この記事を書いた人
船橋寛之(ふなばしひろゆき)
1984年生まれ。
ドイツ育ちの不動産投資家。
不動産投資歴16年。
立教大学 経済学部卒。
リーマンショックの時に新卒で区分マンションを購入し、東京23区を中心に最大6棟55部屋を所有。
大和証券、大和総研に11年間勤務後、不動産コンサルタントとして独立。
現在は年間20億円以上の「非公開物件」仲介を行う。強みは「物件情報力」で、経験を活かしてセミナー講師や執筆活動にも携わる。
私生活では子供3人を育てる「ほぼ主夫」。
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旧耐震基準の物件は、新耐震基準の物件に比べて価格が安く、立地条件も魅力的な場合が多いですが、その一方で耐震性や老朽化のリスクが考えられます。
そのため、旧耐震基準の中古マンションを購入しようと考えている方にとって、そのリスクや注意点を理解することは非常に重要です。
この記事では、旧耐震基準の中古マンションを選ぶ際のリスクやデメリット、そして注意点を詳しく解説しますので、購入を検討している方はぜひ参考にしてください。
旧耐震は基本的に高難易度だよ!
Contents
旧耐震基準とは

旧耐震基準とは、1981年6月1日以前に施行されていた建物の耐震設計に関する基準のことを指します。
この基準は、建物が震度5強程度の地震に耐えられることを目的として策定されました。
しかし、後に発生した大地震によりその限界が露呈され、建物の安全性に対する信頼性が問われるようになりました。
そのため、新たに策定されたのが新耐震基準です。この2つの基準の違いについて、また旧耐震基準が見直された背景について説明します。
旧耐震基準の理解は、特に中古マンションの購入を検討する際に重要です。

旧耐震基準と新耐震基準との違い
旧耐震基準と新耐震基準の大きな違いは、想定される地震の規模です。
旧耐震基準は震度5程度の地震に耐えることを目的としており、1981年(昭和56年)6月1日以前に建てられた建物に適用されていました。
一方、新耐震基準は1981年6月1日以降の建築確認から適用され、震度6強以上の大地震にも耐えられるように設計されています。
この基準の違いにより、建物の構造設計や使用材料が見直され、新耐震基準に基づく建物はより高い耐震性能を持つことが期待されています。
そのため、旧耐震基準の物件を購入する際には、耐震補強の必要性やリスクを十分に考慮することが重要です。
旧耐震基準が見直された背景
旧耐震基準が見直された背景には、1978年に発生した宮城県沖地震があります。
この地震は最大震度5を記録し、多くの建物に被害をもたらしました。このような大規模災害を契機に、当時の耐震基準では十分でないことが明らかになり、建築基準法の改正が行われました。
この改正により、1981年に新耐震基準が制定され、建物の耐震性能が大幅に強化されたのです。
日本は地震が多いもんね・・・
新基準では、地震の際に建物が倒壊しないことを重視し、人的被害を最小限に抑えることを目的としています。
このような背景から、旧耐震基準に基づく建物に対する見直しが進められ、新耐震基準の適用が広がりました。
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「耐震基準適合証明書」の要件
耐震基準適合証明は、対象建物が現在の耐震基準に適合しているかを証明するものです。
耐震基準適合証明書を取得するためには、まず対象の建物が現行の耐震基準に適合していることが必要です。
具体的には、構造計算や耐震診断を行い、建物が地震に対して十分な耐力を有していることを確認します。
また、古い物件であっても、必要な補強工事を実施することで、この証明書を取得できる場合があります。
住宅ローン減税や登録免許税の軽減措置など、さまざまな税制上の優遇が受けられる可能性を考えると、この証明書を取得しておいたほうがよいでしょう。
物件購入を検討する際には、耐震基準適合証明書が取得できるか、確認しておくことをおすすめします。
耐震基準・新耐震基準の見分け方

旧耐震基準と新耐震基準のどちらの物件かを見分けるには、まず「建築確認日」を確認することが重要です。
建築確認日は、建築確認申請が受理された日を指し、この日付によって耐震基準の適用が判断されます。
具体的には、1981年6月1日以降に建築確認を受けた建物は新耐震基準に該当します。
一方、この日付以前に確認を受けた建物は旧耐震基準に該当するため、注意が必要です。
旧耐震基準の中古マンションは危険?

