この記事を書いた人
船橋寛之(ふなばしひろゆき)
1984年生まれ。
ドイツ育ちの不動産投資家。
不動産投資歴16年。
立教大学 経済学部卒。
リーマンショックの時に新卒で区分マンションを購入し、東京23区を中心に最大6棟55部屋を所有。
大和証券、大和総研に11年間勤務後、不動産コンサルタントとして独立。
現在は年間20億円以上の「非公開物件」仲介を行う。強みは「物件情報力」で、経験を活かしてセミナー講師や執筆活動にも携わる。
私生活では子供3人を育てる「ほぼ主夫」。
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オーナーチェンジ物件を検討する際、多くの投資家が「なぜ売却されるのか」という疑問を抱きます。
収益が安定している物件なら手放す必要はないのでは?何か大きな問題があるのでは?このような不安は当然のものです。
実際、オーナーチェンジ物件の売却理由は様々です。
老後の資金需要や相続対策など、物件自体には問題がないケースもあれば、入居者とのトラブルや収益性の低下など、購入を躊躇すべきケースもあります。
本記事では、入居者がいる状態で売買されるオーナーチェンジ物件について、売却理由の見極め方から、レントロールや登記簿謄本の確認手順、そして物件選びの具体的なポイントまで、プロの視点から詳しく解説します。
これらの知識を身につけることで、優良物件を見分けるスキルが確実に向上するはずです。
Contents
オーナーチェンジ物件とは?
オーナーチェンジ物件とは、入居者がいる状態のまま売買される不動産のことを指します。
このような物件は、一般の中古物件とは異なる独自の性質を持っており、投資家にとって魅力的な選択肢となる可能性がある一方で、特有のリスクも存在します。
実需と投資用では観点が違うよね!
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現入居者がいながら売買される物件
オーナーチェンジ物件の最大の特徴は、現入居者が継続して居住している状態で所有権が移転することです。
新しいオーナーは、既存の賃貸借契約をそのまま引き継ぐことになります。
これは、売主(現オーナー)と買主(新オーナー)の間で所有権が移転するだけで、入居者との賃貸借契約は継続されることを意味します。
そのため、入居者の権利は保護され、賃貸借契約の条件も原則として変更されません。
一般の中古物件との違いと独自のメリット
オーナーチェンジ物件は、一般の中古物件と比較して以下のような独自のメリットを持っています。
まず、購入後すぐに家賃収入が得られるため、即時の収益確保が可能です。
また、入居者がすでにいるため、新規に入居者を探す手間や空室リスクを回避できます。
さらに、実際の入居状況や家賃収入の実績が確認できるため、より現実的な投資判断が可能になります。
ただし、これらのメリットを活かすためには、物件の選定時に慎重な判断が求められます。
既存の賃貸借契約や入居者との関係性など、十分な確認が必要となります。
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問題なく購入できるオーナーチェンジ物件の売却理由
オーナーチェンジ物件の売却理由は多岐にわたりますが、中には購入後も安心して運用できる健全な理由も多く存在します。
これらの理由を理解することは、投資判断において重要な要素となります。
売却理由を適切に見極めることで、良質な投資物件を選択することが可能になります。
老人ホームへの入居資金が必要だから
高齢のオーナーが老人ホームへの入居を検討する際、まとまった資金が必要となることがあります。
このような場合、物件自体には何の問題もなく、単に資金需要が発生したために売却されることがあります。
特に地主や資産家が所有していた物件の場合、建物の品質や管理状態が良好であることが多く、投資対象として魅力的です。
相続税の納付資金が必要だから
相続発生時に納税資金を確保するため、物件を売却するケースも少なくありません。
相続税の納付期限は相続開始を知った日から10ヶ月以内と定められているため、相続人が迅速な資金化を必要としている場合があります。
このような理由での売却は、物件自体の問題ではなく、相続に伴う一時的な資金需要が原因であるため、物件の価値や収益性には影響しないことが多いです。
相続時は色々なことがあるよね~
税金が安くなるタイミングだから
所有期間が5年を超えると、売却時の税負担が軽減されることから、この時期を見計らって売却されるケースがあります。
このような計画的な売却は、むしろ物件管理が適切に行われてきた証となることが多く、購入を検討する上でポジティブな指標となります。
税制上の理由による売却は、物件自体の問題とは無関係であり、投資対象として検討する価値が高いと言えます。
より良い投資物件に乗り換えたいから
