この記事を書いた人
船橋寛之(ふなばしひろゆき)
1984年生まれ。
ドイツ育ちの不動産投資家。
不動産投資歴16年。
立教大学 経済学部卒。
リーマンショックの時に新卒で区分マンションを購入し、東京23区を中心に最大6棟55部屋を所有。
大和証券、大和総研に11年間勤務後、不動産コンサルタントとして独立。
現在は年間20億円以上の「非公開物件」仲介を行う。強みは「物件情報力」で、経験を活かしてセミナー講師や執筆活動にも携わる。
私生活では子供3人を育てる「ほぼ主夫」。
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高配当が狙える米国株投資の人気が高まるなか、「米国株はやめとけ」といった否定的な声を耳にしたことがあるかもしれません。
米国株投資には投資コストや為替リスクといったネガティブな側面もありますが、長期的に成長し続けている魅力的な投資先ともいえるでしょう。
この記事では、米国株投資がおすすめできない8つの理由と、米国株投資のメリット、リスク対策まで解説します。
米国株投資を迷われている方はぜひチェックしてください。
Contents
「米国株はやめとけ」といわれるのはなぜ?8つの理由

世界最大の市場規模でグローバルな優良企業が名を連ねる米国株式市場ですが、米国株への投資には「リスク」や「暴落」といった不安要素も見受けられます。
「米国株はやめとけ」といわれるのは、以下のような8つの理由が考えられます。
- 配当金には二重課税が発生する
- 値幅制限がなく株暴落時のリスクが大きい
- 為替の変動リスクがある
- カントリーリスクがある
- 売買手数料が日本株より割高になる
- 取引時間がサマータイムで変動する
- 日本株に比べ情報収集が難しい
- 米国株には株主優待がない
米国株投資に取り組む前に、リスクやデメリットをしっかり理解しておきましょう。
1.配当金には二重課税が発生する
米国株投資では、受け取った配当金が米国と日本の両方で課税されます。
この二重課税によって手元に残る利益が少なくなる点は、米国株投資のデメリットといえます。
税金は本当に色々高いよね・・・
配当金にかかる配当課税の税率は、以下のとおりです。

米国株投資で得た配当金は、まず米国内で10%の税率で課税されます。
そして、納税した残りの部分に日本での税率20.315%が課税されるため、トータルでは配当金の約28%を税金として支払わなければなりません。
2.値幅制限がなく株暴落時のリスクが大きい
米国株には値幅制限がないため、株価が暴落した際に大きな損失を受けるリスクがあります。
値幅制限とは、株価が急激に値動きしないように1日の値幅が一定の範囲に制限されることです。
投資家の保護を目的に実施されます。
値幅制限のない米国市場では、日本市場にあるストップ高やストップ安がありません。
ただし、株価の下落幅が基準を超えた場合には、相場を安定させるために一定期間取引を停止させる制度が設けられています。
米国株は日本株以上に株価が大きく上下する恐れがあり、ハイリスクハイリターンな投資といえるでしょう。
3.為替の変動リスクがある
米国株への投資でネックとなるのは、為替の変動リスクです。
日本円と外貨の為替レートの変動によって外貨建て資産の価値が変動することが、為替変動リスクです。
米国株投資で利益が出ていたとしても、購入時よりも円高が進んでいれば、円に換算したときには損失になってしまう恐れがあります。
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一方で、円安のタイミングで受け取る配当金や売却益は、円高のときよりも増加します。
米国株投資では、投資の成果が為替相場にも影響を受ける点を理解しておきましょう。
4.カントリーリスクがある
カントリーリスクは、投資先の国の政治・経済情勢が不安定になり、保有する資産が影響を受けるリスクのことです。
カントリーリスクの要因には、以下のような事例が挙げられます。
- 政権交代や政府の汚職
- 急激なインフレ、国債の債務不履行
- 戦争や内乱、テロ
- 地震や津波などの大規模な自然災害
一般的には、成長率の高い新興国のほうがカントリーリスクが高いといわれています。
しかし強い経済をもつ米国であっても、政治的分断や国際問題への支援などがカントリーリスクとなる可能性も考えられます。
5.売買手数料が日本株より割高になる
購入や売却などの取引にかかる手数料が割高になる点が、米国株投資のデメリットといえます。
米国株の取引には以下の手数料がかかります。
- 売買手数料
- 為替手数料
株式の売買時に発生する売買手数料は日本株の取引でも必要となりますが、米国株取引のほうが割高な設定です。
最近の日本株は無料になってるもんね
為替手数料は、円を外貨に交換するときに支払う手数料です。
「円からドルへ」「ドルから円へ」の両替時に必要となりますが、証券会社ごとに定められた為替手数料は取引時の為替レートに含まれています。
6.取引時間がサマータイムで変動する
米国の株式市場にはサマータイムが導入されている点も注意が必要です。
サマータイムの期間中は、通常の取引時間から1時間前倒しして市場での取引が開始されます。
米国市場の取引時間は以下のように変動します。

