この記事を書いた人
船橋寛之(ふなばしひろゆき)
1984年生まれ。
ドイツ育ちの不動産投資家。
不動産投資歴16年。
立教大学 経済学部卒。
リーマンショックの時に新卒で区分マンションを購入し、東京23区を中心に最大6棟55部屋を所有。
大和証券、大和総研に11年間勤務後、不動産コンサルタントとして独立。
現在は年間20億円以上の「非公開物件」仲介を行う。強みは「物件情報力」で、経験を活かしてセミナー講師や執筆活動にも携わる。
私生活では子供3人を育てる「ほぼ主夫」。
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持ち家なし・独身の方の老後資金はいくら必要か具体的に解説します。
持ち家なし・独身の老後に向けて、NISAやiDeCoなどの資産運用、賃貸と持ち家の比較、年代別の貯蓄プランまで分かりやすくお伝えします。
独身で持ち家なし(賃貸暮らし)の方は、老後の生活に不安を感じていませんか?
年金だけでは足りないと言われる中、いったいいくらの老後資金が必要なのか、具体的な金額が分からず悩まれている方も多いはずです。
この記事では、独身で持ち家がない場合の必要な老後資金を男女別・年代別に詳しく解説します。
また、NISAやiDeCoなどを活用した資産形成の方法や、賃貸と持ち家それぞれのメリット・デメリットまで、具体的な数字を交えながら分かりやすく説明していきます。
これから老後に向けた資金準備を始めようとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
Contents
独身で持ち家なしの場合、老後資金はいくら必要か
独身で持ち家を持たない場合、老後の生活費は家賃支出が継続的に発生するため、一般的な試算より多めの準備が必要です。
具体的には、基本生活費に加えて、将来の賃貸費用、医療費、介護費用なども考慮に入れる必要があります。
ここでは、各費用の具体的な内訳と必要となる資金額について詳しく解説していきます。
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基本生活費の具体的な内訳と試算
独身の老後における基本生活費を考える際に、まず実態を把握することが重要です。
総務省が2023年に実施した「家計調査報告」によると、65歳以上の単身無職世帯の平均実収入は月額12万6,905円となっています。
これに対して、消費支出(毎月の平均生活費)と非消費支出(税金や社会保険料など)の合計は15万7,673円に達し、毎月約3万円の赤字が生じている実態が明らかになっています。
ずっと赤字は精神的にも厳しいね・・・
引用:家計調査報告 〔 家計収支編 〕 2023年(令和5年)平均結果の概要
上記の図をもとに、高齢単身の無職世帯の実収入と消費支出の内訳を整理した表が下記の通りとなります。
実収入 | 12万6,905円 | |
非消費支出 | 1万2,243円 | |
生活費(消費支出) | 14万5,430円 | |
生活費 | 食料 | 4万103円 |
住居 | 1万2,564円 | |
光熱・水道 | 1万4,436円 | |
家具・家事用品 | 5,923円 | |
被服及び履物 | 3,241円 | |
保健医療 | 7,981円 | |
交通・通信 | 1万5,086円 | |
教育 | 0円 | |
教養娯楽 | 1万5,277円 | |
そのほかの消費支出
(諸雑費・交際費・仕送り金) |
3万821円 | |
収支差額(赤字) | -3万768円 |
これらを合計すると、基本生活費だけでも月額14.5万円程度が必要となります。
さらに、予期せぬ出費に備えた予備費として月額1-2万円程度を見込んでおくことが賢明です。
この収支状況から、仮に65歳から85歳までの20年間を「老後」と想定した場合、毎月の赤字額約3万円は深刻な金額となります。
単純計算で、20年間の赤字総額は下記のとおりです。
30,768円(月額赤字) × 12ヶ月 × 20年 = 7,384,320円
つまり、約740万円の貯蓄が必要となります。
ただし、この試算には重要な注意点があります。現在の家計調査における住居費は月額1万2,564円と計上されていますが、この金額の低さは、調査対象の多くが持ち家(住宅ローン完済)か実家暮らしであることを示唆しています。
賃貸暮らしの場合は、現在の住居費(1万2,564円)を除いた生活費で再計算する必要があります。
住居費を除いた月々の赤字額の再計算:
現在の赤字額30,768円 – 住居費12,564円 = 18,204円
この金額に基づく20年間の基本生活費の不足額は下記の通りです。
