この記事を書いた人
船橋寛之(ふなばしひろゆき)
1984年生まれ。
ドイツ育ちの不動産投資家。
不動産投資歴16年。
立教大学 経済学部卒。
リーマンショックの時に新卒で区分マンションを購入し、東京23区を中心に最大6棟55部屋を所有。
大和証券、大和総研に11年間勤務後、不動産コンサルタントとして独立。
現在は年間20億円以上の「非公開物件」仲介を行う。強みは「物件情報力」で、経験を活かしてセミナー講師や執筆活動にも携わる。
私生活では子供3人を育てる「ほぼ主夫」。
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「家賃収入にかかる住民税」について知っておくことは、不動産投資や賃貸経営を行う方にとって非常に重要です。
賃貸物件からの収入には、さまざまな税金が課せられますが、中でも住民税は所得税と並んで必ず理解しておくべき基本的な税金です。
家賃収入は「不動産所得」として課税され、一般的に所得の10%が住民税として徴収されます。
しかし、適切な知識と対策を持つことで、合法的に税負担を軽減することも可能です。
この記事では、家賃収入に対する住民税の基本知識から計算方法、効果的な節税対策まで、幅広く解説していきます。
税金が高いとなんだか悲しいよね・・・
Contents
家賃収入にかかる住民税の基本知識
不動産投資や賃貸経営を行っている方にとって、家賃収入にかかる税金は重要な関心事です。
特に住民税は所得税と並んで必ず把握しておくべき基本的な税金です。
この章では、家賃収入にかかる住民税の基本的な仕組みについて解説します。
家賃収入が不動産所得として課税される仕組み
家賃収入は税務上「不動産所得」として分類されます。
不動産所得とは、土地や建物などの不動産の貸付けによって生じる所得のことです。
具体的には、家賃収入の総額から必要経費を差し引いた金額が不動産所得となります。
この不動産所得に対して、所得税と住民税が課税されるのです。
重要なのは、家賃収入そのものではなく、経費を引いた後の利益に対して課税される点です。
つまり「不動産所得=家賃収入総額-必要経費」という計算式で算出された金額が課税対象となります。

住民税の基本税率と計算の概要
住民税は、自治体によって若干の差はありますが、基本的には所得金額の10%程度が課税されます。
住民税は「均等割」と「所得割」の2種類から構成されています。
均等割は住んでいる地域に関係なく一律にかかる税金で、道府県民税と市区町村民税を合わせて年間約5,000円です。
所得割は所得金額に応じて計算される税金で、道府県民税が4%、市区町村民税が6%、合計で10%が基本となります。
例えば、不動産所得が600万円の場合、住民税の所得割は600万円×10%=60万円となります。
これに均等割を加えた金額が、実際に納める住民税の総額になります。

