この記事を書いた人
船橋寛之(ふなばしひろゆき)
1984年生まれ。
ドイツ育ちの不動産投資家。
不動産投資歴16年。
立教大学 経済学部卒。
リーマンショックの時に新卒で区分マンションを購入し、東京23区を中心に最大6棟55部屋を所有。
大和証券、大和総研に11年間勤務後、不動産コンサルタントとして独立。
現在は年間20億円以上の「非公開物件」仲介を行う。強みは「物件情報力」で、経験を活かしてセミナー講師や執筆活動にも携わる。
私生活では子供3人を育てる「ほぼ主夫」。
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近年注目を集める海外不動産投資ですが、実際には多くの投資家が期待した収益を得られずに後悔しているのが現実です。
人口増加国でのキャピタルゲインや高利回りへの期待から投資を検討する方も多いでしょうが、為替変動リスク、管理の困難さ、悪徳業者による詐欺など、国内投資では考えられない深刻なリスクが存在します。
本記事では海外不動産投資の魅力的に見える側面だけでなく、投資前に必ず知っておくべきデメリットとリスクについて詳しく解説します。
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Contents
海外不動産投資が注目される3つの理由
近年、多くの日本人投資家が海外不動産投資に注目するようになりました。
国内不動産市場の成長鈍化や人口減少による将来への不安から、海外に投資機会を求める動きが活発化しています。
海外不動産投資が注目される主な理由は、キャピタルゲインへの期待、高利回りの追求、そして資産分散効果の3点に集約されます。
人口増加国でのキャピタルゲイン期待
海外不動産投資の最大の魅力は、人口増加が続く国でのキャピタルゲイン獲得への期待です。
日本の人口は2008年をピークに減少に転じていますが、世界には今後も人口増加が見込まれる国が数多く存在します。
特に東南アジア諸国では顕著な人口増加が予測されており、マレーシアでは2050年まで年平均1%程度の人口増加が見込まれています。
人口増加に伴う住宅需要の拡大により、不動産価格の上昇が期待できることから、売却時の値上がり益を狙う投資家が増加しています。
実際にクアラルンプールの住宅価格指数は過去15年間で大幅な上昇を記録しており、こうした実績が投資家の関心を集める要因となっています。

国内より高い利回りへの期待
海外不動産投資のもう一つの魅力は、国内と比較して高い利回りへの期待です。
日本の不動産投資利回りは都心部で3-5%程度にとどまる一方、海外では8-12%の高利回り物件も珍しくありません。
特に経済成長が著しい新興国では、賃貸需要の高まりとともに家賃収入も上昇傾向にあります。
フィリピンのマニラやタイのバンコクなどでは、外国人駐在員や現地富裕層をターゲットとした高級コンドミニアムで高い賃料設定が可能です。
ただし、高利回りの背景には相応のリスクが存在することも理解しておく必要があります。
資産分散によるリスクヘッジ効果
海外不動産投資は資産分散の観点からも注目されています。
「卵は一つのカゴに盛るな」という投資格言の通り、資産を地理的に分散することでリスクを軽減できます。
日本国内の資産に偏った投資を行っていると、自然災害や経済危機の際に大きな損失を被る可能性があります。
海外不動産を保有することで以下のリスク分散効果が期待できます。
・為替リスクの分散
→円安進行時の資産価値保全効果
・自然災害リスクの回避
→地震や台風などの国内特有リスクからの分離
・経済危機の影響軽減
→日本経済の低迷時における収益源の確保
また、外貨建て資産を保有することで、将来的なインフレーションに対するヘッジ効果も期待できるとされています。
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海外不動産投資をおすすめしない6つのデメリット
海外不動産投資には魅力的な側面がある一方で、国内投資では考えられない深刻なリスクが存在します。
多くの投資家がこれらのリスクを十分に理解せずに投資を行い、期待した収益を得られずに後悔するケースが少なくありません。
ここでは、海外不動産投資の主要なデメリットを6つの観点から詳しく解説します。
キャピタルゲインを獲得できない
海外不動産投資で最も期待されるキャピタルゲインですが、実際には獲得できないリスクが高いのが現実です。
不動産価格の上昇は経済状況や政治情勢に大きく左右されるため、過去の上昇実績があっても将来の保証はありません。
1997年のアジア通貨危機では、タイの不動産価格が大幅に下落し、多くの投資家が損失を被りました。
プレビルド物件では建設会社の倒産により物件そのものが完成しないリスクもあり、投資元本の全額損失という最悪のシナリオも想定する必要があります。
建築会社の倒産は怖いよ・・・
融資を受けることが困難
海外不動産投資では、国内不動産投資と比較して融資を受けることが極めて困難です。
国内の金融機関で海外不動産投資ローンを取り扱うのは限られた銀行のみで、審査も非常に厳格に行われます。
仮に融資を受けられたとしても、金利は5-7%程度と高く、返済期間も短期間に設定されるため、投資収益を圧迫する要因となります。
現地金融機関からの融資も選択肢ですが、言語の壁や現地での収入証明など、クリアすべきハードルが数多く存在します。
結果として現金での物件購入を余儀なくされ、レバレッジ効果を活用できないため投資効率が大幅に低下してしまいます。
為替変動による損失
海外不動産投資では為替変動リスクが常につきまといます。
例えば、50万ドル(1ドル110円)でアメリカ不動産を購入し、55万ドルで売却した場合を考えてみましょう。
売却時の為替レートが1ドル100円に下落していれば、5万ドルのキャピタルゲインは為替損失で相殺されてしまいます。
家賃収入についても同様で、年間4万ドルの家賃収入が円安進行により大きく目減りする可能性があります。
為替リスクはプラスに働く場合もありますが、大きな金額を投じる不動産投資では、マイナスに働いた際の損失は深刻な問題となります。