旧耐震基準のマンションだからといって、すべてが危険なわけではありません。
耐震基準というのは最低限のレベルを示す基準のため、古い物件であっても耐震性に配慮された建物はあります。
また地震による建物被害は、震源地との距離や地盤の性質にも影響されます。
このように、旧耐震基準の建物は地震時に必ずしも被害が生じるわけではありませんが、新しいマンションと比べると、耐震性が劣る可能性があるでしょう。
そのため、中古マンションの購入を検討する際には耐震性の確認が不可欠です。
また、旧耐震基準の中古マンションにはさまざまなリスクやデメリットがあるため、その点も理解したうえで選ぶことが重要です。
旧耐震基準の中古マンションを購入するリスクやデメリット

旧耐震基準で建てられた中古マンションを購入する際には、いくつかのリスクやデメリットを考慮する必要があります。
まず、震災リスクです。旧耐震基準の物件は、地震時の安全性が新耐震基準に比べて劣ることが多く、大規模な地震に対しての耐性が不十分である可能性があります。
次に老朽化リスクです。
建物の老朽化が進行している場合、修繕や維持管理に多額の費用がかかることがあります。
築古物件は修繕費が高額になるのはどの不動産でも一緒だよ!
そのほかにも、建て替えや改修のリスク、修繕積立金が高額になりやすいこと、住宅ローンや税金に関する優遇措置が利用できないこと、不動産投資ローンの審査に通りにくいといったデメリットがあります。
これらを踏まえ、購入の際には慎重に判断してください。

震災リスク
旧耐震基準の中古マンションは、震災時におけるリスクが比較的高いとされています。
特に、阪神淡路大震災の調査結果によると、旧耐震基準のマンションは新耐震基準のものよりも大破や中破の割合が高かったことが報告されています。
これは、旧耐震基準が震度5強程度の地震を前提として設計されていたためです。
阪神淡路大震災は震度7で、旧耐震基準を超える強さの地震でした。
今後また大規模地震が起きるとすると、旧耐震基準ではそれに耐えるのは難しいかもしれません。
そのため、購入を検討する際には、耐震補強の有無や建物の構造を十分に確認することが重要です。
また、地震保険の加入もリスク管理の一環として考慮する必要があります。
参考:東京カンテイ「阪神・淡路大震災から五年 被災マンションの復興状況」
老朽化リスク
旧耐震基準の中古マンションは築年数が経過していることが多く、老朽化リスクが高まります。
鉄筋コンクリート造の法定耐用年数は47年とされていますが、時間の経過とともに建物の構造部分や設備が劣化していくのは避けられません。
特に、配管や電気設備の老朽化は、修繕や交換が必要になることがあり、コストがかかる場合があります。
また、外壁や屋根の防水性能が低下することで、雨漏りや外壁のひび割れといった問題が発生するリスクも考えられます。
これらの問題は、住環境の快適さに影響を与えるだけでなく、将来的な資産価値の低下にもつながる可能性があるでしょう。
購入前には、建物の状態をしっかりと確認し、必要に応じて専門家による調査を依頼することが重要です。
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建て替え・改修リスク
旧耐震基準の中古マンションを購入する際には、建て替えや改修に伴うリスクを考慮する必要があります。
たとえ現時点で建物や設備が使用可能であっても、将来的に新耐震基準に適合させるために建て替えられることもあるためです。これにより、予想外のコストが発生する可能性があります。
また、老朽化が進行している物件では、大規模な改修が必要になることも想定されます。
このような改修には多額の費用がかかるため、購入前に十分な資金計画が重要です。
旧耐震基準の物件を選ぶ際には、これらのリスクを理解し、将来的なコストについても考慮することが必要です。

修繕積立金が高額になりやすい
旧耐震基準の中古マンションは、建物の老朽化によって修繕が必要な箇所が多くなる傾向があります。
そのため、修繕積立金も高額になりやすいのが実情です。
特に、耐震補強や大規模修繕が必要な場合、これらの費用が積立金からまかなわれるため、負担が大きくなります。
結果として、住民一人ひとりが負担する修繕積立金の額が増え、購入後のランニングコストが予想以上に高くなることがあります。
したがって、購入前に修繕積立金の現在の金額や今後の見通しについて、しっかりと確認することが重要です。

住宅ローンや税金に関する優遇措置が利用できない
旧耐震基準の中古マンションを購入する際には、住宅ローン控除や贈与税の非課税制度といった税制上の優遇措置が利用できないことがあります。
これらの優遇措置は、耐震基準を満たしていることが条件とされるケースが多く、旧耐震基準の物件では対象外となる場合があるためです。
その結果、購入後の経済的負担が新耐震基準の物件に比べて増加する可能性もあるでしょう。
旧耐震基準の物件の購入を検討する際には、これらの点を十分に理解し、長期的な資金計画を立てることが重要です。
不動産投資ローンの審査に通りにくい
旧耐震基準の中古マンションは、不動産投資ローンの審査に通りにくいというデメリットがあります。
これは、旧耐震基準の物件が新耐震基準に比べて担保評価が低くなりがちなためです。
金融機関は、物件の耐震性を重視するため、担保としての価値が低いと判断されると、借り入れの条件が厳しくなることがあります。
また、物件の老朽化や耐震性能の不安から、金利が高く設定される可能性もあるでしょう。
したがって、旧耐震基準のマンションを投資目的で購入する際には、事前に金融機関の審査基準を確認し、慎重な資金計画が求められます。
旧耐震基準の中古マンションのメリット