家賃収入に対する所得税と住民税の違い
家賃収入に対する所得税と住民税には、いくつかの重要な違いがあります。
まず税率の違いがあります。
所得税は5%~45%の累進課税であるのに対し、住民税は基本的に一律10%の比例課税です。
次に控除の違いがあります。
所得税には基礎控除48万円(所得2,400万円以下の場合)がありますが、住民税の基礎控除は43万円と若干低くなっています。
納付方法も異なり、所得税は原則として確定申告時に納付しますが、住民税は翌年度に4回に分けて納付するか、給与からの天引きで納付します。
このように所得税と住民税は似ているようで異なる点も多いため、それぞれの特徴を理解しておくことが大切です。
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家賃収入として住民税の対象になる範囲
住民税の課税対象となる家賃収入は、単に毎月の家賃だけではありません。
賃貸経営において発生する様々な収入が含まれるため、正確に把握することが重要です。
この章では、住民税の対象となる家賃収入の範囲について詳しく解説します。
家賃以外に含まれる礼金・更新料・共益費
家賃収入には、毎月の家賃だけでなく、以下のようなものも含まれます。
礼金は、入居時に借主が支払う一時金で、お礼の意味を持つものです。
通常は家賃1ヶ月分程度が目安となり、退去時に返金されないため、全額が家賃収入に含まれます。
更新料は、賃貸契約の更新時に支払われるもので、一般的には2年ごとに家賃1ヶ月分程度を支払うケースが多いです。
これも家賃収入として計上する必要があります。
管理費や共益費も家賃収入の一部として扱われます。
これらは共用部分の電気代や清掃費、エレベーターの保守点検費用などに使われますが、税務上は家賃収入に含まれます。
敷金は原則として預り金ですが、退去時に返還しない部分(原状回復費用など)があれば、その部分は家賃収入となります。
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家賃滞納があった場合の税金計上方法
家賃の滞納があった場合でも、確定申告においては実際の入金の有無にかかわらず、その年に発生した家賃収入として計上する必要があります。
これは「発生主義」と呼ばれる会計原則に基づいています。
たとえば、2025年12月分の家賃が滞納され、実際には2026年1月に入金された場合でも、2025年分の家賃収入として申告しなければなりません。
ただし、長期間滞納が続き、回収不能と判断された場合は、「貸倒損失」として必要経費に計上できる場合があります。
この場合、青色申告を行っている方は貸倒引当金の設定も認められているため、税務上のメリットがあります。
住民税が非課税となる収入項目
賃貸経営に関連するすべての収入が課税対象となるわけではありません。
一部の収入は住民税の非課税項目となります。
例えば、敷金のうち退去時に返還する部分は、預り金として扱われるため非課税です。
火災保険料など、入居者から預かって保険会社に支払う場合の取次ぎ分も、オーナーの収入ではないため非課税となります。
また、不動産の売却による収入は家賃収入ではなく「譲渡所得」として別の所得区分になるため、不動産所得としては計上しません。
これらの非課税項目を正確に把握することで、適切な税務申告が可能になります。
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家賃収入に対する住民税の計算方法
家賃収入に対する住民税を正確に把握するためには、具体的な計算方法を理解する必要があります。
この章では、不動産所得の算出方法から住民税の計算式、そして具体的な計算例まで詳しく解説します。
不動産所得の算出手順と必要経費
住民税を計算するためには、まず不動産所得を正確に算出することが重要です。
不動産所得は「不動産総収入-必要経費」という式で計算します。
不動産総収入には、前章で説明した家賃・礼金・更新料・共益費などすべての収入を含みます。

必要経費として認められる主なものは以下の通りです。
・修繕費
→建物の修理や設備の交換にかかった費用
・管理費
→不動産会社への管理委託費用
・ローン金利
→不動産取得のためのローンの利息部分
・減価償却費
→建物の取得費用を耐用年数で分割した費用
・固定資産税
→土地・建物にかかる税金
・不動産取得税
→不動産取得時に発生する税金
・広告費
→入居者募集のための広告費用
これらの経費を適切に計上することで、課税対象となる不動産所得を減らすことが可能です。
住民税の具体的な計算式と税率10%の適用
不動産所得を算出したら、次は住民税の計算に移ります。
住民税の計算式は基本的に「住民税額=(所得金額-住民税の基礎控除43万円)×10%+均等割」となります。
所得金額は、不動産所得に給与所得など他の所得を合算した総所得金額から、各種所得控除を差し引いた金額です。
例えば、不動産所得が200万円、給与所得が400万円、社会保険料控除などが50万円ある場合、所得金額は「200万円+400万円-50万円=550万円」となります。
住民税額は「(550万円-43万円)×10%+均等割」で計算します。
つまり「507万円×10%+均等割」となり、住民税の所得割は約50万7,000円となります。
住民税均等割の金額と地域差
住民税均等割は、所得の多寡にかかわらず一定額が課税される部分です。
道府県民税と市区町村民税の均等割の合計は、一般的に年間約5,000円程度ですが、自治体によって金額が異なります。
均等割の標準税率は、道府県民税が1,500円、市区町村民税が3,500円で、合計5,000円です。
ただし、一部の自治体では防災対策や復興財源のために、臨時的に税率が上乗せされていることがあります。
また、所得が一定額(例:年間所得が45万円)以下の場合は、均等割が非課税になる場合もあります。
自分が住んでいる自治体の均等割の金額は、市区町村の公式ウェブサイトや税務課で確認することができます。