18,204円 × 12ヶ月 × 20年 = 4,368,960円
でかい・・・
賃貸継続の場合の住居費総額
賃貸住宅に住み続ける場合、家賃は生涯にわたって必要な固定費となります。
都市部と地方では必要額に大きな差が出るため、居住地域を考慮した試算が重要です。
【一般的な賃貸費用の試算】
• 都市部(東京23区、大阪市、名古屋市等)
– 月額家賃:8-10万円
– 共益費・管理費:0.5-1万円
– 定期的な更新料:2年ごとに1-2ヶ月分
• 地方都市
– 月額家賃:5-7万円
– 共益費・管理費:0.3-0.5万円
– 定期的な更新料:2年ごとに1ヶ月分
20年間の賃貸継続を想定した場合、都市部では総額2,500-3,000万円、地方都市では1,500-2,000万円程度の住居費が必要となります。
介護費・医療費・葬儀費用の具体的な金額
老後に備えるべき費用として、介護・医療費用は特に重要です。
独身の場合、家族のサポートを得にくい可能性があるため、より多めの準備が推奨されます。
生命保険文化センターの調査によると、介護にかかる費用は月額平均8万3,000円で、平均介護期間は61.1ヶ月(約5年)となっています。
これを単純計算すると、介護期間全体で約507万円の費用が必要となります。
さらに、介護に伴う住宅改修や介護ベッドなどの設備費用として平均74万円が必要となるため、1人あたりの介護費用の総額は約581万円に達します。
この金額は、先ほどの様々な介護施設の選択肢の中でも、比較的標準的な費用水準を示していると言えます。
引用:生命保険文化センター「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査」
これらの費用を総合すると、介護期間を5年と想定した場合、総額で2,000-3,000万円程度の準備が必要となります。
医療費については、高額療養費制度の利用を前提としても、年間で30-40万円程度は見込んでおく必要があります。
また、独身者の場合、特に考慮しなければならないのが葬儀費用の準備です。
小さなお葬式の調査データによると、飲食費や返礼品代を含めた葬儀の総費用は平均127万円とされています。
したがって、老後資金を試算する際は、基本的な生活費の不足分や住居費に加えて、以下の費用も考慮する必要があります。
介護費用:約581万円(介護期間5年間の費用と設備費用)
葬儀関連費用:約127万円(飲食費・返礼品含む)
独身者の場合、これらの費用を家族で分担することが難しいため、より計画的な資金準備が重要となります。
早い段階から必要額を認識し、着実な資産形成を進めることで、より安心な老後生活の実現が可能となります。
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独身の老後に必要な貯金額の目安
前述の通り、老後20年間の基本生活費の不足額は約437万円となっています。
これに賃貸住居費(都市部で2,500-3,000万円、地方都市で1,500-2,000万円)、介護費用(介護期間5年間の費用と設備費用で約581万円)、葬儀関連費用(約100万円)を加えると、独身の老後資金として必要な総額は、都市部在住の場合で約3,600-4,100万円、地方都市在住の場合で約2,600-3,100万円という試算となります。
この金額は、年金などの実収入以外に必要となる金額であり、老後の基本的な生活維持に最低限必要な金額と考えられます。
以下、具体的な内訳とともに、必要な貯金額の目安を詳しく解説していきます。
独身男女別の必要貯蓄額シミュレーション
男女によって老後資金の必要額は異なってきます。
これは、平均寿命と平均年収の違いが影響しているためです。
厚生労働省の2023年発表の「簡易生命表」によると、平均寿命は男性が81.09歳、女性が87.14歳で、約6歳の差があります。
それに応じて年金受給額も変わるため、男女別の状況に応じたシミュレーションが必要です。
男性の場合
引用:総務省「2019年全国家計構造調査 家計収支に関する結果 結果の概要」
高齢無職単身世帯(男性)の実収入は月額16万3,492円で、可処分所得は14万4,243円となっています。
毎月の生活費は14万3,354円であり、データ上では月額889円の黒字となっています。
しかし、家賃5万円の賃貸マンションに住む場合、毎月の生活費は18万309円、非消費支出を含めると19万9,558円となります。
可処分所得との差額は月額5万5,315円の赤字となり、65歳から81歳までの16年間では、約1,061万円の不足が生じます。
これに介護費用581万円と葬儀関連費用127万円を加えると、必要な老後資金は約1,769万円と試算されます。
