この記事を書いた人
船橋寛之(ふなばしひろゆき)
1984年生まれ。
ドイツ育ちの不動産投資家。
不動産投資歴16年。
立教大学 経済学部卒。
リーマンショックの時に新卒で区分マンションを購入し、東京23区を中心に最大6棟55部屋を所有。
大和証券、大和総研に11年間勤務後、不動産コンサルタントとして独立。
現在は年間20億円以上の「非公開物件」仲介を行う。強みは「物件情報力」で、経験を活かしてセミナー講師や執筆活動にも携わる。
私生活では子供3人を育てる「ほぼ主夫」。
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2024年1月から開始した新NISAで投資信託などに積立投資する人も増えているなか、2024年8月には日経平均株価の大暴落が話題になりました。
株価の暴落は個人投資家たちに不安を与えるものですが、NISAでの積立投資においては株価暴落をチャンスととらえることも可能です。
暴落で慌てない人が最後に勝つ!
本記事では、株価暴落時のNISAでの積立投資について、対処法やリスク、メリット、旧NISAとの違いや運用のポイントを解説します。
Contents
2024年開始の新NISA:株価暴落時も続けるべき?
これまでの旧NISA制度よりも使い勝手が大きくアップしたことで、注目をあびている新NISA。
2024年1月から新NISAがスタートしたことをきっかけに、投資デビューした方も多いでしょう。
新NISAの具体的な特色はのちほど詳しく説明しますが、NISAで投資している方の頭を悩ませているのが「株価の暴落」ではないでしょうか。
2024年の8月には日経平均株価が大暴落し、同様に米国市場も7月中旬から8月上旬にかけて大きく下落しました。
その後株価は多少持ち直したものの、新NISAから投資を始めた方はこれまで順調に増えていた資金が大きく目減りし、心中穏やかではいられなかったかもしれません。
相場の波乱は予測がつきませんが、結論からいうと株価が暴落してもNISAは続けるべきでしょう。
ここからは、株価が暴落してもNISAを続けたほうがいい理由や、暴落時にやってはいけないことを解説していきます。
株価暴落中もつみたてNISA(積立NISA)を続けたほうがよい理由
株価が暴落しても、NISAでの積立投資は続けたほうがよいでしょう。
暴落時にこそ積立投資を続けることで、相場回復時のリターンを大きくしたり、複利効果を向上させたりできる可能性が広がります。
再び波乱相場へと突入した際にも落ち着いた行動ができるように、暴落時でもNISAでの積立投資を続けたほうがよい理由を理解しておきましょう。
相場回復時のリターンを期待できるから
株価が暴落してもNISAでの積立投資を続けるべきといえるのは、相場が回復したときにリターンが得られるためです。
特定の投資信託や株式などを毎月一定の金額ずつ購入していく積立投資は、価格変動のリスクを抑える効果が期待できる「ドルコスト平均法」と呼ばれる投資手法です。
毎月の投資額を一定にすると、株価が値上がりしたときは購入する口数が減り、値下がりしたときは多くの口数を購入できます。
そうすることでトータルで見た平均購入価格が平準化され、価格変動の影響を受けにくくなります。
つまり、株価が暴落した時こそ購入し続けることで平均購入価格を下げられ、値上がりした時のリターンが大きくなるのです。
暴落時に投資をストップすると、相場回復時に売却した場合のリターンを減少させてしまいます。
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長期投資するほど複利効果が高くなるから
NISAでの積立投資を続けたほうがいい理由としては、長期間の積立投資には複利効果のおかげで期待できるリターンが大きくなる点も挙げられます。
複利効果とは、投資によって得られた利益をそのまま再投資し続けることで、より大きなリターンを狙える効果のことです。
運用益を元本に組み入れると利益がさらに利益を生むため、運用が長期になるほど複利効果は大きくなります。
相場の暴落によって積立投資をストップしたとすると、元本が大きく増加していかないため、長期的に見た複利効果も低減してしまいます。
株価暴落時にNISA運用でしてはいけないこと
株価が暴落している局面において、NISA運用でやってはいけない2つのことがあります。
- 投資資産を売却する
- 株価の変動を気にしすぎる
リスクの少ない投資を目指すのであれば「長期・積立・分散」が王道ですが、暴落に慌ててなんらかの行動を取ってしまうと損失につながる恐れもあります。
絶対慌てる・・・
暴落時にしてはいけない2つのポイントをしっかり確認しておきましょう。
投資資産を売却する
まず株価の暴落時に、これまで購入してきたNISAの資産を売却することはおすすめできません。
なぜなら、株価の下落はいつまでも続くものではないためです。
たとえば、過去70年の日経平均株価の推移を見てみましょう。
出典:日本経済新聞「日経平均、取引時間中の最高値上回る 一時3万9000円台 -」
バブル期の1989年を境に長期的な下落傾向が続きますが、そのなかにもITバブルやリーマンショックといった山や谷が見られます。
2012年頃からは上昇傾向に転じ、2024年2月にはバブル期の最高値を超える値にまで到達しました。
つまり、株価が暴落してもいつまでも下落し続けるわけではありません。
20年、30年と長期的に保有していれば、取り戻せるタイミングが訪れる可能性が高いのです。
長期で見れば十分勝てそうだね!