年収別の具体的な住民税計算例
ここでは、年収別に具体的な住民税の計算例を見てみましょう。
【例1】不動産所得のみの場合(年収500万円)
・不動産所得
→500万円
・必要経費
→200万円
・不動産所得
→300万円
・基礎控除
→43万円
・課税所得
→257万円
・住民税所得割
→257万円×10%=25万7,000円
・均等割
→5,000円 ・住民税合計:約26万2,000円
【例2】給与所得との合算(給与400万円+不動産所得200万円)
・給与所得控除後
→240万円
・不動産所得
→200万円
・社会保険料控除など
→50万円
・課税所得
→390万円
・住民税所得割
→390万円×10%=39万円
・均等割
→5,000円
・住民税合計
→約39万5,000円
【例3】不動産所得が赤字の場合(給与600万円+不動産所得▲100万円)
・給与所得控除後
→370万円
・不動産所得
→▲100万円
・損益通算後の所得
→270万円
・社会保険料控除など
→50万円
・課税所得
→220万円
・住民税所得割
→220万円×10%=22万円
・均等割
→5,000円 ・住民税合計:約22万5,000円
このように、不動産所得と他の所得を合算して住民税を計算します。
不動産所得が赤字の場合は、他の所得と損益通算できるため、全体の税負担を軽減できる可能性があります。
家賃収入の住民税を減らす6つの節税対策
家賃収入にかかる住民税は、適切な知識と対策を講じることで合法的に軽減することが可能です。
この章では、住民税負担を減らすための6つの有効な節税対策について解説します。
必要経費を漏れなく計上する
住民税を減らす最も基本的な方法は、必要経費を漏れなく計上することです。
賃貸経営では様々な費用が発生しますが、これらを適切に経費として計上することで課税所得を減らせます。
経費は確認してしっかりと計上しよう!
経費として認められる主なものには以下のようなものがあります。
・修繕費
→内外装の修理や設備交換にかかる費用
・管理費
→物件の管理にかかる費用(自主管理の場合の道具代なども含む)
・管理手数料
→不動産会社への委託費用
・ローン金利
→物件取得のための融資の利息部分
・広告費
→入居者募集のための宣伝費
・固定資産税
→土地・建物に課される税金
・不動産取得税
→不動産取得時に発生する税金
・交通費
→物件の管理や確認のための交通費
・通信費
→賃貸経営に関連した電話代やインターネット費用
これらの経費をきちんと記録し、領収書を保管しておくことが重要です。
特に、修繕費は資本的支出(減価償却の対象となる改良工事)と修繕費(その年の経費となる維持費)の区別が重要ですので、判断に迷う場合は税理士に相談するとよいでしょう。
減価償却費の計算と最適な活用法
減価償却費は、建物の取得費用を耐用年数で分割して毎年の経費として計上するものです。
これを適切に活用することで、大きな節税効果が得られます。
減価償却の計算方法には「定額法」と「定率法」があり、一般的には定額法が採用されています。
木造の賃貸住宅の法定耐用年数は22年、鉄骨造は構造によって27年または34年、鉄筋コンクリートは47年となっています。
例えば、4,400万円の木造アパートを新築した場合、年間の減価償却費は約200万円(4,400万円÷22年)となります。
一方、築古物件への投資は節税効果が高い場合があります。
例えば、木造で築15年の中古物件を取得した場合、残存耐用年数は約10年((22年-15年)+15年×20%)となり、償却期間が短くなるため、年間の減価償却費が大きくなります。
減価償却費は実際に支出するお金ではないため、キャッシュフローに影響を与えずに節税できる点が大きなメリットです。