女性の場合
引用:総務省「2019年全国家計構造調査 家計収支に関する結果 結果の概要」
総務省の調査によると、高齢無職単身世帯(女性)の実収入は月額14万1,646円です。
このうち、税金や社会保険料などを除いた可処分所得は13万3,107円となります。
一方、毎月の生活費は14万607円で、毎月約7,500円の赤字となっています。
賃貸住宅(家賃5万円)に住む場合、この赤字額は大きく増加します。
毎月の生活費は17万4,297円となり、非消費支出を含めると18万2,835円に。可処分所得との差額は約4万9,728円の赤字となります。
65歳から87歳までの22年間では、生活費の不足額が約1,312万円となり、これに介護費用581万円と葬儀関連費用127万円を加えると、必要な老後資金は約2,020万円となります。
このように、賃貸暮らしを選択した場合、男女ともに相当額の老後資金が必要となります
特に女性は平均寿命が長いため、より多くの準備資金が必要となることがわかります。
年代別の平均貯蓄額と理想貯蓄額の比較
「家計の金融行動に関する世論調査」(2023年版)による単身世帯の年代別貯蓄額を見ると、現実の貯蓄状況が見えてきます。
20歳代の平均貯蓄額は219万円(中央値103万円)、30歳代で912万円(中央値300万円)、40歳代で964万円(中央値500万円)となっています。
50歳代になると平均2,288万円(中央値555万円)まで増加し、60歳代で2,240万円(中央値1,100万円)、70歳代で2,104万円(中央値1,100万円)となっています。
単身世帯の金融資産保有額(金融資産保有世帯)
20歳代 | 30歳代 | 40歳代 | 50歳代 | 60歳代 | 70歳代 | |
平均 | 219万円 | 912万円 | 964万円 | 2,288万円 | 2,240万円 | 2,104万円 |
中央値 | 103万円 | 300万円 | 500万円 | 555万円 | 1,100万円 | 1,100万円 |
引用:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)」
特徴的なのは、各年代とも平均値が中央値を大きく上回っていることです。
これは、一部の高額貯蓄者が平均値を押し上げている可能性を示唆しています。
より現実的な指標として中央値を見ると、老後を迎える60歳代でも1,100万円という水準であり、先ほど試算した必要資金額(都市部で3,600-4,100万円、地方都市で2,600-3,100万円)との間に大きな開きがあることが分かります。
したがって、各年代での理想貯蓄額の目安としては、現在の平均貯蓄額の2倍程度を目指すことが望ましいと言えます。
具体的には、30代までに1,000万円以上、40代で2,000万円以上、50代で3,000万円以上、退職までに4,000万円以上の貯蓄を目標とすることで、より安定した老後生活の実現が可能となるでしょう。
独身者の老後における持ち家・賃貸それぞれのメリット・デメリット
独身者の老後の住まい選びは、経済面だけでなく、生活スタイルや将来の介護ニーズなども考慮する必要があります。
持ち家と賃貸、それぞれの特徴を理解し、自分に合った選択をすることが重要です。
ここでは、特に独身者の視点から、それぞれの選択肢のメリット・デメリットを詳しく解説していきます。
持ち家のメリット(住宅ローン返済後の資金的余裕)
住宅ローンの返済を完了すれば、老後の固定費を大幅に削減できることが持ち家の最大のメリットです。
都市部では月額6-8万円程度の家賃相当額が不要となるため、その分を医療費や趣味など、より質の高い生活のために活用することができます。
また、持ち家は資産としての価値も重要です。
不動産資産として保有することで、リバースモーゲージの利用も可能となり、老後の資金需要への対応手段の一つとなります。
さらに、居住の自由度が高いことも大きな利点です。バリアフリー化やリフォームなど、将来の生活に備えた住環境の改善を、自身の判断で計画的に進めることができます。
【主な経済的メリット】
• 住宅ローン返済後の固定費削減
• 資産価値の維持と活用可能性
• 住環境改善の自由度
持ち家のデメリット(維持費や相続の課題)
持ち家の所有には、継続的な費用負担や責任が伴います。
特に独身者の場合、これらの負担を一人で担う必要があることを認識しておく必要があります。
固定資産税は年間20-40万円程度、修繕積立金や管理費は月額1.5-3万円程度が必要となります。
さらに大きな課題となるのが、定期的な大規模修繕への対応です。
修繕費は基本的に高い!!
