この記事を書いた人
船橋寛之(ふなばしひろゆき)
1984年生まれ。
ドイツ育ちの不動産投資家。
不動産投資歴16年。
立教大学 経済学部卒。
リーマンショックの時に新卒で区分マンションを購入し、東京23区を中心に最大6棟55部屋を所有。
大和証券、大和総研に11年間勤務後、不動産コンサルタントとして独立。
現在は年間20億円以上の「非公開物件」仲介を行う。強みは「物件情報力」で、経験を活かしてセミナー講師や執筆活動にも携わる。
私生活では子供3人を育てる「ほぼ主夫」。
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2024年8月に日本株が大暴落しました。
投資家の中には、含み損や損切り売却が発生した方も多くいたでしょう。
この記事では日本株が下がった要因と日本株暴落の歴史、暴落時の対処方法を解説します。
含み損が発生している銘柄をどうにかしたい、株式投資に対する不安を軽減したいと考える方はぜひ参考にしてください。
Contents
日本株価が歴史的暴落を迎えた2024年8月5日
2024年8月5日、日本平均株価は歴史的な暴落を迎えました。
株価は前週末から4,451円28銭安の3万1,458円42銭となり、およそ12%の下落で取引を終えています。
このようなときに損切するのはダメなんて言われることも多いよね。難しいけど・・・
株価を大きく下げた後場(ごば)では、797の銘柄がストップ安となりました。
ストップ安とは、株価の急激な変動により投資家に大損害や市場の混乱を与えないよう、前日終値からの下落を一定限度内に抑える制度です。
一定限度まで株価が下落した場合にストップ安となり、その日はストップ安の価格より低い価格での取引はできなくなります。
2024年8月5日のストップ安は、野村HD(8604)や伊藤忠商事(8001)、三井住友フィナンシャルグループ(8316)といった超大型株にもおよびました。
超大型株は一般的に、中小型株と比較し値動きが安定しているといわれ、ストップ安になるほど価格を下げることはまれです。
ここからも、下落幅がどれだけ大きかったかがうかがえるでしょう。
なお日経平均株価の下落は長くは続かず、翌6日には過去最大の上げ幅となる前日終値比3,217円高の3万4,675円46銭で取引を終えています。
また8月の日経平均株価月間騰落率はマイナス1.3%にとどまっており、1ヶ月単位で見ればそれほど大きな動きにはなりませんでした。
2024年8月:日本株価暴落の理由
2024年8月5日の日本株大暴落が発生した理由には、基準金利の引き上げと円高の影響があるといわれます。
ここでは、それぞれの要因を詳しく見ていきましょう。
基準金利の引き上げ
2024年7月末、日銀は基準金利を0.25%まで引き上げました。
加えて植田日銀総裁がさらなる利上げの可能性に言及したことが、8月5日に日経平均株価が大暴落した原因の1つといわれます。
基準金利が上昇すると個人や企業が金融機関から融資を受ける際の金利も上昇するため、資金調達がしづらい状況になります。
それにより個人の消費行動や企業の生産活動が縮小することで、景気悪化につながるといわれるのです。
植田日銀総裁はその後の国会での説明で、追加の利上げは適切であると言及しています。
そのうえで当面は高い緊張感を持って経済を注視する必要があるとも話しており、今回のような株価の乱高下が発生しないよう市場への一定の配慮を見せています。
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円高の影響
2024年8月1日の東京外国為替市場で対ドルの円相場は、一時的におよそ4ヶ月ぶりの円高水準となる1ドル148円台半ばに上昇しました。
このように為替が円高に動いたことも、8月5日の大暴落を招いた1つの理由とされます。
円高になると、日本の主要産業である輸出業に影響が出ます。
輸入企業にとっては外国の商品を安値で輸入できるメリットがありますが、国産商品の売り上げの減少による国内企業の収益悪化につながる可能性もあるでしょう。
これらの理由から、円高は日本経済を縮小させるといわれるのです。
円高が進んだ要因には、7月25日に発表された米国の労働需給の緩和や、前述した日銀の追加利上げの発表が挙げられます。
また、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は早ければ9月会合での利下げが選択肢になり得るとの認識を示しており、為替相場は今後さらに円高に進む可能性もありそうです。
