばれたりしています)。
その理由は、記事を読めば理解できるようになります。
投資の大原則に関わる話です。


投資の大原則とは?

投資の大原則は何でしょうか?
リスクとリターンは表裏一体の関係にある
ですね。
これは何かというと、リターンが高ければ、相応のリスクがある、ということです。
リターンが低ければ、その分リスクも下がります。
これは、当たり前の話です。
頭ではわかっているつもりでも、多くの人は、
そこそこ大きなリターンが見込めて、極力リスクの低いものがいい
という理想を抱きます。
ここに落とし穴があるのです。
低リスクを望むこと自体理解はできますが、その場合、リターンはあまり見込めない商品を選択する必要があります。
リターンは大きいですよ!そしてリスクもほとんどないですよ!
という商品は、騙し系(詐欺)だと思って間違いないです。
誰でも簡単に儲かります!
などという甘い言葉に引っかかると、財産を一瞬で失うだけでなく、最悪の場合は借金だけが残るような状況にもなるでしょう。
FX、株式、仮想通貨など、色々な儲け話が多く飛び交う中で、それに飛びつくようでは、大切な資産を最終的には飛ばすでしょう。
「損はしません!」、は投資ではありえません。
そして、楽して儲ける方法はありません。
投資の大原則は、リターンがあれば、それ相応のリスクが必ずある、というものであり、リターンが大きいのにリスクがない、という商品は実在しない、というものです。
これを不動産に置き換えると、利回り・エリア・物件価格・キャッシュフローの関係性が見えてきます。
利回りとエリアの関係
東京都港区の物件と、ド田舎の物件であれば、どちらが欲しいですか?
投資として需要があるのは、東京都港区の物件です。
需要が高くて、入居者が簡単に見つかって、多くの人が欲しいと思っているのであれば、それはリスクが低いと判断されます。
投資商品として値段は下がりにくいですし、需要があることは不動産投資では非常に重要です。
すると、価格を無視して語るのであれば、それは港区で不動産投資ができるならとても良いでしょう。
東京都港区は需要があるのでリスクが低い
ということは、リターンも低くなるのです。
前述した投資の大原則はここで出てきます。
東京都港区で利回り10%超えの1棟物件が欲しい!
といっても、そんなものは出てきません。
リスクが低いエリアの物件は、リターンも低く出てくるからです。
不動産投資のリターンは、利回りです。
よって、東京都港区の不動産は、利回りが田舎に比べて確実に低くなるのです。
好立地の方が、良い収支が出にくい、ということです。
逆に、田舎の物件であれば、そもそも需要があるか将来的にも不明で、次欲しい人が出てくるかもわからない、という観点から、リスクが高くなります。
すると、リターンである利回りも高くなるのです。
不動産で見る利回りは、リスクを表現しているものといってもいいでしょう。
利回りが低い立地であれば、それはリスクが低いのです(要するに需要のある好立地エリア)。
好立地で高利回り、は存在しないのです。
まずはこの観点で現実的な検討ができるようにならないと投資家として失格です。
〇利回りを求めるので、多少エリアは妥協する
なのか
〇利回りはあまり求めないので、好立地で攻める
のどちらかしかありません。
東京と大阪、札幌、福岡などの物件を比較する際も考え方は同じです。
日本No1は間違いなく東京です。
不動産価格がそれを物語っています。
これを今回のロジックに当てはめるとすると、大阪、札幌、福岡の物件の方が、東京の類似物件よりも利回りが高くないといけないわけです(収支が良くないといけない)。
勿論、東京でも需要が弱いところもあれば、その他の地域でも超好立地と呼ばれるようなところもあるので、一概には言えませんが、エリアというのは地域にも該当するのです。
また、築年数が経過していれば、その分利回りは高くなる、ということも頭の片隅に置いておいてください。
同じ東京都港区で類似物件があったとします。
築2年の物件と築30年の物件であれば、築30年の物件の方が利回りは高くて当たり前です。
物件価格とキャッシュフローの関係