住民税から控除できる6種類の控除項目
住民税には、所得から差し引ける様々な控除項目があります。
これらを適切に活用することで、住民税の負担を軽減できます。
住民税で控除できる主な項目は以下の通りです。
・基礎控除
→所得が2,400万円以下の場合は43万円が控除されます。
・社会保険料控除
→健康保険や国民年金、介護保険料などの支払額が全額控除されます。
・医療費控除
→年間の医療費が10万円を超えた場合、最大200万円まで控除可能です。
・配偶者控除
→配偶者の年収が103万円以下の場合、最大33万円が控除されます。
・扶養控除
→扶養家族の人数や年齢に応じて一定額が控除されます。
・生命保険料控除
→生命保険料の支払いに応じて最大7万円まで控除されます。
これらの控除を最大限に活用するためには、日頃から支払った保険料や医療費の領収書を保管しておくことが大切です。
また、配偶者や扶養家族の収入状況を把握し、適切な控除を受けられるよう計画することも重要です。
青色申告で得られる最大65万円の特別控除
不動産所得の確定申告を青色申告で行うと、特別控除を受けることができます。
青色申告特別控除は、一定の帳簿付けを行うことを条件に、所得から最大65万円を控除できる制度です。
65万円の控除を受けるためには、正規の複式簿記で記帳し、貸借対照表と損益計算書を添付し、e-Taxによる電子申告を行う必要があります。
複式簿記での記帳が難しい場合でも、簡易帳簿で記帳し、収支内訳書を添付することで10万円の控除を受けることができます。
仮に住民税率10%で計算すると、65万円の控除で6万5,000円の住民税節税効果があります。
青色申告を行うには、開業届と青色申告承認申請書を事業開始から2ヶ月以内、または翌年3月15日までに税務署に提出する必要があります。
複式簿記の記帳は専門的な知識が必要ですが、現在は簡単に利用できる会計ソフトも多数あります。

家族への収入分散による税率軽減策
賃貸物件を家族名義にすることで、収入を分散し、全体の税負担を軽減する方法があります。
例えば、夫婦で物件を共有し、それぞれが50%ずつの持分を持つと、家賃収入も折半して申告できます。
高所得の配偶者から低所得の配偶者に一部の物件を贈与することで、全体の税負担を減らせる可能性があります。
ただし、贈与税が発生する可能性があるため、事前に税理士に相談することをお勧めします。
また、子どもがアルバイトなどで収入を得ている場合、一定の範囲内で家族内での収入分散が可能です。
子どもを物件の共有者にして家賃収入の一部を子どもの所得とすることで、全体の税率を下げられる場合があります。
収入分散は節税効果が高い反面、贈与税や名義変更の手続きなど注意点も多いため、専門家のアドバイスを受けながら進めるのが賢明です。
法人化で実現する住民税負担の軽減効果
賃貸経営の規模が大きくなると、法人化を検討する価値があります。
法人化することで、個人の累進課税(最高45%)から法人税(15%~23.2%)への移行が可能となり、税負担が軽減される場合があります。
法人住民税は、法人税割と均等割からなり、法人税額に対して約10.4%(標準税率・自治体により異なる)が課せられます。
800万円以下の所得には軽減税率15%が適用されるため、高額な不動産所得がある場合は大きな節税効果が期待できます。
また、法人化のメリットとして、役員報酬を支払うことで法人の利益を減らせ、さらに給与所得控除も適用されます。
法人では旅費交通費や接待交際費など、個人では認められない経費も計上しやすくなります。
ただし、法人設立・運営コストや社会保険料の事業主負担など、デメリットも存在するため、年間の不動産所得が800万円以上ある場合に検討することをお勧めします。
法人化は重要な経営判断となるため、税理士や会計士に相談した上で決断することが重要です。

