この記事を書いた人
船橋寛之(ふなばしひろゆき)
1984年生まれ。
ドイツ育ちの不動産投資家。
不動産投資歴16年。
立教大学 経済学部卒。
リーマンショックの時に新卒で区分マンションを購入し、東京23区を中心に最大6棟55部屋を所有。
大和証券、大和総研に11年間勤務後、不動産コンサルタントとして独立。
現在は年間20億円以上の「非公開物件」仲介を行う。強みは「物件情報力」で、経験を活かしてセミナー講師や執筆活動にも携わる。
私生活では子供3人を育てる「ほぼ主夫」。
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近年、リースバック市場では高齢者を中心とした深刻なトラブルが急増しており、社会問題となっています。
「住み続けられる」という甘い言葉に騙され、突然の家賃値上げや勝手な物件転売、買い戻し約束の破綻などで住居を失う被害が続出しています。
売却価格が市場相場の60~70%に下落し、周辺より高額な家賃設定となるリスクもあります。
本記事では実際のトラブル事例7選から悪質業者の手口、そして被害を防ぐための7つの防御策まで、リースバックの危険性と安全な資金調達方法について詳しく解説します。
自分にとって都合のいい話を信じるのはいかなる場合も厳禁だよ!
Contents
リースバックがトラブル市場で急増する被害の現状
近年、リースバック市場では深刻なトラブルが急増しており、特に高齢者を中心とした被害が社会問題となっています。
高齢者を標的とする悪質業者の実態
悪質なリースバック業者は、経済的に困窮する高齢者を意図的に標的にしています。
これらの業者は「住み続けられる」「安心な老後資金確保」といった甘い言葉で高齢者を誘い、十分な説明を行わずに契約を急がせる手口を使用します。
特に認知機能の低下した高齢者や、家族と離れて暮らす独居高齢者が被害に遭いやすい傾向にあります。

国土交通省も警鐘を鳴らす深刻な状況
国土交通省は2023年にリースバック事業に関する実態調査を実施し、業界全体の課題を指摘しています。
同省の調査では、約30%の事業者で契約内容の不十分な説明や、リスク説明の不足が確認されました。
これを受けて、業界ガイドラインの策定や事業者への指導強化が検討されている状況です。
被害報告件数と消費者センターへの相談急増
主な相談内容は家賃の突然の値上げ、勝手な物件転売、買い戻し約束の破綻などが上位を占めています。
やばいな・・・情弱ビジネスだ
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リースバックの基本的なリスク構造
リースバック契約には、サービスの仕組み上、避けることが困難な構造的リスクが存在します。
これらのリスクを理解せずに契約すると、予想以上の経済的負担や居住の不安定化につながる可能性があります。
売却価格が市場相場の60~70%に下落する
リースバックでの売却価格は、通常の不動産売却と比較して大幅に安くなる傾向があります。
一般的には市場価格の60~80%程度での買取となり、例えば3,000万円の物件であれば1,800万円~2,400万円での売却となります。
この価格差は、買取業者が将来的な転売リスクや賃貸経営リスクを価格に反映させるためであり、構造的に避けられない問題です。

周辺相場より高額な家賃設定
リースバック後の家賃は、売却価格を基準に年利8~12%で計算されるケースが多く、結果として周辺の賃貸相場を上回る設定となります。
2000万円で売却した場合、年間家賃は160万円~240万円(月額13万円~20万円)となり、同エリアの類似物件より2~3割高い家賃を支払い続けることになります。
長期間住み続ける場合、この家賃負担が家計を大きく圧迫するリスクがあります。
住み続けられない定期借家契約
多くのリースバック契約では定期借家契約が採用されており、契約期間終了時に必ず退去しなければならない可能性があります。
契約期間は通常2~3年に設定され、延長には貸主の同意が必要となります。
貸主が再契約を拒否した場合、住み慣れた自宅から退去を余儀なくされ、新たな住居確保という深刻な問題に直面することになります。