米国では1年のうちの半分以上がサマータイムにあたります。
株式市場の取引時間が季節によって変動するのは、日本株にはない特徴です。
7.日本株に比べ情報収集が難しい
適切な投資判断には情報収集が欠かせませんが、米国株に関する情報は日本株に比べて手に入りにくいといえます。
日本株や日本企業については、企業の公式サイトや会社四季報といった信頼できる情報にアクセスしやすい環境が整っています。
一方、米国企業の詳しい情報を自力で調べるには、英語力がなければハードルが高いかもしれません。
ただし米国株に関しては、証券会社が提供するレポートや米国株版の会社四季報など活用しやすい情報も増えています。
ほかの外貨投資よりは情報を集めやすいといえるでしょう。
8.米国株には株主優待がない
米国株では、日本株で人気を集めるような株主優待制度はありません。
株主還元に積極的な米国企業ですが、株主優待ではなく配当金による還元を重視しています。
年4回の配当金を出したり連続増配を続けたりと、高配当が狙える銘柄も多数あります。
日本には優待好きが多い!!
配当金でしっかり還元してもらえるのが米国株の魅力ですが、日本株のように株主優待でプレゼントがもらえるお得さは味わえません。
米国株:過去30年のチャートと暴落の歴史

つぎに、リスクが多い米国株への投資を考える判断材料として、米国株と日本株の過去30年の推移を比較してみましょう。
以下のグラフは、1991年11月終値を100として指数化したものです。

出典:auカブコム証券「日本株と米国株~過去30年の株価の推移は~」
米国株を代表する株価指数であるNYダウ平均は、大きな浮き沈みがありながらも成長を続け、とくにここ10年ほどで著しく上昇しています。
一方の日経平均は、NYダウの成長ぶりと比べると、バブル崩壊後の30年間ほぼ横ばい状態だったといえるでしょう。
グラフからもわかるように、米国株市場は相場暴落をこれまでに何度も経験しています。
しかし暴落が起こり低迷が続いても、相場は再び回復し、さらなる成長を遂げています。
株式市場の流れを知るためにも、過去に起こった大暴落について、原因や回復までにかかった期間などをチェックしておきましょう。
ブラックマンデー(1987年)
米国株式市場の暴落でまず押さえておきたいのは、1987年10月19日のブラックマンデーです。
1日のあいだにダウ工業株30種平均が22.6%も下落し、その影響は日本を含めた世界各国に広まり世界的な株安を引き起こしました。
ブラックマンデーが起きた原因は、米国が当時抱えていた財政と貿易における「双子の赤字」や、ドル安への打開策の失敗など複数の要因が重なっていると考えられています。
一方で、迅速な経済対策によって株価暴落の影響拡大は食い止められ、米国経済の成長はその後も続いていきました。
ITバブル崩壊(2000年)
2000年にはITバブルの崩壊により株価の暴落が起きました。
暴落が起こる前の1990年前半からIT関連銘柄は上昇傾向にあり、IT株を多く含むナスダックの株価指数は、1998年から2000年初頭のあいだに4倍近くも急騰していました。
世界的なIT企業となったアップルやアマゾンも、このITバブルの時期に株価を大きく上昇させています。
しかし、FRBの米ドル利上げをきっかけに借入がしづらくなり、株の売却が進んでITバブルの崩壊へとつながりました。
その後2001年9月には同時多発テロが起こったこともあり、2年間ほど下落傾向が続きます。
米国株式市場の全体的な値動きの指数であるS&P500の推移からは、ITバブル崩壊からの回復までに5年ほどを要したことがわかります。
リーマンショック(2008年)
100年に一度の経済恐慌ともいわれたリーマンショックは、米国の大手投資銀行リーマン・ブラザーズの破綻をきっかけに2008年9月に起こった金融危機です。
これは知ってる人多いよねきっと
当時好景気にわく米国では住宅ブームが過熱し、低所得者向けの住宅ローンであるサブプライムローンが急速に広がっていました。
しかし住宅ブームにかげりが見え始めると、サブプライムローンの返済が困難になる債務者が続出し、リーマン・ブラザーズは多額の不良債権を抱えて倒産してしまいます。
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その結果、ほかの大手金融機関も連鎖的に経営危機に陥ったことから、世界的な大不況へと発展していきました。
S&P500の推移をみると、下落が続いた期間は1年5か月、直近の高値まで回復するには4年以上かかったといえます。