旧耐震基準の中古マンション購入についてのリスクやデメリットを紹介しましたが、もちろん魅力的なメリットもあります。
まず、価格が比較的安いことが挙げられます。
新耐震基準の物件に比べて、コスト面で大きな優位性があるため、予算を抑えたい方には魅力的です。
また、旧耐震基準の物件は、立地条件が良いことが多いです。都市部や便利な場所に位置していることが多く、生活利便性の高い環境を手に入れられます。
これらのメリットを理解したうえで、購入を検討するのも一案かもしれません。
比較的安く購入できる
旧耐震基準の中古マンションは、築年数が経過していることから、比較的価格が安い物件が多いです。
一般的に築25年を超えるとマンションの価値が下がってきます。旧耐震基準の中古マンションとなると、さらに価格がリーズナブルになるでしょう。
特に、不動産投資を考えている方にとっては、初期投資を抑えられ、魅力的な選択肢となります。
市場価格が安い理由としては、耐震性に関する不安があるためですが、その分、同じ地域で新耐震基準の物件と比較すると手頃な価格で購入できる場合が多いです。
また、物件価格が低い分、その後のリノベーションや耐震補強工事に資金を回す余裕が生まれることもあります。

立地の良い物件が多い
旧耐震基準の中古マンションは、築年数が古いほど立地に恵まれているケースが多いです。
なぜならば、マンションは利便性の良い場所から建てられていくためです。特に都市部では、交通の利便性や生活施設へのアクセスが良好な場所に位置していることが多く、住環境としての魅力は高いでしょう。
こうした立地の良さは、購入後の資産価値を保つ要因ともなります。
不動産投資を考えている方にとって、立地の良い物件は魅力的な選択肢となるでしょう。
ただし、耐震性については十分な注意が必要なため、購入前に専門家による調査を受けることをおすすめします。


旧耐震物件を購入するときの注意点

旧耐震基準の中古マンションを購入する際には、リスクとメリットを十分に理解したうえで、慎重に進めていきましょう。
特に、耐震性や物件の構造、マンションが建てられている地盤の強度などをしっかり確認する必要があります。
また、住宅性能評価書を確認したり、出口戦略を明確にしたりすることも大切です。
以下では、注意点について具体的に解説します。
「壁式構造」の物件を選ぶ
旧耐震基準の中古マンションを選ぶ際には、「壁式構造」の物件を優先することがおすすめです。
壁式構造とは、壁で建物を支える構造のことで、柱と梁で建物を支えるラーメン構造に比べて耐震強度が高いとされています。
特に、震災リスクを考慮する場合、建物の揺れを抑える壁式構造は安心材料の一つとなるでしょう。
また、この構造は地震時の変形が少なく、耐久性も向上します。
したがって、購入時には建物の構造を確認し、可能であれば壁式構造の物件を選ぶことで、地震に対する備えを強化できます。
住宅性能評価書の内容を確認する
住宅性能評価書は、建物の耐震性能や省エネルギー性能を確認するための重要な書類です。
旧耐震基準の中古マンションを購入する際には、特にこの評価書を確認することで、建物の安全性についてしっかりと理解しておく必要があります。
評価書には、耐震等級や断熱性能、劣化対策の状況が記載されており、これらの情報をもとに物件の現状が把握可能です。
購入後のリスクを最小限に抑えるためにも、評価書の内容を詳しく確認し、必要に応じて専門家に相談することをおすすめします。
ただし、旧耐震基準の中古マンションの場合は住宅性能評価書がないことも多いため、まずは住宅性能評価書が発行されているかを確認しましょう。
地盤の強度を調べる
旧耐震基準の中古マンションを購入する際には、地盤の強度を確認することが重要です。
地盤データや市区町村が提供する災害予測データを活用して、物件の所在地の地盤の強度を事前に調べておくことで、震災時のリスクを軽減できます。
地盤が弱いと、建物の耐震性に直接影響を与えるため、購入前に地盤調査の結果をしっかり確認しておきましょう。
過去に地震や土砂災害が発生した地域や、災害のリスクが高い地域では、より詳細な地盤調査を依頼することをおすすめします。
出口戦略を明確にしておく
旧耐震基準の中古マンションを購入する際には、出口戦略を明確にしておきましょう。
これらの物件は築年数が経っており、買い手が付きにくい特徴があります。
そのため、購入した後の売却や賃貸に関する選択肢が限られてくる可能性があります。
購入前に将来的な売却計画や賃貸戦略をしっかりと考慮し、物件の市場価値をよく理解しておくことが必要です。
また、現地の不動産市場の動向を把握し、適切な時期に出口を見つけるための準備を整えておきましょう。
計画的な出口戦略を持つことで、リスクを最小限に抑え、長期的な不動産投資の成功につなげていけます。

まとめ

旧耐震基準の中古マンションを購入する際には、さまざまなリスクと注意点があります。
しかし、一方で価格や立地のメリットも存在します。
購入を考えている方は、物件の構造や地盤の強度、修繕積立金の状況をしっかり確認し、住宅性能評価書などの資料を活用して安全性を確保することが重要です。
また、出口戦略を明確にしておくことで、将来的なリスクを軽減できます。
購入を検討する際は、これらの点を踏まえて慎重に判断することをおすすめします。