屋根・外壁の塗装は10-15年ごとに100-200万円程度、設備更新は15-20年ごとに200-300万円程度の費用が発生します。
これらの費用を計画的に積み立てておく必要があります。
また、独身者特有の課題として相続の問題があります。
相続人の確定や遺言の準備、場合によっては相続税対策など、将来に向けた適切な準備が必要です。
空き家問題を防ぐためにも、早い段階から相続に関する計画を立てることが重要です。
賃貸のメリット・デメリットと必要な追加対策
賃貸住宅の最大の特徴は、住居の維持管理の負担が少なく、居住地の変更が比較的容易なことです。
建物の維持管理や修繕は基本的に家主の責任となるため、独身者にとって精神的な負担が軽減されます。また、加齢に伴う生活環境の変化にも、比較的柔軟に対応できます。
一方で、賃貸生活の最大の課題は、家賃の永続的な支払いが必要となることです。
都市部では月額6-8万円程度の家賃に加え、数年ごとの契約更新時には更新料も必要となります。
長期的に見ると、この家賃支払いは大きな固定費となります。
【賃貸生活を選択する場合の重要検討事項】
• 将来の家賃値上がりを考慮した追加貯蓄の確保
• 高齢者向け賃貸物件の早期リサーチ
• 契約更新時のリスクに備えた資金準備
このため、賃貸を選択する場合は、通常の老後資金に加えて、家賃支払いのための追加資金として2,000-3,000万円程度を準備することが推奨されます。
また、年齢とともに賃貸契約が難しくなる可能性もあるため、高齢者向け賃貸住宅の情報収集や、将来の住み替えに備えた資金準備も重要になってきます。
年代別でわかる!今からできる老後資金準備
老後資金の準備は、早く始めれば始めるほど余裕を持って進めることができます。
しかし、どの年代からスタートしても、その時点に合わせた効果的な準備方法があります。
ここでは、年代別の特徴を踏まえた具体的な資産形成戦略を解説していきます。
20-30代からの資産形成戦略と具体的な積立額
若い世代からの資産形成では、時間の力を味方につけることができる大きな利点があります。
この時期は、収入がまだそれほど多くない可能性もありますが、長期的な視点で少額からでも着実に積み立てることが重要です。
基本的な積立としては、月々3-5万円を目安に始めることをお勧めします。
さらに、賞与時には手取りの30-40%程度を追加で積み立てることで、より効果的な資産形成が可能になります。
資産形成の基本方針として、以下の3点を意識することが大切です。
• 給与収入の20%以上を投資に回す
• 生活費の3-6ヶ月分は安全な預貯金として確保
• 投資は長期的な視点で、分散投資を心がける
特に20-30代では、つみたてNISAやiDeCoといった制度をフル活用することで、税制優遇を受けながら効率的な資産形成を進めることができます。
また、この時期から資産形成を始めることで、将来的な選択肢を広げることができます。
40代から始める挽回プランと必要な月々の貯蓄額
40代からスタートする場合、時間的な制約はありますが、収入面でのピークを活かした積極的な資産形成が可能です。
この年代では、月々8-12万円程度の基本貯蓄に加え、賞与からは手取りの50%以上を積み立てることが望ましい水準となります。
まず優先して取り組むべき対策として、支出の見直しが重要です。
固定費を月1-2万円程度削減し、保険の見直しで年間10-20万円程度の効率化を図ることで、新たな投資原資を確保できます。