投資家が投資ポートフォリオの見直しや、より収益性の高い物件への乗り換えを目的として売却するケースもあります。
このような売却は、オーナーの投資戦略に基づく合理的な判断によるものであり、物件自体の問題を示すものではありません。
特に、修繕履歴が適切に管理されており、収支状況が健全な物件であれば、投資対象として十分な価値があると考えられます。
オーナーチェンジ物件の購入を見送るべき売却理由
オーナーチェンジ物件の中には、一見魅力的に見えても、購入後に大きな問題を抱える可能性があるものが存在します。
これらの物件を見極めるためには、売却理由を慎重に確認し、潜在的なリスクを評価することが重要です。
以下に、購入を見送るべき主な売却理由を詳しく解説します。
入居者とのトラブルや係争中の売却
入居者との間で裁判や深刻なトラブルが発生している物件については、購入を避けるべきです。
確かにトラブル中の物件は嫌だね・・・
特に、以下のような状況が確認された場合は要注意です。
裁判やトラブルの具体例:
深刻な問題
-家賃の供託状況
-立ち退き要求の有無
-近隣トラブルの存在
懸念される影響
-家賃収入の中断リスク
-解決までの時間と費用
-物件評価への影響
賃料減額交渉が進行中の売却
現入居者から賃料減額の要求がある物件は、将来的な収益性に大きな影響を及ぼす可能性があります。
このような物件では、以下のリスクに注意が必要です。
・当初の想定利回りが維持できない可能性
→ 投資計画の見直しが必要になる
・他の入居者からも同様の要求が出る可能性
→ 収益性が更に低下するリスクがある
空室が長期化している物件の売却
特定の部屋で空室が継続している物件は、構造的な問題を抱えている可能性があります。
以下のような問題が考えられます。
・日照や通風の問題
→ 改善が困難な構造的な欠陥
・間取りや設備の陳腐化
→大規模なリフォームが必要になる可能性
・立地や周辺環境の変化
→将来的な価値低下のリスク
短期間での転売を繰り返している物件
所有者が短期間で頻繁に変更されている物件は、何らかの問題を抱えている可能性が高いです。
特に以下のような状況は要注意です。
転売物件の警戒サイン:
所有者変更の履歴
-5年以内の複数回の変更
-不自然な価格変動
-売買理由の不明確さ
管理状態の問題
-不十分な修繕履歴
-必要な修繕の先送り
-管理会社の頻繁な変更
オーナーチェンジ物件をなぜ売るのか?理由を見極める4ステップ
オーナーチェンジ物件の真の売却理由を見極めることは、投資判断において極めて重要です。
表面的な説明だけでなく、様々な角度から物件と売主の状況を精査することで、潜在的なリスクを把握することができます。
以下の4つのステップに従って、慎重に判断を進めていきましょう。
STEP1.レントロールで賃貸状況を確認する
レントロールは物件の収益状況を把握する上で最も重要な資料です。
家賃が相場と比べて適正なのかの確認もした方がいいよね!
![](https://landsitz.work/wp-content/uploads/2019/02/children-593313_1280-320x180.jpg)
以下の点に注目して確認を行います。
入居者の契約状況
-契約期間の確認
-更新履歴の分析
-長期入居者の有無
賃料の履歴
-賃料改定の状況
-値下げの有無
-市場相場との比較
STEP2.修繕履歴から管理状態を判断する
適切な修繕履歴は物件の管理状態を示す重要な指標です。以下のポイントを確認しましょう。
・定期的な修繕の実施状況
→ 計画的な維持管理が行われているかを確認
・大規模修繕の実施時期と内容
→適切なタイミングでの投資が行われているか
・突発的な修繕の頻度と内容
→予期せぬ故障や問題の発生傾向を把握
STEP3.登記簿謄本で所有者の変遷を追跡する
登記簿謄本からは物件の所有履歴に関する重要な情報が得られます。
以下の点に注目して確認を行います。
・所有者の変更履歴と時期
→短期間での所有者変更は要注意サイン
・抵当権の設定状況
→融資を受けた金融機関から物件の評価を推測
・所有権移転の経緯(相続・売買等)
→売却理由の裏付けとなる情報を確認
STEP4.不動産会社に売却理由を質問する
不動産会社への具体的な質問を通じて、売却理由の信憑性を確認することが重要です。
以下のような点を詳しく確認しましょう。
・売主の具体的な売却動機
→表明された理由と各種資料の整合性を確認
・入居者とのトラブル有無
→現在進行中の問題や過去の係争の有無を確認
・物件管理上の課題
→維持管理における特殊な事情や問題点の把握
オーナーチェンジ物件の適切な選び方
![](https://landsitz.work/wp-content/uploads/2024/09/IPO投資:証券会社を選ぶ際のチェックポイント.jpg)
オーナーチェンジ物件を選ぶ際は、単なる利回りだけでなく、様々な観点から総合的に判断することが重要です。