家賃収入と住民税に関する確定申告のポイント
家賃収入がある場合、確定申告は避けて通れない重要な手続きとなります。
この章では、家賃収入に関する確定申告の義務や方法、住民税の納付方法について解説します。
家賃収入が20万円を超える場合の申告義務
家賃収入による不動産所得がある場合、原則として確定申告が必要です。
特に、給与所得者で不動産所得が20万円を超える場合は、必ず確定申告をする必要があります。
一方、不動産所得が20万円以下の場合は確定申告が不要となる場合がありますが、住民税の申告は別途必要になることがあります。
また、不動産所得が赤字の場合でも、他の所得と損益通算して税金を還付してもらうためには確定申告が必要です。
例えば、給与所得者がアパート経営を始めたばかりで、減価償却費などにより不動産所得が赤字になっている場合、確定申告をすることで給与所得から支払った所得税の一部が還付される可能性があります。
確定申告の期間は毎年2月16日から3月15日までですが、e-Taxを利用すると自宅からインターネットで申告できるため、非常に便利です。
住民税申告に必要な書類と提出方法
住民税の申告に必要な主な書類は以下の通りです。
・確定申告書
→所得税の確定申告を行った場合は原則不要
・収支内訳書または青色申告決算書
→事業・不動産所得がある方が収支を記載する書類
・給与所得の源泉徴収票
→給与所得がある場合
・各種控除証明書
→社会保険料、生命保険料、地震保険料など
・医療費の領収書や明細書
→医療費控除を受ける場合
・住宅ローン控除に関する書類
→住宅ローン控除を受ける場合
確定申告をした場合、その内容が住民税の計算に自動的に反映されるため、別途住民税の申告をする必要はありません。
ただし、所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税の申告が必要なケースがあります。
例えば、給与所得者で医療費控除のみを住民税で受けたい場合などです。
住民税の申告書は、住所地の市区町村役場の税務課や税務署で入手できます。
また、多くの自治体ではウェブサイトからダウンロードすることも可能です。
申告書の提出先は住所地の市区町村役場となります。
住民税の納付時期と4種類の支払方法
住民税の納付時期は、所得を得た翌年度となります。
例えば、2025年の所得に対する住民税は、2026年6月から2027年5月までの間に納付します。
住民税の納付方法には、以下の4種類があります。
・普通徴収
→市区町村から送付される納付書で、年4回(6月、8月、10月、翌年1月)に分けて納付
・特別徴収
→会社員などの場合、勤務先の給与から毎月天引きされる方法
・年金特別徴収
→65歳以上の年金受給者は、年金から天引きされる方法
・口座振替
→口座から自動的に引き落とされる方法で、納め忘れを防止
給与所得者の場合、原則として特別徴収となりますが、会社に所得税の源泉徴収をしてもらっていない不動産所得については、普通徴収での納付となります。
また、普通徴収の場合、納期内に一括で前納すると若干の割引が受けられる自治体もあります。
納付方法の変更を希望する場合は、市区町村の税務課に相談してみるとよいでしょう。
家賃収入の住民税に関するよくある質問

家賃収入に対する住民税について、多くの不動産オーナーが疑問を抱いています。
この章では、よく寄せられる質問とその回答をまとめました。
適切な知識を得ることで、賃貸経営における税務対策に役立ててください。
家賃収入が赤字でも住民税はかかるのか
家賃収入が赤字の場合、その不動産所得自体には住民税はかかりません。
ただし、他に給与所得などがある場合は、損益通算後の所得に対して住民税が課税されます。
例えば、給与所得が500万円、不動産所得が-100万円(赤字)の場合、課税対象となる所得は400万円となります。
この400万円から住民税の基礎控除43万円を引いた357万円に対して、10%の税率で住民税が課税されます。
不動産所得が赤字でも、均等割(年間約5,000円)は課税される点に注意が必要です。
ただし、所得が一定額以下(例:年間所得が35万円以下)の場合は、均等割も非課税になる場合があります。
赤字の不動産所得は、最長3年間繰り越すことができる制度もありますが、これは青色申告を行っている場合に限られます。
赤字は響きが嫌だね・・・

