この記事を書いた人
船橋寛之(ふなばしひろゆき)
1984年生まれ。
ドイツ育ちの不動産投資家。
不動産投資歴16年。
立教大学 経済学部卒。
リーマンショックの時に新卒で区分マンションを購入し、東京23区を中心に最大6棟55部屋を所有。
大和証券、大和総研に11年間勤務後、不動産コンサルタントとして独立。
現在は年間20億円以上の「非公開物件」仲介を行う。強みは「物件情報力」で、経験を活かしてセミナー講師や執筆活動にも携わる。
私生活では子供3人を育てる「ほぼ主夫」。
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中古マンションを購入したら、所有している限り毎年支払い続けることになるのが固定資産税です。
物件価格や築年数、購入時期によって税額は大きく変わりますが、一体いくらくらいになるのでしょうか?
実は建物の経年劣化により税額は年々下がっていき、築45年で下限に達します。
また、購入時期によって初年度の支払いが変わったり、リフォームで減額措置が受けられたりするなど、知っておくべきポイントがたくさんあります。
今回は、中古マンションの固定資産税の仕組みから実際の税額、賢い物件選びのコツ、具体的な支払い方法まで、シミュレーション例を交えながら徹底解説します。
これから中古マンション購入を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
固定資産税は投資用1棟RCなどでは特に重いので要注意だよ!
Contents
中古マンションの固定資産税の基礎知識
中古マンションを購入する際に避けて通れないのが固定資産税の存在です。
この税金は毎年継続的にかかる費用であり、購入検討時から理解しておく必要があります。
ここでは、固定資産税の基本的な仕組みから、計算方法まで詳しく解説していきます。
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建物部分と土地部分で計算方法が異なる
中古マンションの固定資産税は、建物部分と土地部分で異なる計算方法が適用されます。
両者の主な違いは以下の通りです。
建物部分の課税評価:
・再建築価格を基準に算出
・築年数に応じて減価償却を適用
・時価の約70%程度が目安
土地部分の課税評価:
・固定資産税路線価を基準に算出
・地形による補正を考慮
・市場価格の6~7割程度が目安
築年数で大きく変わる評価額の仕組み
建物部分の固定資産税評価額は、築年数によって大きく変動します。
この変動の仕組みを理解することは、中古マンション購入時の重要なポイントとなります。
・経年減点補正の仕組み
→築年数が増えるほど評価額が逓減的に減少
・評価額の下限設定
→再建築価格の20%が最低ライン
・築45年のターニングポイント
→この時点で評価額が下限に到達
都市計画税の仕組みと課税条件を理解する
固定資産税に加えて課される都市計画税についても理解が必要です。
この追加的な課税について、以下のポイントを押さえておきましょう。
・都市計画税の概要
→都市計画事業や土地区画整理事業の費用に充てられる目的税
・都市計画税の課税標準額
⇒固定資産税評価額に住宅用地の特例を適用したもので税率は最大0.3%(自治体により異なる)、住宅用地には軽減措置あり
市街化区域に指定されている地域では、固定資産税に加えてこの都市計画税も必ず課されます。

そのため、実質的な税負担を考える際は、両方の税金を考慮に入れる必要があります。
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中古マンションの固定資産税を安くする7つの方法
中古マンション購入時に固定資産税を抑える方法は、物件選びの段階から支払い後の対策まで、様々な観点から検討することができます。
ここでは、実践的な7つの方法について詳しく解説していきます。
築年数の長い物件を選ぶ
固定資産税を抑えるもっとも基本的な方法は、築年数の長い物件を選ぶことです。
建物の評価額は以下のような特徴を持っています。
経年減価の仕組み:
・築10年で約30%減少
・築20年で約49%減少
・築30年で約69%減少
・築40年以降は最低ライン(20%)に近づく
小規模住宅用地の特例を活用する
土地部分の固定資産税を大きく抑えられる小規模住宅用地の特例について理解し、活用することが重要です。