物件管理の手間と信頼性
海外不動産の管理は国内と比較して格段に困難です。
物理的に離れた場所にある物件の状況を直接確認することができないため、現地の管理会社に全面的に依存することになります。
しかし、海外の管理会社の中には対応が杜撰で信頼性に欠けるケースが多く見られます。
入居者とのトラブル対応の遅れ、メンテナンス不備、家賃回収の不徹底などが頻繁に発生し、期待した賃料収入を得られない状況が生じます。
また、管理会社からの報告が不十分で、物件の実情を正確に把握できないまま投資を続ける羽目になることも珍しくありません。
悪徳業者による詐欺
海外不動産投資の分野では、悪徳業者による詐欺被害が深刻な問題となっています。
情報の非対称性を悪用し、存在しない物件の販売や過大な収益予測による勧誘が行われるケースがあります。
特に投資セミナーなどで「確実に儲かる」「政府保証付き」などの甘い言葉で勧誘する業者には注意が必要です。
契約後に業者と連絡が取れなくなったり、約束された管理サービスが提供されなかったりする被害が報告されています。
海外という地理的な距離が詐欺の発覚を遅らせ、被害回復を困難にする要因となっているのが現状です。

節税効果の大幅な縮小
従来、海外不動産投資の大きなメリットとされていた節税効果は、2021年の税制改正により大幅に縮小されました。
改正前は海外不動産の減価償却費により不動産所得を赤字にし、給与所得などと損益通算することで所得税を軽減できました。
しかし、現在では海外不動産の減価償却による損失は国内所得との損益通算が制限されており、節税スキームとしての魅力は失われています。
この制度変更により、純粋な投資収益のみで判断する必要が生じ、多くの物件で投資妙味が薄れているのが実情です。