売却するとその時点で利益や損失が確定し、将来相場が回復したときのリターンを手放してしまうことになります。
株価の変動を気にしすぎる
相場の暴落時には自分の資産がどれくらい減ってしまっているかが不安になるものですが、今の資産額だけを見て一喜一憂するのは考えものです。
NISAでの積立投資は、長期運用すればするほどリスク回避が狙えます。
一時のマイナスを理由に投資をやめてしまうことで、結果的にもっとも損をする可能性もあります。
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とくに投資を始めた1、2年のあいだは、得られたリターンが少ないために、相場によっては元本を下回る時期が続くことも珍しくありません。
資産がマイナスになるとショックや焦りを感じやすいですが、収益が増加して多少の下落では元本を下回らない状態になると、相場の変動が気にならなくなるはずです。
短期間での成果にとらわれず、長期的なリターンを目指して暴落時にも淡々と積立投資を続けていきましょう。
株価下落がもたらすNISAのリスク
株価が暴落した場合でもNISAでの積立運用は続けたほうがよい理由を説明してきましたが、株価の下落はNIISAでの運用に以下のようなリスクが生じやすい状況でもあります。
- 元本割れが生じる
- 損益通算による節税効果が得られない
- 損失は繰越控除できない
株価下落によってとくに気を付けたいNISA運用のリスクを順に説明します。
元本割れが生じる
NISAでの投資運用は、相場の下落によって元本割れのリスクが生じます。
NISAで投資信託や株式を購入する行為は「投資」であるため、銀行預金のような元本保証はありません。
長期的な積立投資によって価格変動リスクの軽減は狙えるものの、相場が下がった時期に売却せざるを得ない状況も出てくるでしょう。
その場合、投資した金額よりも少ない現金しか受け取れない恐れもあります。
投資に回すお金は、相場が悪ければ売却するタイミングを先送りできるくらいの余剰資金であることが理想的です。
損益通算による節税効果が得られない
NISAでの投資運用によって得られた利益は非課税のため、ほかの投資口座との損益通算ができません。
損益通算とは、投資で出た損失をほかの運用益と相殺することで、利益に課税される税金を少なくできる仕組みのことです。
NISA口座ではなく一般口座や特定口座を使って投資をしている場合、発生した損失分を運用益から差し引きできるため、投資の損失によって節税効果が得られます。
NISA口座では、損失が出ても節税にはつながらない点に注意しましょう。
損失は繰越控除できない
損益通算と同様に、一般口座や特定口座を使った通常の投資では可能な繰越控除も、NISAでは使えません。
繰越控除は、損益通算しても損失が残った場合に、最大3年間繰り越して翌年の利益から差し引ける制度です。
利益に税金がかからないNISAでは、損失もなかったものとみなされ翌年への繰越ができません。
とくにNISA以外にも投資をしている方は、NISAでの投資と通常の投資で、課税の仕組みにおける違いを把握しておきましょう。
株価下落がもたらすNISAのメリット
NISAでの積立投資は、株価の下落によって安く購入できる点がメリットでもあります。
前述のとおり、同じ銘柄に毎月一定額を積立投資する「ドルコスト平均法」では、株価の下落によって購入価格が下がると、より多くの口数が購入可能です。
積立投資の成果は「売却時の価格×口数」で決まります。
購入口数が増えることで、投資の成果を高める効果が得られます。
また、これまでよりも安い金額で購入できると、その分株価が上昇したときの差額が大きくなるため、より大きなリターンが狙いやすいといえるでしょう。
今は株価の下落が続いたとしても、長期的に保有しているあいだには値上がりする可能性も高まります。
相場の暴落は、安い価格で投資商品が購入できるチャンスととらえて、コツコツと積立を続けていきましょう。
暴落はチャンスととらえよう!
