購入編

【不動産投資】区分マンションと1棟物件で価格が落ちやすいのはどっち?~価格の下落率を把握する~

区分マンションと1棟では、価値の下落率に差があります。

区分マンションの方が、築年数がかなり古くなると価格は下落しがちです。

特に、バブル時代に建設された、エリアがあまり強くないようなところでは顕著です。

1棟物件は、一定のところまで価格が下がると、下落は止まります。

かなり古い区分マンションはハイリスクになるってことだね

なぜでしょうか。

内容を動画でまとめました!
↓ ↓ ↓ ↓

区分マンションは実質利回りが低下する

区分マンションは、築年数が古くなると、価格が落ちてきて、利回りがかなり上がってきます。

利回り20%!

という物件を見て、魅力的!なんて思ってはダメです。

表面的な利回りでみると、確かに魅力的ですが、区分マンションは築年数が古くなると、実質利回りがかなり下がります。

そのカラクリは、家賃、管理費、修繕積立金の3つにあります。

 

特に、バブル期に建築された、

・専有面積が15㎡前後~20㎡

・3点ユニット

・エリアが微妙(東京都心部以外)

・取れる家賃が4万以下

という手のマンションは非常に注意が必要です。

神奈川、千葉、埼玉のそこそこ悪くなさそうなエリアでも、100万台になっていることはザラにあります。

ドックフードが沢山買えるワン

利回りも20%前後ないと売れないような状態になっています(2020年現在)。

上記のような区分マンションを選択するのであれば、都心部に絞るべきです。

都心部であれば建て替えも視野に入りますし、旧耐震でも積極的に取引されていますが、そうでないと売るのも非常に大変になります。

勿論相場でしっかりと安く購入して回せれば良いのですが、これから挙げる実質利回りが低いだけでなく、売却時のキャピタルが狙いない点で、利益は想像以上に出ないでしょう。

 

区分マンションは、管理費と修繕積立金があり、定められた金額を支払う必要があります。

区分マンション投資の収入は、家賃です。

支出は、

・ローン

・管理費

・修繕積立金

・固定資産税

がメインで、入退去時に室内の修繕費用負担などがあります。

築年数が古くなると、家賃が下がります。

これは、不動産であれば全体的に言えることです。

しかし、支出項目である管理費は変わりません(稀に上がることすらあります)。

さらに、修繕積立金は、ほとんど間違いなく、上がります。

修繕積立金は、築年数が浅い間は低めに設定されており、最終的に上がっていきます。

最初から上げることを前提に修繕費が設定されているので、ほとんどの区分マンションの修繕積立金は、古くなると上がってしまうのです。

そうするとどうでしょうか?

家賃は下がるのに、管理費は変わらず、修繕積立金は上がるのです。

すると、収支は確実にかなり悪くなります。

【築浅】

家賃:65,000円

管理費:9,000円

修繕積立金:4,500円

固定資産税(月額):3,500円

ローン(月額):40,000円

家賃と支出の差額(CF):8,000円

 

【築古】

家賃:50,000円

管理費:9,000円

修繕積立金:12,500円

固定資産税(月額):3,000円

ローン(月額):40,000円

家賃と支出の差額(CF):▲14,500円

お分かりいただけましたでしょうか。

修繕積立金は、築浅と築古を比較した場合、築古では数倍になることも珍しくありません。

築浅で持っているときはプラスで稼働していたものの、古くなると、家賃の下落と修繕積立金の上昇というダブルパンチで、収支がマイナスに転じるのです。

 

多くの買主は、家賃から、各種支出を引いた金額で収支を計算します。

その金額を価格で割ると、実質利回りが出てくるのです。

支出が大きいと、物件購入の旨味が無いので、敬遠されるようになります。

よって、価格をどんどん下げないと買い手が付かなくなるのです。

例えば次のような物件があった場合、どちらのほうが魅力的でしょうか(同じようなエリアの似たマンションとします)。

ローンは加味しません。

【物件A】

物件価格:600万円

表面利回り:10%

家賃:50,000円

管理費:9,000円

修繕積立金:12,500円

固定資産税(月額):3,000円

家賃と支出の差額:25,500円

 