海外不動産投資でよくある失敗事例

海外不動産投資の失敗パターンには共通点があります。
実際の失敗事例を理解することで、同様のリスクを回避する参考とすることができます。
ここでは特に頻発する3つの失敗パターンについて詳しく解説します。
プレビルド物件の建設中止による損失
プレビルド物件は完成前の安い価格で購入できる魅力がありますが、建設中止のリスクが常に存在します。
フィリピンやマレーシアでは、デベロッパーの資金不足により建設工事が中断し、投資家が支払い済みの資金を回収できない事例が多発しています。
特に新興国では法整備が不十分で、投資家保護の仕組みが脆弱なため、泣き寝入りするケースが少なくありません。
また、建設は完了したものの、完成時期が当初予定より2-3年遅れることも珍しくなく、想定していた投資計画が大幅に狂ってしまいます。
プレビルド投資では、代金の一部を先払いするプログレスペイメント方式が一般的ですが、工事進捗と支払いのタイミングに齟齬が生じるリスクも考慮する必要があります。
管理会社の杜撰な対応による空室増加
海外不動産投資では管理会社選びの失敗が致命的な結果を招きます。
管理会社の対応が杜撰だと、入居者からのクレーム対応の遅れや設備故障の放置により、物件の評判が悪化してしまいます。
その結果、退去者が続出し、新規入居者の獲得も困難になるという悪循環に陥ります。
タイのコンドミニアム投資では、管理会社が家賃の回収を怠り、6ヶ月間家賃収入が途絶えた事例もありました。
オーナーは日本からの遠隔管理のため現地状況を正確に把握できず、問題が深刻化してから初めて事態を知ることになります。
優良な管理会社の選定は海外不動産投資成功の鍵ですが、現地事情に詳しくない投資家にとっては非常に困難な課題となっています。
情報不足による不適切な物件選択
海外不動産投資では情報収集の困難さが大きな障害となります。
日本語での情報が限られているため、現地の正確な市場動向や物件の詳細情報を把握することが困難です。
マレーシアの投資用コンドミニアムで、購入後に近隣に大型ショッピングモールの建設計画があることを知り、景観と資産価値の両方を損なった事例があります。
また、治安状況の変化や交通インフラの整備遅れなど、投資判断に重要な要素についても事前に把握できないケースが頻発しています。
現地の不動産業者からの情報に依存せざるを得ないため、偏った情報や誇大広告に惑わされて不適切な物件を選択してしまうリスクが高くなります。
投資家自身が現地調査を行うことは時間的・金銭的に困難なため、情報の非対称性は解消されにくいのが現状です。
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海外不動産投資のリスクを正しく判断する方法
海外不動産投資のリスクを最小化するには、事前の徹底した調査と慎重な判断が不可欠です。
投資判断において重要な3つのポイントについて、具体的な調査方法と判断基準を解説します。
投資先国の政治・経済情勢の調査
投資先国の安定性を評価するため、格付け会社の国家信用格付けを必ず確認しましょう。
S&P、Moody’s、Fitchなどの主要格付け機関による評価は、政治リスクや経済リスクを判断する重要な指標となります。
また、以下の経済指標の推移を過去5-10年分調査することで、国の成長性と安定性を評価できます。
・GDP成長率の推移
→持続的な経済成長の確認
・インフレ率の動向
→通貨価値の安定性評価
・人口動態データ
→将来的な不動産需要の予測
・外国直接投資額
→国際的な信頼度の測定
政治面では選挙制度の安定性、政権交代の頻度、外国人投資に対する政策の一貫性なども重要な判断材料となります。
信頼できる業者を見分ける
海外不動産投資では業者選びが成功の鍵を握ります。
信頼できる業者の特徴として、現地での実績年数、取り扱い物件数、アフターサービスの充実度を重点的に確認しましょう。
また、以下の点をチェックすることで悪徳業者を見分けることができます。
・過度に楽観的な収益予測を提示していないか
・リスクについて十分な説明があるか
・現地視察の機会を提供しているか
・契約書の内容が明確で理解しやすいか
優良業者は投資家の質問に対して誠実に回答し、デメリットについても包み隠さず説明します。
セミナーや説明会での対応、既存顧客からの紹介や口コミなども判断材料として活用しましょう。