この特例は住宅用地に対する軽減措置で、マンションの場合は専有面積に応じた敷地権の割合で計算されます。
例えば、敷地全体が1,000平米のマンションで、専有面積按分による敷地権が100平米の場合、その部分が小規模住宅用地として特例の対象となります。
200平米以下の住宅用地には、税負担を軽減する特例措置があります。
・固定資産税
→土地の評価額の1/6が課税標準額となります
・都市計画税
→土地の評価額の1/3が課税標準額となります
・マンションの場合
→敷地権の持分割合に応じて計算されます
バリアフリーリフォームで減額措置を受ける
高齢化社会に対応したバリアフリーリフォームには、固定資産税の減額措置が適用されます。
この制度では、手すりの設置や段差解消などの改修工事を実施した場合、翌年度分の固定資産税が3分の1減額されます。
ただし、減額の対象となるのは住宅部分100平米相当分までとなっています。
この減額措置を受けるためには、工事完了から3ヶ月以内に必要書類を添えて市区町村に申請を行う必要があります。
なお、減額を受けられる工事には一定の条件があり、バリアフリー改修工事の内容や費用について事前に確認することが推奨されます。
耐震リフォームで半額軽減を受ける
耐震性能を向上させるリフォームを実施することで、固定資産税が大きく軽減されます。
具体的な内容は以下の通りです。
・減額の内容
→翌年度分の税額が2分の1に軽減されます
・対象面積
→120平米相当分までが減額の対象となります
・適用条件
→昭和57年以前の建築物が対象です
省エネリフォームで3分の1減額を実現する
環境に配慮した省エネリフォームを実施することで、固定資産税の軽減を受けることができます。
対象となるのは、窓や床、天井などの断熱性を高める改修工事で、工事費用が50万円を超えるものが該当します。
この制度を利用すると、120平米相当分まで固定資産税が3分の1減額されます。
省エネ改修は住宅の光熱費削減にもつながり、固定資産税の軽減と合わせて長期的な経済効果が期待できる取り組みといえます。
色々なやり方があるんだね!
2017年以前の中古タワーマンション高層階を狙う
2017年以前に建築された中古タワーマンションには、特別な税制上のメリットがあります。
・評価の特徴
→階層による評価の違いが考慮されません
・対象物件
→高さ60メートル以上の建物が該当します
・経済的効果
→市場価格との差が大きいほど税負担が軽くなります
固定資産税の負担調整措置を理解する
土地価格の変動に対する激変緩和措置として、負担調整措置が設けられています。
これを理解し活用することで、税負担を適切にコントロールできます。
・調整の方法
→前年度の税額をベースに段階的に調整されます
・上昇の制限
→年度ごとの上昇率に上限が設けられています
・適用期間
→評価替えの期間(3年間)で段階的に調整されます
中古マンションの築年数別の固定資産税シミュレーション

実際の中古マンションにかかる固定資産税額を、築年数別にシミュレーションしていきます。
ここでは、専有面積70平米、新築時の建物評価額1,500万円、土地評価額4,000万円という条件で計算例を示していきます。
築10年で年間24万円の実例を解説
築10年物件の固定資産税について、具体的な計算例を見ていきましょう。
・土地の税額
→4,000万円×1/6×1.4% = 9.3万円となります
・建物の税額
→1,500万円×0.7397×1.4% = 15.5万円となります
・年間合計
→約24.8万円の固定資産税が必要です
築20年で年間20万円まで下がるケース
築20年になると、建物の経年減価により税額は大きく下がります。
・建物評価額
→当初の約50%まで減少します
・具体的金額
→年間の固定資産税は約19.9万円となります
・削減効果
→築10年時と比べて約20%の負担減となります
築30年以降の経年減点のメリット
築30年を超えると、さらに大きな減額効果が現れます。
この時期の特徴は以下の通りです。
・評価額の推移
→建物評価額は当初の約30%まで低下します
・税額の変化
→年間約15.7万円まで減少します
・経済効果
→新築時の約半額程度まで軽減されます
築45年で下限に達する評価額の仕組み
築45年に達すると、建物の評価額は最低ラインに到達します。
ゼロになるわけではないからね・・・
この時点での状況を解説します。
・最終評価額
→新築時の20%で固定されます