2024年8月:値下がりした銘柄ランキング
2024年8月に値下がりした10の銘柄を、ランキングで紹介します。
参考:会社四季報オンライン「値下がりした銘柄ランキング(前月比)」8月30日時点
2024年8月:値上がりした銘柄ランキング
次に、2024年8月に値上がりした上位10銘柄を紹介します。
参考:会社四季報オンライン「値上がりした銘柄ランキング(前月比)」8月30日時点
日本株暴落の歴史
出典:日本経済新聞「日経平均、取引時間中の最高値上回る 一時3万9000円台」
2024年8月の日本株暴落は歴史的なものでしたが、日経平均株価はこれまでにも何度か大きな下落を経験しています。
ここでは、日経平均株価が大きく下がった4つの出来事を解説します。
歴史は繰り返す・・・
1985年:プラザ合意
プラザ合意とは過度な米ドル高を改善するために、アメリカ主導で取り決められた合意です。
アメリカと日本、イギリス、ドイツ、フランスの大蔵大臣および中央銀行総裁が会議を開催し、ドルに対して参加各国の通貨を一律10~12%幅で切り上げることが決定されました。
プラザ合意により、日本では円高が急激に進行しました。
これにより日本の主力産業である輸出企業の業績が悪化し、日経平均株価の下落につながったのです。
その後は金融緩和による利下げの実施により住宅投資や設備投資、個人消費が活発化したことで、円高による株安を脱しました。
1987年:ブラックマンデー
ブラックマンデーとは、1987年10月19日に起こったニューヨーク株式市場の大暴落です。
ダウ工業株30種平均が508ドル(22.6%)下落したことを受け、翌20日の日経平均株価は前日から14.9%の下落となりました。
しかし、アメリカと比較し日本市場の下げ幅は小さく影響は限定的でした。
翌年の1988年には日経平均株価は本格的に回復し、バブル景気へと進んでいきます。
2008年:リーマンショック
リーマンショックとは、米国の投資銀行大手リーマン・ブラザーズが負債総額6,000億ドル超となる史上最大級で倒産したことを発端とする、世界的な経済・金融危機です。
リーマン・ブラザーズは当時、大量に保有していたサブプライムローンを組み入れた証券化商品を保有していました。
サブプライムローンとは、低所得者を対象とした高金利住宅ローンです。
住宅ローンの借入は通常、返済力が認められた方にしか貸し出されません。
しかし当時のアメリカは住宅バブルにより住宅価格が上昇し続けていたため、低所得者でも住宅ローンの借入が可能だったのです。
住宅バブルが続いている間は、住宅ローンの返済が滞ることはありませんでした。
なぜなら返済が難しくなったときには、購入時よりも高い価格で住宅を売却することで、ローンを一括返済できたからです。
しかし住宅バブルの崩壊により不動産価格が下落すると、不動産を売却してもローンが残る事態となり返済不能者が続出しました。
これにより、サブプライムローンの証券化商品を大量に保有していたリーマン・ブラザーズは資金の回収ができなくなり、破綻したのです。
リーマンショックが日本経済に与えた影響は大きく、日経平均株価はバブル後の最安値水準を記録しました。
世界的な不況により自動車関連企業などの業績が悪化し、非正規雇用者が解雇される派遣切りが問題となったのもこの時です。
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2011年:東日本大震災
東日本大震災発生時も、日本株は大きく下落しました。
下落率は10.55%で、1987年のブラックマンデー、2008年のリーマンショック後に次ぐ過去3番目の下げ幅を記録しています。
地震発生直後はソニーやホンダといった大型株や、損害保険会社の株価が大きく下がりました。
翌週に福島第一原発3号機での爆発事故が報じられると、東京電力株がストップ安となりました。
東京証券取引所第一部上場銘柄のうち、97%が値下がりしたことからも、どれだけ大きな下落だったかがわかるでしょう。
日本株価暴落による社会への影響
ここでは、日本株暴落により個人や企業が受ける影響を、それぞれ解説します。
個人投資家の不安拡大
株価が暴落すると、個人投資家の不安が拡大します。
2024年に新NISAがスタートしたことで、資産運用の1つとして新たに積立投資を始めた個人投資家も少なくありません。
そのような方にとって、投資開始から間もない8月に株価が暴落したことは、大きな不安材料になると考えられます。