契約内容を詳細まで確認する
海外不動産の契約では、日本とは異なる法制度や商慣習があるため、契約内容の詳細確認が極めて重要です。
特に以下の項目については専門家のアドバイスを受けながら慎重に検討する必要があります。
重要な確認事項:
・所有権の形態と制限事項
→外国人の不動産所有に関する法的制限
・税金関係の詳細
→取得税、保有税、売却時の税金
・管理費用の詳細
→管理会社への支払い項目と金額
・売却時の手続きと制約
→売却可能な時期と手数料
言語の壁がある場合は、現地の法律に詳しい弁護士や通訳の同席を求めることも重要です。
契約書の翻訳についても、投資家側で独自に手配することでリスクを軽減できます。
海外不動産投資が向いている人の条件
海外不動産投資は万人におすすめできる投資ではありませんが、特定の条件を満たす投資家には選択肢となり得ます。
以下の3つの条件に該当する場合のみ、慎重に検討する価値があると言えるでしょう。
十分な資金力を持つ富裕層
海外不動産投資に適しているのは、物件を現金で購入できる十分な資金力を持つ投資家です。
融資を受けることが困難な海外不動産投資では、レバレッジ効果を期待できないため、ある程度まとまった自己資金が必要となります。
目安として、投資金額が総資産の10-20%以下に収まる範囲での投資が推奨されます。
また、万が一投資に失敗しても生活に支障をきたさない余裕資金での投資が前提条件となります。
高額所得者や資産家にとっては、資産分散の一環として位置づけることで、リスクを限定的に抑えながら投資することが可能です。
海外移住を検討している人
将来的な海外移住を計画している投資家にとって、海外不動産投資は実用的な意味を持ちます。
多くの国では一定額以上の不動産投資により投資家ビザや永住権の取得が可能です。
移住予定国での不動産購入は、住居確保と投資の両方の目的を満たすことができます。
また、移住後は自己居住用として活用することで、賃貸管理の手間から解放される利点もあります。
ただし、投資家ビザの取得には数千万円以上の投資が条件となるケースが多いため、相応の資金力が必要です。
現地の言語や文化に精通している人
海外不動産投資では言語の壁と文化の違いが大きな障害となります。
現地語または英語でのコミュニケーションが可能な投資家は、この障害を克服できる可能性があります。
帰国子女や海外勤務経験者、現地在住者などは、言語面でのハンデがなく、現地の商慣習も理解しているため有利です。
また、現地の人脈を活用することで、信頼できる業者や管理会社を見つけやすくなります。
ただし、言語が堪能であっても、不動産投資特有の専門用語や法的な契約内容については、専門家のサポートを受けることが重要です。
現地をよくわからず投資するのは危ないよね!
まとめ:海外不動産投資は慎重な判断が必要

海外不動産投資は一見魅力的な投資機会に見えますが、実際には多くの深刻なリスクとデメリットが存在します。
人口増加国でのキャピタルゲイン期待や高利回りへの憧れから投資を検討する方も多いでしょうが、その背景には投資家が十分に理解していないリスクが潜んでいることを認識する必要があります。
最も重要なポイントは、海外不動産投資では期待したキャピタルゲインを獲得できない可能性が高いということです。
過去の価格上昇実績があっても、経済危機や政治情勢の変化により不動産価格が大幅に下落するリスクは常に存在します。
また、融資を受けることの困難さから現金での購入を余儀なくされ、レバレッジ効果を活用できないため投資効率が大幅に低下してしまいます。
為替変動リスクも見過ごせない要因で、せっかくのキャピタルゲインや家賃収入が為替の影響で相殺されてしまう可能性があります。
物件管理の面では、現地の管理会社に全面的に依存せざるを得ないため、管理品質の低下により期待した収益を得られないケースが頻発しています。
さらに、悪徳業者による詐欺被害のリスクも無視できない問題となっており、情報の非対称性を悪用した被害が後を絶ちません。
2021年の税制改正により、従来の大きなメリットであった節税効果も大幅に縮小されており、純粋な投資収益のみで判断する必要が生じています。
これらの状況を総合的に考慮すると、海外不動産投資は限られた条件を満たす投資家のみが検討すべき投資といえます。
十分な資金力を持つ富裕層、海外移住を具体的に計画している人、現地の言語や文化に精通している人以外は、基本的に避けるべき投資と判断するのが賢明でしょう。
大多数の投資家にとっては、国内不動産投資の方がリスクとリターンのバランスが優れており、より安全で確実な資産形成手段となります。
海外不動産投資を検討する際は、メリットだけでなくデメリットやリスクについても十分に理解し、自身の投資目的や資金力、リスク許容度を慎重に評価した上で判断することが重要です。
投資は自己責任で行うものですが、特に海外不動産投資については、「儲かりそう」という印象だけで判断せず、冷静で客観的な分析に基づいた投資判断を心がけるべきでしょう。