米国株投資の5つのメリット

米国株投資にはいくつかのリスクやデメリットがある一方、さまざまなメリットもあります。
- 市場は長期にわたり上昇傾向にある
- 米国株は1株から購入できる
- 日本市場に比べ流動性が高い
- 優良企業や成長性が高い企業が多い
- 金や原油などのETFが充実している
多数の優良企業が上場する米国市場には、世界中の投資家が集まっています。
米国株市場で投資するメリットを詳しくみていきましょう。
1.市場は長期にわたり上昇傾向にある
前出のグラフのとおり、ここ30年のあいだ日本株の相場(日経平均)がほぼ横ばいであるのに対し、米国株(NYダウ平均)は右肩上がりで上昇を続けています。
何度も危機に直面しながらも長期にわたって良好なパフォーマンスを出している米国株は、今後の成長にも期待ができます。
また米国株式市場は世界最大規模であり、世界の株式時価総額のうち約48%を占める存在です。
世界をリードする米国株への投資は、より大きな利益を得られる可能性が高いといえるでしょう。
2.米国株は1株から購入できる
米国株のほとんどが1株から購入できるのも嬉しいポイントです。
日本株の場合、基本的には100株単位などまとまった単位でしか購入できません。
株価にもよりますが、数十万円ほど必要なケースが多いでしょう。
一方の米国株は1株から購入できるため、数千円~数万円といった少ない資金から投資を始められます。
さまざまな銘柄へと分散投資もしやすくなるため、初心者でもトライしやすいでしょう。
3.日本市場に比べ流動性が高い
米国株投資のメリットには、流動性の高さも挙げられます。
米国株式市場には世界中の投資家が集まり取引が活発に行われているため、売買したいときにすぐに取引が成立しやすいです。
さらに、日本市場では「ストップ高」「ストップ安」で取引が停止される値幅制限のルールがあり、急激な値動きが回避される一方で流動性を低下させる一因にもなっています。
取引量が多く値幅制限がない米国市場で取引される米国株は、日本株より売買が容易で現金化しやすい点でリスクを軽減できます。
4.優良企業や成長性が高い企業が多い
世界に展開するグローバル企業が多数上場している米国市場は、高いリターンを狙える投資先が多い点も魅力です。
たとえば、マイクロソフトやグーグル(アルファベット)など、世界の成長をけん引するような超大手企業にも投資が可能です。
ファイザーやジョンソン・エンド・ジョンソンなど、安定して連続増配を続ける老舗優良企業も多数あります。
また、ベンチャー企業への支援体制が充実している米国では、将来的な成長が見込める企業に投資して大きなリターンを狙える可能性も高まります。
5.金や原油などのETFが充実している
米国株式市場のメリットとして、さまざまな種類のETFが購入できる点も挙げられます。
ETFとは、特定の指数に連動する成果を目指して運用される投資信託の一種です。
通常の投資信託と異なるのは証券取引所に上場している点で、株式と同じようにリアルタイムで変動する価格で売買が可能です。
ETFは株式の指標と連動させるものだけではありません。
米国市場では、金や原油などの商品価格に連動するETFも充実しています。
金や原油のETFは、株式とは違う値動きをする点が特徴です。
実物資産への投資となるETFが株式市場で購入できるため、投資先を分散しリスクヘッジが図れます。

「やめとけ」といわれる米国株投資のリスク対策

大きなリターンが期待できる一方でリスクも大きいのが米国株投資です。
失敗を回避するには、以下のようなリスク対策を立てて投資に取り組むことが大切です。
- 投資目的を明確にして自分に合う商品を選択する
- 分散投資・長期投資を心がける
投資目的が明確でなければ、自分に適した投資商品を選べません。
投資する資産の使い道や現金化したいタイミングに適した商品でなければ、思い描くような資産形成ができない恐れもあります。
また、投資リスクを抑えるには、投資先を分散させた長期的な運用がおすすめです。
投資初心者であれば、個別銘柄よりもETFやインデックスファンドなどを利用したほうが、分散投資しやすいでしょう。
毎月一定額を積立投資することでも、購入するタイミングを分散する効果を得られます。
さらに、為替や価格の変動リスクを抑えるには長期にわたる投資が有効です。
すぐに使う予定のない余剰資金での投資であれば、焦って現金化する必要がないため、長期的な保有がしやすくなるでしょう。

まとめ

配当金の高さが魅力の米国株ですが、「やめとけ」といった意見も見受けられます。
米国株への投資は、株価暴落時のリスクや為替変動リスク、投資コストの高さなど、多くのデメリットが存在するのも事実です。
しかし、米国株は日本株よりも圧倒的に成長し続けています。
過去30年間における米国株の推移をみると、大暴落が起こっても数年以内に株価は回復し、さらなる上昇を繰り返していることがわかります。
世界をリードしながら長期で成長し続ける米国株式市場は、流動性が高く、世界的な優良企業や成長性の高い企業への投資ができる魅力的な市場です。
米国株投資で成果を上げるには、リスクを理解したうえで対策を立てることが重要です。
自分の目的に合った商品選びや分散・長期投資を心がけましょう。