・具体的金額
→年間約13.5万円で安定します
・将来予測
→この金額が以降の固定額となります
中古マンションの購入時期による固定資産税の違い
中古マンション購入時の固定資産税は、取得時期によって大きく異なってきます。
ここでは、購入のタイミングによる税金の違いと、注意すべきポイントについて詳しく解説していきます。
12月購入で翌年の税金を節約できる
固定資産税は、毎年1月1日時点の所有者に課税される仕組みになっています。
この特徴を理解することで、以下のような税負担の調整が可能です。
年末の購入には税金面でメリットがあります。
・課税基準日
→1月1日時点の所有者に課税されます
・購入時期
→12月末の購入で翌年度分が不要となります
・節税効果
→最大で年間税額分の節約が可能です
引き渡し日を早めると余計な精算金が発生する
中古マンション購入時の固定資産税は、現所有者との間で日割り計算による精算が必要になります。
この精算の仕組みについて理解しておきましょう。
精算金の計算方法:
・年間固定資産税額÷365日×引き渡し日以降の日数
・前納分がある場合は別途調整
・契約時に金額を明確に確認する必要あり
・引き渡し時期が早いほど精算金額は大きくなる
築5年以内の物件は購入後2年で税額が倍増する
比較的新しい中古マンションを購入する場合、将来の税額上昇に注意が必要です。
知らない間に上がっているなんてことがあると怖いよね・・・
特に以下のような状況に要注意です。
税額上昇のパターンとしては新築時の軽減措置終了による増額があります。
・負担調整措置による段階的な上昇
・評価替えによる急激な変動
・特に都心部の新築マンション転売物件に多い
中古マンションの固定資産税の具体的な支払い方法

固定資産税の具体的な支払い方法を理解することで、計画的な納税が可能になります。
ここでは、実務的な手続きから支払いのタイミングまで、詳しく解説していきます。
4月の納付書到着後すぐに口座振替の手続きをする
固定資産税の納付書は毎年4月から6月頃に届きます。
効率的な支払いのために、以下の手順で口座振替の準備をしましょう。
口座振替の手続き手順:
・納付書と通帳、届出印を用意
・金融機関窓口で申し込み手続き
・申込み完了後、次回納付分から自動引き落とし
・引き落とし日の残高確認を忘れずに
年4回の分割払いで毎回の負担を抑える
固定資産税は年4回の分割払いが可能です。
支払い計画を立てる際は、以下のポイントに注意しましょう・
分割払いの特徴:
・通常、5月・7月・12月・2月の4回払い
・各回の納付期限を確認
・一括払いによる割引はない
・コンビニ支払いも可能
売主との精算金を契約前に確認して準備する
売買契約時の精算金について、具体的な確認方法と準備の仕方を解説します。
精算金の確認ポイント:
・前年度の納税通知書で年税額を確認
・引き渡し日までの既納付額を確認
・未納付分の精算方法を明確にする
・契約書への記載内容を丁寧に確認
まとめ:中古マンションの固定資産税は築年数と購入時期で大きく変わる
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中古マンションの固定資産税について、基礎知識から具体的な節税方法、シミュレーション例、支払い方法まで詳しく見てきました。
最後に重要なポイントを整理しておきましょう。
固定資産税は建物部分と土地部分で異なる計算方法が適用され、特に建物部分は築年数によって大きく評価額が下がっていきます。
築45年で評価額は下限(再建築価格の20%)に達し、それ以降は一定となります。
また、購入時期による税負担の違いも大きく、特に12月購入の場合は翌年度分の固定資産税を節約できる可能性があります。
ただし、引き渡し時期と精算金の関係には注意が必要です。
税負担を抑えるためには、小規模住宅用地の特例活用や各種リフォームによる減額措置の利用が効果的です。
特に、バリアフリー、耐震、省エネの3つのリフォームについては、工事完了後3ヶ月以内の申請で翌年度の税額軽減を受けられます。
固定資産税の支払いは年4回の分割払いが可能で、口座振替を利用することで納め忘れを防ぐことができます。
購入時には売主との精算金についても事前に確認し、適切に準備することが重要です。
中古マンション購入の検討段階から、これらの税金面での特徴を理解しておくことで、より賢い物件選びと長期的な資産運用が可能となります。