リースバックのトラブル事例7選

実際に発生したリースバックのトラブル事例を通じて、どのような被害が起きているのかを具体的に確認していきましょう。
これらの事例は全て実際の相談事例を基にしており、同様のトラブルは今後も発生する可能性があります。
突然の家賃値上げで住居を失った
東京都内の70代女性のケースでは、契約時に「家賃は上がりません」と口約束されていたにも関わらず、2年後の契約更新時に月額8万円から12万円への大幅値上げを要求されました。
年金生活で支払いが困難となった女性は、やむなく住み慣れた自宅を離れることになりました。
契約書には家賃改定に関する条項があったため、法的な救済も困難な状況でした。
勝手な転売で新オーナーから退去要求を受けた
神奈川県の60代男性は、リースバック契約から1年後に突然新しいオーナーから退去通知を受けました。
契約していた業者が物件を第三者に転売していたため、新オーナーは賃貸借契約の継続を拒否し、立ち退きを求めたのです。
「転売はしない」という約束は口約束のみで、契約書に明記されていなかったため、法的な対抗手段がありませんでした。
これは現場でも本当によくある話だよ!
買い戻し約束を破られ住まいを失った
大阪府の65歳男性は、5年後の買い戻しを前提にリースバック契約を結びましたが、いざ買い戻しを申し出ると業者から拒否されました。
業者は「市場価格が上昇したため売却できない」と主張し、買い戻し特約の存在自体を否定しました。
口約束での合意だったため、書面での証明ができず、結果として住居を失うことになりました。
リースバック業者の倒産で路頭に迷った
福岡県の75歳女性が契約していたリースバック業者が経営破綻し、物件が競売にかけられることになりました。
新しい所有者は賃貸借契約の継続を認めず、即座の退去を要求しました。
高齢で新たな住居を見つけることが困難な状況で、一時的に親族宅に身を寄せる事態となりました。
高額な修繕費負担で家計が圧迫された
愛知県の68歳夫婦は、給湯器の故障修理費用として30万円の請求を受けました。
契約書の特約で「設備修繕は借主負担」と定められており、通常の賃貸契約では貸主負担となる修繕も全て自己負担となりました。
エアコンや水回りの修繕も続き、年間の修繕費負担が100万円を超える事態となりました。
相続人との関係悪化で家族が分裂した
埼玉県の72歳男性が家族に相談なくリースバック契約を結んだところ、相続予定だった息子夫婦から強い反発を受けました。
「勝手に資産を処分された」として息子夫婦との関係が完全に悪化し、家族としての交流が断絶される結果となりました。
経済的な問題解決のための手段が、より深刻な家族問題を引き起こしてしまいました。
契約時に説明されなかった高額諸費用の請求
千葉県の69歳女性は、契約後に測量費用50万円、事務手数料30万円など、契約時に説明されなかった諸費用の請求を受けました。
業者は「契約書に明記されている」と主張しましたが、複雑な契約書の細部まで理解していなかった女性には予想外の出費となりました。
これらの費用により、期待していた手取り額が大幅に減少する結果となりました。
リスクばっかだな・・・
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悪質リースバック業者の典型的な手口
悪質なリースバック業者は、巧妙な営業手法を使って契約者を騙そうとします。
これらの手口を事前に知っておくことで、危険な業者を見分けて被害を防ぐことができます。
強引な勧誘と契約を急かす営業手法
悪質業者は「今日決めてもらえれば特別価格で買い取ります」「明日までに契約しないと条件が変わります」といった言葉で契約を急かします。
また、訪問営業では長時間居座って帰らない、電話では何度も連絡するなど、心理的プレッシャーをかけて冷静な判断を妨げようとします。
正当な業者であれば、十分な検討時間を提供し、家族との相談も推奨するはずです。
デメリットを隠して利益だけを強調する説明
「家賃は周辺相場と同程度です」「永続的に住み続けられます」など、事実と異なる説明で安心感を与えようとします。
売却価格の安さや家賃の高さ、定期借家契約のリスクなど、重要なデメリットについては意図的に説明を避けたり、曖昧な表現でごまかそうとします。
契約書の重要事項についても「形式的なものです」と軽視させ、詳細な確認を避けさせる傾向があります。