【物件B】

物件価格:800万円

表面利回り:7.5%

家賃:50,000円

管理費:4,500円

修繕積立金:6,800円

固定資産税(月額):2,400円

家賃と支出の差額:36,300円

利回りは低く見える物件Bの方が、実は「家賃と支出の差額」は大きいのです。

よって、この場合、物件Bを買った方が、収支が良いという結果になります。

区分マンションは築年数が古くなってくると、物件Aのような状態に陥りがちです。

古くなると投資の旨味が減ってくるので、価格もその分落ちやすいのです。

家賃が下がるのに支出は上がるんだね

 

価格が落ちやすいもう一つの理由は、融資が付かなくなることです。

1棟や戸建てであれば、土地に資産価値があるので、古くても評価が出て融資はつきますが、区分マンションだと、なかなかそうはいきません。

よって、

買える人が限られる = 売れない = 価格が落ちやすい

ということになるのです。

2020年に神奈川県の築30年台のワンルームマンション売却をやりましたが、価格はなんと190万でしか売れませんでした。

利回りは22%です。

レインズベースでみても、このくらいの利回りがないと買い手がつかない状態なのです。

価格が安いからなんとなく安心!

と思っていたら危険です。

不動産のリスクは、価格ではなく相場で判断すべきです。

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出口が取りにくい~融資問題に直面~

築年数が古くなると、融資が付きにくくなります。

区分マンションでは顕著で、どの業者も転売用での購入はしなくなります。

多くの銀行は、銀行単位で定めている年数 – 築年数 で融資期間を決めます。

築10年の物件であれば融資期間35年は取れますが、築40年の物件であれば、そうはいきません。

銀行の評価も、築年数が古くなればなるだけ下がります。

不動産投資は出口で売却して初めて利益が確定します。

古い区分は、表面利回りの観点で優れていても、売却時に稼ぐ!という不動産投資の旨味を経験しにくい可能性があるのです。

立地が良ければ古くても十分に売れます。

しかし、融資が付きにくいような物件を購入するのは、素人ではありません。

故に、少しでも高く買ってもらう、というのは難しくなります。

業者または現金購入者が主な参加者となるため、思うような値段で売れないことも想定しておくと良いでしょう。

間違えても再建築時に価値がなさそうな古い物件は買わないでください。

やっぱり立地なんだなワン

1棟には土地の価値がある

1棟物件の場合、土地の価値があるので、その価値以降は値段が落ちなくなります。

戸建ても同じです。

土地値以降は、築年数が50年であろうが60年であろうが、値段に変化が出てこなくなるのです。

また、区分マンションとは違い、管理費と修繕積立金と言う重い項目はないので、収支もよくなります(但し、一定期間において、大規模修繕を実費で行う必要はある)。

1棟は、所有者の権限で取り壊しや建て替えができます。

古い建物であっても、再建築すれば新築に戻ります。

よって、土地の価値より値段は下がらなくなるのです。

勿論、再建築したいと思えるような場所であることは前提です(人口が減って需要がないようなエリアでは再建築のニーズもないので、土地はただ同然で取引されることもあります)。

また、古くなる時にかかる大規模修繕も、そのほとんどは火災保険でカバーできる点においても、1棟は意外に修繕コストがかからないのです。

例えば、

土地値:3,000万円

建物:4,000万円

という、総額7,000万円の新築1棟アパートがあるとします。

このアパートは、築年数が経過するごとに価格は下がりますが、3,000万円以下にはなりにくいのです。

土地の価値自体が3,000万円あれば、そこが価格下落の終着点となります。

土地に価値がある点で、銀行の評価が出ます。

よって、古くなっても融資は問題なくつくのです。

2020年にお客様が購入した事例でいうと、築47年の木造借地権の物件に、

・融資額80%

・融資期間25年

で融資が付きました。

古くても沢山のパターンで出口があるので、1棟は非常に安心なのです。

まとめ

区分マンションは、所有者が沢山いるため、建て替えは困難です。

建て替えのハードルは、かなり高いと理解しておくべきです。

エリアがかなり都心であれば、所有者は建て替えに積極的ですし、建て替えが実現することはあるでしょう。

しかし、場所が微妙であればそうもいかないのが現実です。

これに比べ、1棟であれば、本人の意思があれば建て替えられるので、古くなっても再建築が視野に入ります。

再建築したいハウスメーカーや業者も購入に参入してくるでしょう。

1棟について、古くなっても流動性が保たれるのは、このような再建築が視野に入るからなのです。