新NISA制度の特長と旧NISA制度との違い
ここからは、2024年からスタートした新NISAと2023年までの旧NISAを比較して、新NISAがどのように使いやすくなったのかを説明します。
まずは、新NISAと旧NISAの違いを表で見ていきましょう。
新NISAは、旧NISAのメリットがさらに享受しやすくなり、より長期的な資産形成が目指せる制度にパワーアップしています。
新NISAと旧NISAを比較して、新NISAについての理解を深めましょう。
参考:金融庁「NISAを知る」
「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の併用が可能
新NISAが「より使いやすくなった」といわれる理由の1つに、つみたて投資枠と成長投資枠のどちらにも投資が可能になった点が挙げられます。
旧NISA制度では、つみたてNISAか一般NISAのどちらかにしか口座を開設できませんでした。
新NISAに生まれ変わってからは、長期の積立・分散投資に向いた投資信託が購入できるつみたて投資枠と、幅広い商品が購入できる成長投資枠の両方が利用可能です。
そのため、「投資信託で長期的な積立投資をしながら個別株投資にもチャレンジする」といった投資方法が、手軽に行えるようになりました。
口座開設期間の恒久化
新NISAは利用できる期間に定めがなくなったため、いつから始めても制度のメリットを十分に活用できるようになりました。
旧NISAは口座開設や運用可能な期間に限りがある制度でした。
たとえばつみたてNISAであれば、買い付けは2023年まで、NISA口座での運用は買い付けから20年後の2042年までと決まっています。
新NISAに移行してからは、対象年齢の18歳以上であればいつでも自分のタイミングで口座を開設できます。
将来の備えとしての資産形成にさらに取り組みやすくなりました。
非課税保有期間の無期限化
新NISAに加わったメリットには、投資で得た利益に課税されないまま保有できる期間が無期限になった点も挙げられます。
これまでのNISAでは、運用益に税金がかからない期間が「つみたてNISAは20年間、一般NISAは5年間」と限定されていました。
そのため非課税保有期間の終了が近づくと、売却のタイミングを図ったり、別の課税口座に払い出ししたりの手続きが必要でした。
新NISAでは、運用益に課税されないままずっと保有し続けられます。
期限に縛られないため、適切な投資判断やより長期的な運用が可能となりました。
非課税保有限度額の拡大
運用益に税金がかからないのが魅力のNISAですが、新NISAでは非課税で運用できる金額が拡大され、さらに税制メリットが大きくなりました。
2024年からの新しいNISAでは、生涯を通じての非課税保有限度額が1,800万円までに引き上げられています。
1,800万円の上限まで使い切った場合でも、売却後には再利用が可能です。
たとえば取得時の価格が300万円の商品を売却した場合には、翌年には300万円分の新たな買い付けが可能になります。
ただし1,800万円のうち、成長投資枠に対しては1,200万円の上限が設定されています。
一方、つみたて投資枠は上限がなく、1,800万円すべてを利用することも可能です。
新NISAの運用ポイント
さまざまなメリットのある新NISAは、いくつかのポイントを押さえておくと、よりしっかりと制度の恩恵を受けられます。
- 目的に沿った商品を見極める
- 長期的な視点で分散投資に取り組む
- 新NISAの特長「非課枠の再利用」を活用する
- 余剰資金で取り組む
運用のポイントをチェックして、新NISAをうまく活用していきましょう。
目的に沿った商品を見極める
NISAでの投資を始める前に、どのような商品に投資するのかを検討することが大切です。
投資商品は基本的に元本保証されません。
リスクを理解したうえで、投資する目的や投資に回せる期間などに合わせて商品を選ばなければ、必要なタイミングで必要な資金を用意できなくなる恐れもあります。