口約束を多用し書面化を避ける
悪質業者は重要な約束事を口約束のみで済ませようとし、書面での確約を避ける特徴があります。
「家賃は上げません」「転売はしません」「必ず買い戻しできます」といった重要な約束を、契約書に明記することを拒否します。
後日トラブルが発生した際に「そんな約束はしていない」と主張するための意図的な手口です。
リスク回避のための7つの防御策
リースバックで失敗しないためには、事前の準備と慎重な判断が不可欠です。
以下の7つの防御策を実践することで、トラブルのリスクを大幅に軽減できます。
複数業者への査定依頼で適正価格を把握
最低でも3社以上の業者から査定を取得し、売却価格と家賃設定の妥当性を比較検討しましょう。
査定額に大きな差がある場合は、その理由を詳しく確認し、根拠となる計算方法を書面で提示してもらうことが重要です。
同時に、通常の不動産売却での市場価格も把握し、リースバック価格との差額が妥当な範囲内かを判断しましょう。
契約書の詳細確認と専門家への相談
契約書の内容は必ず専門家(弁護士、司法書士、ファイナンシャルプランナー)に確認してもらいましょう。
特に家賃改定条項、契約期間、修繕費負担、買い戻し特約については入念にチェックが必要です。
理解できない条項や曖昧な表現がある場合は、必ず業者に詳細説明を求め、書面での回答を得ることが大切です。
家族・相続人への事前説明と同意取得
リースバック契約を結ぶ前に、必ず家族や相続予定者に詳細を説明し、理解を得ておきましょう。
将来的に相続問題やトラブルの原因となる可能性があるため、できれば書面での同意書を作成することをおすすめします。
家族会議を開き、リースバック以外の選択肢も含めて十分に検討することが重要です。

家賃負担能力と将来収支の慎重なシミュレーション
現在の収入だけでなく、将来の年金減額や医療費増加なども考慮した長期的な収支計画を立てましょう。
家賃負担は月収の25%以内に抑えることを目安とし、緊急時の予備資金も確保しておく必要があります。
また、インフレによる生活費上昇も想定し、余裕のある資金計画を策定することが大切です。
買い戻し条件の書面化と具体的取り決め
買い戻しを希望する場合は、価格計算方法、行使期間、手続き方法などの詳細を必ず契約書に明記させましょう。
口約束では法的効力がないため、「再売買予約契約書」として別途契約書を作成することが重要です。
買い戻し価格の上限設定や、市場価格変動への対応方法についても事前に取り決めておきましょう。
業者の財務状況と実績の徹底調査
リースバック業者の会社概要、財務状況、過去の取引実績を詳しく調査しましょう。
上場企業や大手不動産会社のグループ企業など、経営基盤が安定している業者を選ぶことが重要です。
業界団体への加盟状況や、行政処分歴の有無についても確認し、信頼性の高い業者かどうかを判断しましょう。
クーリングオフ制度と相談窓口の事前確認
訪問販売によるリースバック契約はクーリングオフの対象となる場合があるため、制度の詳細を事前に確認しておきましょう。
契約後に不安を感じた場合の相談窓口として、消費生活センターや弁護士会の連絡先を控えておくことが大切です。
また、契約前に必ず家族や信頼できる第三者に相談し、客観的な意見を求めることをおすすめします。
安全な資金調達のための代替手段
リースバックにはリスクが伴うため、他の資金調達方法も検討することが重要です。
以下の代替手段は、それぞれ異なるメリットとデメリットがあるため、自分の状況に最適な選択肢を慎重に検討しましょう。
リバースモーゲージの活用
リバースモーゲージは自宅を担保にした融資制度で、生存中は利息のみの支払いで済みます。
死亡時に自宅を売却して元本を返済する仕組みのため、生前に自宅を失うリスクがありません。
ただし、金融機関の審査が厳しく、一戸建てが主な対象となっており、マンションでは利用できない場合が多いというデメリットがあります。
通常の不動産売却による住み替え
自宅を市場価格で売却し、より安価な住宅に住み替える方法です。
リースバックよりも高い価格で売却できるため、手元に残る資金が多くなります。
住み慣れた環境を離れる必要がありますが、家賃負担がない持ち家への住み替えや、家賃の安い賃貸住宅への移住により、長期的な住居費を抑えることができます。
不動産担保ローンや公的制度の活用
不動産担保ローンは自宅を担保にした借入で、所有権を手放すことなく資金調達が可能です。
また、生活福祉資金貸付制度などの公的制度を活用することで、低金利での借入や給付を受けられる場合があります。
これらの制度は審査に時間がかかりますが、リースバックよりもリスクが低く、安全性の高い資金調達方法といえます。
まとめ:リースバック トラブルから身を守る正しい知識と行動

リースバックは適切に活用すれば有効な資金調達手段ですが、数多くのリスクとトラブル事例が存在することも事実です。
最も重要なのは、甘い言葉に惑わされることなく、冷静かつ慎重に判断することです。
契約を検討する際は、必ず複数業者からの査定取得、専門家への相談、家族との十分な話し合いを行い、リスクを最小限に抑える準備を整えましょう。
また、リースバック以外の選択肢も含めて総合的に検討し、自分の状況に最も適した方法を選択することが大切です。
不安や疑問がある場合は、消費生活センターや専門家に相談し、決して一人で判断せずに安全な資金調達を実現してください。