物件の現状確認から将来性の評価まで、幅広い視点での検討が必要となります。
適切な物件選択のための重要なポイントを詳しく解説します。
物件の外観と周辺環境を必ず現地で確認する
現地確認は物件選定の基本中の基本です。
まず建物の外観状態を詳しく確認することが重要です。外壁に目立った劣化がないか、共用部分の管理状態は適切か、各種設備が正常に稼働しているかなど、細かな点まで注意深く見ていく必要があります。
また、周辺環境の調査も欠かせません。最寄り駅からのアクセスの良さ、スーパーマーケットや病院などの生活利便施設の充実度、さらには周辺の競合物件の状況なども、物件の将来性を左右する重要な要素となります。
これらの要素を総合的に評価することで、投資価値の高い物件かどうかを判断することができます。
![](https://landsitz.work/wp-content/uploads/2017/11/ELLsyuumeigiku150928457696_TP_V-320x180.jpg)
入居者の家賃支払い状況と契約内容を精査する
入居者との関係性は物件の収益性を左右する重要な要素です。
以下の点について詳細な確認が必要です。
・家賃の支払い履歴
→延滞や遅延の有無を確認
・契約条件の詳細
→特約事項や制限事項の確認
・入居者属性
→長期入居の可能性を評価
融資履歴から物件の資産価値を判断する
融資状況は物件の客観的な評価を知る重要な指標となります。
主に以下の点に注目して判断します。
・融資実行金融機関
→金融機関の審査基準から物件評価を推測
・融資条件の推移
→物件の資産価値の変動を確認
・担保評価額の変化
→市場における物件価値の変動を把握
オーナーチェンジ物件の購入前の最終チェックリスト
購入の最終判断を下す前に、それまでの調査内容を総合的に評価し、投資判断の妥当性を再確認することが重要です。
以下の3つの観点から、最終的なチェックを行いましょう。
売主の属性と売却動機の整合性
売主の状況と売却理由の整合性を確認することは、物件の潜在的なリスクを把握する上で重要です。
まず売主のプロフィールを詳しく確認します。
資産状況や不動産投資の経験などの背景情報から、売却の真意を読み取ることができます。
次に、提示された売却理由に対する客観的な裏付けを確認します。
例えば、老人ホームへの入居を理由とする場合は入居予定の施設情報、相続対策であれば相続発生のタイミングなど、具体的な事実関係を精査することが大切です。
さらに、売却の緊急性についても注意が必要です。
早期売却を希望する場合、その背景にある理由を慎重に確認します。
急いで売却する必要がある理由が、物件自体の問題に起因していないかどうかを見極めることが重要です。
物件の収益性と維持管理状況
過去の収支実績と将来的な収益予測を慎重に評価します。
重要なチェックポイントは以下の通りです。
・実質利回りの算出
→経費を含めた実際の収益性を確認
・修繕計画の妥当性
→将来的な修繕費用の見込みを評価
・管理体制の確認
→現行の管理会社の実績と評判
入居者との関係性と将来リスク
現入居者との関係性は、将来の安定した運営に直結します。
以下の要素を確認します。
入居者との関係性を示す重要な指標:
– 過去のコミュニケーション記録
– 入居者からの要望・クレーム履歴
– 契約更新時の対応状況
– 賃料改定に対する反応
これらの要素から、将来的なリスクと機会を総合的に判断することが重要です。
まとめ:オーナーチェンジ物件をなぜ売るのかを知り投資判断に活かそう
![](https://landsitz.work/wp-content/uploads/2024/08/まとめ.jpg)
オーナーチェンジ物件の売却理由を正しく理解し、適切な投資判断を行うことは、不動産投資の成功において極めて重要です。
売却理由には、老人ホームへの入居資金確保や相続税の納付など、物件自体には問題のないケースもあれば、入居者とのトラブルや経営上の問題など、購入を見送るべきケースもあります。
慎重な調査と確認を通じて、物件の真の価値を見極めることが必要です。
レントロールでの賃貸状況確認、修繕履歴による管理状態の判断、登記簿謄本での所有者変遷の追跡、そして不動産会社への詳細な確認など、複数の観点からの精査が重要となります。
また、物件選定時には、現地での実地確認や入居者との契約内容の精査、融資履歴からの資産価値判断など、総合的な評価を行うことで、より確実な投資判断が可能となります。
最終的な購入判断の際には、売主の属性と売却動機の整合性、物件の収益性と維持管理状況、入居者との関係性と将来リスクなど、すべての要素を総合的に評価することが成功への鍵となります。
![](https://landsitz.work/wp-content/themes/jin-child/resource/image/bg-contact.png)