NISAで購入できる投資商品は、投資信託や株式、債権などさまざまな種類があり、それぞれで予測されるリスクやリターンが異なります。
商品ごとの特徴を理解し、自分の大切な資産をどの投資に回すのかを慎重に判断しましょう。
長期的な視点で分散投資に取り組む
NISAを使ってできるだけリスクの少ない資産形成を狙うのであれば、長期的な分散投資に取り組みましょう。
分散投資とは、投資先を複数の資産や地域に振り分けることです。
「株式と債券」「国内と海外」といったように、値動きが異なる複数の資産を組み合わせることにより、資産全体の価格変動リスクを抑える効果に期待できます。
ひとつの商品に複数の資産が組み入れられたバランス型の投資信託は、その1本を購入するだけで分散した資産への投資が可能です。
同様に、投資するタイミングを分散できる積立投資も、リスク回避につながります。
また、長期的な運用によって収益の振れ幅は安定しやすくなります。
NISAでの積立投資を長期運用していく手法は、リスクを抑えたい投資初心者の方にも向いている手法といえるでしょう。
新NISAの特長「非課枠の再利用」を活用する
新NISAの魅力でもある「非課税枠の再利用」をうまく活用すると、生涯にわたってNISAのメリットを受けられます。
旧NISAでは購入した商品を売却しても非課税での投資枠は再利用できませんでしたが、新NISAでは売却した翌年から再利用できます。
1,800万円の非課税枠内で購入・売却が自由に繰り返せる仕組みを活用すれば、必要なタイミングで投資資産の一部を現金化し、再び非課税枠で投資を始めることが可能です。
柔軟な投資運用ができるため、非課税枠内の投資であれば生涯をとおしてNISA制度を活用できます。
余剰資金で取り組む
非課税投資枠の拡大が新NISAのメリットではありますが、とはいえ投資枠を埋めるために無理な投資をするのは禁物です。
生活費や近々使う予定のあるお金までも投資に回してしまうと、現金がすぐに必要となり、価格が下落しているタイミングでの売却を余儀なくされる恐れがあります。
そうなると、元本から大きく目減りしたお金しか手元に戻ってこないかもしれません。
投資のリスクを抑えるには長期運用が大切です。
最低でも半年分の生活費は預貯金に蓄えたうえで、しばらくは使う予定のない余剰資金での投資を心がけましょう。
ライフイベントに応じた資産形成を考える
新NISAを活用して自分の資産をうまく育てるには、出産や住宅購入などのライフイベントに合わせた投資プランを立てましょう。
たとえば子どもの学費に備えるのであれば、最長でも18年ほどの運用期間になります。
現金が必要になるタイミングは先送りできるものではないため、比較的リスクの低い投資信託を選んだり、早い時期から段階的に現金化したりといった工夫が必要です。
非課税保有期間が無期限、さらに非課税投資枠の再利用が可能になった新NISAは、ライフイベントに備えた資産形成に生涯とおして活用できます。
必要なタイミングで資金を現金化しながら空いた投資枠で再び投資を繰り返し、老後資金も備えていけるのが理想といえるでしょう。
まとめ
2024年から始まった新NISAでの積立投資は、株価が暴落していても続けたほうがよいでしょう。
株価暴落時にも積立投資を続けることで、相場が回復したときに得られるリターンが大きくなる可能性が高まります。
逆に、暴落に慌てて投資資産を売却するのは、損失が確定してしまうため避けるべきでしょう。
株価の暴落は元本割れが生じるリスクが高まりますが、安く購入できる点がメリットにもなります。
これまでと同じ金額でより多くの口数が購入できるため、株価が上昇したときの売却益は大きくなります。
2024年からの制度変更によって、NISAはより使いやすく税制メリットが大きい制度へと生まれ変わりました。
自分の目的やニーズに合った投資商品を選び、長期的な分散投資を心がけて、新NISAのメリットをうまく活用していきましょう。