NISAは、長期での資産形成を目指す制度です。仮に株価が下がり含み損になったとしても、長期で保有し続ければ配当金の積み上げによる損失の相殺ができるケースもあります。
株式投資をするにあたっては短期的な価格の下落で慌てて資産を売却するのではなく、ぜひ長期的な目線を持って運用を考えてみてください。
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企業の業績悪化
日本株の暴落は、企業の業績悪化を招く可能性もあります。
東京商工リサーチ(TSR)の調査によると、株価下落による影響を受けたと回答した大企業の割合は全体の約40%でした。
そのほか「受注が減少する可能性がある」「設備投資を抑制する可能性がある」など、株価下落が経営にマイナスの影響を及ぼすとの声も聞かれます。
経済の先行き不安から受注減や設備投資の抑制などが多発すると、今後の景気悪化につながる恐れがあることは押さえておきましょう。
参考:東京商工リサーチ「2024年8月「株価下落の影響」に関するアンケート調査」
日本株価が暴落したときの対処法
ここでは、日本株が暴落したときの対処法を解説します。
株価の暴落に慌てて売却をすると、思わぬ損失を被る可能性があります。
一方で売却のタイミングを逃すと、塩漬け株(損切り売却のタイミングを逸した結果、長期保有を余儀なくされる株)の発生を招くかもしれません。
対処法をあらかじめ押さえておくことで、納得の株式投資を実現しましょう。
冷静に様子を見る
日本株が大きく下がったとしても、まずは冷静になって様子を見ることが肝心です。
株価は日々変動しています。
そのため一時的に価格が下がっても、時間の経過とともに価格が戻るケースも少なくありません。
価格変動に一喜一憂することなく長期的な視点を持ち、配当金による利益等も考慮しながら安定したリターンを狙うことが肝心です。
これが一番できないんだよね~
投資目標、ルールを見直す
株価の暴落といった相場が大きく動くタイミングでは、投資の目標やルールを見直すことも重要です。
たとえば、将来に向けた資産形成を目的としてNISAによる積立投資をしているのであれば、長期的に利益を得られる運用を目指す必要があるでしょう。
一方、デイトレーダーのように売買を繰り返して利益を取っていく投資スタイルであれば、短期での損切り売却も選択肢となります。
株価が下がったときに慌てないためには、たとえば「購入時より価格が10%下がったら売却する」といったような損切りのルールを設けておくことがポイントです。
ルールを決めておくことで、感情に振り回されない戦略的な投資ができるようになります。
ケースに応じて売却を検討する
保有している株式の状況によっては、日本株が下落したときに売却を検討する必要もあります。
売却を考えるべきケースの一例を、以下で確認しましょう。
- すでに長期で運用している
- 目標利益が出ている
すでに長期で運用している場合は、そのまま保有し続けても大きな利益を生み出すことは難しいかもしれません。
その場合は売却し、成長が期待できる銘柄に投資し直すことも選択肢となるでしょう。
また、目標とする利益が出ている場合も、売却により一度利益を確定してもよいかもしれません。
保有を続けるか売却をするかは、あくまでも投資目的や投資スタイルに合わせて判断することが重要です。
銘柄を買い増す
株価が下がったときは、安く購入できるチャンスでもあります。
すでに保有している銘柄の株価が下落したのであれば、買い増しも検討しましょう。
買い増しをする際には、以下のポイントをチェックしてください。
- 一次的な価格の下落である
- 長期的に見れば価格の上昇が期待できる材料がある
- 判断を誤ったら、ルールに則った損切りをする
買い増しをするにあたっては、長期的に価格上昇が期待できることが重要です。
そのためには、業績や事業計画、下落の要因などをしっかりと確認しましょう。
まとめ
2024年8月5日に、日経平均株価は歴史的な大暴落をしました。
個人投資家の中には、今すぐに売却をするべきか悩んでいる方もいるでしょう。
価格が大きく下がったときに重要なのは、まずは冷静に様子を見ることです。
併せて、許容できる損失や利益額の目標を事前に決めておくことで、感情ではなく戦略に則った投資が可能になります。
株式投資を成功に導くにはまず、自身の投資目的や投資スタイルをしっかりと確認しましょう。
そのうえで価格変動に一喜一憂することがない落ち着いた投資判断をすることで、将来に向けた計画的な資産形成を実現させてください。