年間のキャッシュフローは300万円も出ているんです!
と自信満々に言われたことがあります。
しかし、これだけ聞いてもすごいのかどうかはわかりません。
そこで登場する判断指標の一つが、借入額です。
どのくらいの物件を購入し、そのくらいの借入があり、その結果としてキャッシュフローが年間300万円なのか、です。
次の2名で考えてみましょう
【Aさん】
物件価格:1億円
借入額:9,000万円
年間キャッシュフロー:300万円
【Bさん】
物件価格:3億円
借入額:3億円
年間キャッシュフロー:300万円
どちらが安全だと思いますか?
キャッシュフローが同じなので、物件購入価格と借入が額がともに低いAさんの方が安全です。
1億円の物件に対して年間のキャッシュフローが300万円なので、売買価格からみるキャッシュフロー率は3%です。
Bさんは物件の購入価格が3億円に対してキャッシュフローが300万円なので、売買価格からみるキャッシュフロー率は1%です。
当たり前の話ですが、どのくらいの価格の物件を購入しているのか、でキャッシュフローは違って当然です。
物件価格が大きければ、その分それ相応にキャッシュフローが出ていないといけないのです。
最初に書いた
年間のキャッシュフローは300万円も出ているんです!
という人はBさんでした。
少し不動産がわかる人であれば理解いただけると思いますが、3億円の物件を買って年間のキャッシュフローが300万しか出ていないというのは、失敗の典型例といっても過言ではないでしょう。
キャッシュフローが売買価格から見てあまりにも少なすぎます。
このように、物件価格が高くなれば、その分キャッシュフローは出る、ということなのです。
全ての関係を理解して妥協点を探る
・立地がいいと利回りが低くなる
・物件価格が上がるとキャシュフローが多くなる
という2点は重要な概念です。
簡単で当たり前のようですが、多くの人は腹でしっかりと理解できているとは思えません。
結局立地もよくて利回りも高くて、少ない現金で多くのキャッシュフローが得られる物件が欲しい、という求め方をする人が多いと感じます。
投資の大原則が理解できていないので、このような人は投資で逆に失敗する可能性が高いでしょう。
大原則が理解できていない人に対しては、理想の商品があるかのごとく迫ってくる人がいますが、それらは罠です。
被害にあわないためにも、投資の大原則は理解してくべきでしょう。
どのようなものを求めるのか、軸を決めた方が物件探しはスムーズです。
・利回りとキャッシュフローを求めるので立地で妥協する!
・好立地が欲しいので利回りとキャッシュフローは少し我慢する!
のどちらかです。
自己資金がそこまで潤沢でない人は、利回りを求める傾向があるので、立地で妥協する必要があるでしょう。
資金力のある人は、そもそも投資の大原則は理解しているので、利回りが低くても好立地を選択している傾向にあります。
売買の現場では、この2極化が顕著です。
全てにおいて理想を求める行為は、不動産投資に限らず、現実的ではないのです。
まとめ

利息が10%の定期預金がいいです!
という人が日本でいたらどう思いますか?
「そんなもんねーよ」ってなりますよね?笑
定期預金はリスクが低い投資商品なので、リターンも低いのです。
これは当たり前の話です。
・立地が良ければ利回りは下がる
・物件価格が上がればキャッシュフローが増える
逆に、
・立地が悪ければ利回りは上がる
・物件価格が下がればキャッシュフローも減る
です。
不動産投資ではこれが当たり前です。
現実的な目線で、理想を求めすぎずに物件を見ていくことで、不動産投資の道は開けていくでしょう。
理想ばかり求める人は、現実的ではないので、時間ばかりが過ぎていて、結局何も現状変わってないことのほうが多いものです。
これでは勿体ないです。
時間の無駄です。
自分の想像している通りの状態で買えないな~
ではなく、それはあなたの「無知」が原因で、存在しない理想の状況を求めているだけです。
現実的な視点を持って何事も挑むと良いでしょう。
タイムイズマネーです。