複数の物件がある場合の住民税計算方法
複数の賃貸物件を所有している場合、すべての物件から得られる家賃収入を合算し、すべての物件にかかる経費を差し引いて不動産所得を計算します。
つまり、物件ごとに別々に計算するのではなく、すべての物件を一つの不動産事業として扱います。
例えば、A物件の収入が300万円で経費が200万円、B物件の収入が200万円で経費が250万円の場合、不動産所得は「(300万円-200万円)+(200万円-250万円)=50万円」となります。
この場合、B物件単体では赤字ですが、A物件との合算で全体としては黒字となります。
物件ごとに収支を把握することは経営上重要ですが、税務申告上は合算した金額で申告することになります。
ただし、居住用と事業用など用途が異なる場合は、区分して計算する必要がある場合もあるため、税理士に相談するとよいでしょう。
住民税の特別徴収と普通徴収の選択基準
住民税の納付方法には、主に「特別徴収」と「普通徴収」があります。
特別徴収は、会社員や公務員などの給与所得者に適用され、毎月の給与から住民税が天引きされる方法です。
普通徴収は、確定申告などで納税額が決定された後、市区町村から送られてくる納付書で年4回に分けて自分で納付する方法です。
基本的に、会社員で給与所得がある場合は特別徴収が原則となります。
ただし、次のような場合は普通徴収が選択されることがあります。
・給与所得以外の所得(不動産所得など)が多い場合
・勤務先が従業員の住民税を特別徴収していない場合
・年の途中で退職した場合
・複数の会社から給与を受け取っている場合
特別徴収は納税の手間が省ける一方、毎月の手取り額が減少します。
普通徴収は納税管理の手間はかかりますが、まとまった時期に支払うことになるため、資金計画を立てやすいというメリットがあります。
どちらの方法を選択するかは、市区町村の税務課に相談して決めるとよいでしょう。

住民税の控除漏れを防ぐチェックリスト
住民税の負担を適切に抑えるためには、控除漏れがないか確認することが重要です。
以下のチェックリストを活用して、控除漏れを防ぎましょう。
・社会保険料控除
→健康保険料、国民年金保険料、介護保険料などの支払証明書を確認
・生命保険料控除
→生命保険料、個人年金保険料、介護医療保険料の控除証明書を確認
・地震保険料控除
→地震保険料の支払証明書を確認
・医療費控除
→家族全員の医療費の領収書を集計(10万円または所得の5%を超える部分が対象)
・配偶者控除・配偶者特別控除
→配偶者の収入状況を確認
・扶養控除
→扶養家族の収入状況を確認
・障害者控除
→該当者がいる場合は証明書を確認
・寡婦(寡夫)控除
→該当する場合は申告を忘れないよう確認
・雑損控除
→災害や盗難などによる損失がある場合は申告を検討
・住宅ローン控除
→適用要件を満たしているか確認
これらの控除項目を漏れなく申告することで、住民税の負担を適正に抑えることができます。
確定申告の際は、前年の申告内容も参考にしながら、控除漏れがないか確認するとよいでしょう。
まとめ:家賃収入の住民税は正しい知識で適切に対応しよう

家賃収入に対する住民税について、基本的な仕組みから具体的な計算方法、そして節税対策まで解説してきました。
住民税は所得税と並ぶ重要な税金であり、賃貸経営を行う上で避けて通れないものです。
家賃収入は単なる毎月の家賃だけでなく、礼金や更新料、敷金の未返還分など様々な収入が含まれます。
これらの収入から必要経費を差し引いた不動産所得に対して、基本的に10%の税率で住民税が課税されます。
住民税の負担を適切に軽減するためには、必要経費の漏れのない計上や減価償却費の活用、青色申告による特別控除の適用など、様々な節税対策があります。
特に青色申告は最大65万円の特別控除が受けられるため、積極的に活用すべき制度です。
また、家族への収入分散や法人化なども、収入規模によっては検討価値のある対策となります。
確定申告の際には、不動産所得を正確に計算し、適用できる控除は漏れなく申請することが重要です。
住民税の納付方法にも特別徴収と普通徴収があり、自分の状況に合った方法を選ぶことができます。
賃貸経営における税務は複雑なため、不明点があれば税理士などの専門家に相談することをお勧めします。
正しい知識と適切な対応によって、法令を遵守しながらも無駄な税負担を避け、効率的な賃貸経営を実現しましょう。