さらに可能であれば、副業による収入増も検討に値します。
【40代の資産形成における重要ポイント】
• 収支改善による投資原資の確保
• 退職金を見据えた資産運用計画の策定
• 保険や年金の見直しと最適化
50代以降の具体的な準備と対策オプション
50代以降は、老後までの期間が限られるため、より現実的で確実な方法を選択する必要があります。
この時期の資産形成では、安全性を重視しながらも、適度なリスクテイクのバランスを取ることが重要です。
具体的な資産配分としては、元本確保型商品を中心に据えながら、一部に利回りを重視した商品を組み込むことをお勧めします。
また、今後の生活に必要な資金を確保するため、退職金の運用計画を具体的に策定し、保有資産の棚卸しと整理を行うことも重要です。
【50代以降に特に注意すべき準備事項】
• 退職後の収支計画の具体化
• 医療保険・介護保険の見直し
• 資産の安全性と流動性の確保
さらに、年金受給額の確認と試算を行い、不足する金額を明確にした上で、それを補うための具体的な対策を立てることが必要です。
場合によっては、退職後の就労継続も視野に入れた計画を立てることも検討に値します。
準備が多すぎる・・・
老後資金を効率的に増やせる3つの制度活用法
老後資金を効率的に増やすためには、政府が用意している各種制度を上手く活用することが重要です。
特に税制優遇のある制度を利用することで、より効率的な資産形成が可能になります。ここでは、独身者でも活用しやすい3つの制度について、具体的な活用方法を解説します。
新NISA制度を利用して非課税で長期投資を始める
2024年から始まった新NISA制度は、より長期の資産形成に適した制度として生まれ変わりました。
この制度では、成長投資枠として年間120万円まで、つみたて投資枠として年間240万円までの投資が可能で、非課税期間が無期限となっています。
【新NISA制度で注目すべき特徴】
• 成長投資枠とつみたて投資枠の併用が可能
• 非課税投資期間が無期限
• 相続時の非課税投資枠の引継ぎが可能
特に毎月定額での積立投資を行うことで、市場の上下に左右されにくい安定的な資産形成が可能になります。
投資対象としては、手数料の低いインデックスファンドを中心に選択し、国内外の株式や債券に分散投資することで、リスクを抑えながら長期的な成長を目指すことができます。
iDeCoで節税しながら将来の資産形成を進める
個人型確定拠出年金(iDeCo)は、現役時代の節税効果と老後の資産形成を同時に実現できる優れた制度です。
独身者の場合、扶養控除などの優遇が少ない分、iDeCoによる節税効果は特に魅力的です。
【iDeCoがもたらす主な効果】
• 掛け金が全額所得控除の対象となる
• 運用益が非課税
• 受給時に公的年金等控除の適用
具体的な活用方法としては、まず自身の拠出限度額を確認することが重要です。
会社員の場合、企業年金の有無によって月額の拠出限度額が変わり、例えば企業年金がない場合は月額2.3万円まで拠出が可能です。
商品選択では、若い年齢層ほど株式の比率を高めに設定し、年齢とともにリスクを低減していく方法が一般的です。
ふるさと納税で節税分を老後資金の積立に回す
ふるさと納税は、税金の還付や控除を受けながら、実質的な自己負担を抑えて老後資金を積み立てることができる制度です。
特に独身者は、扶養控除などが少ない分、活用できる金額の上限が比較的高くなります。
【効率的な活用のためのポイント】
• 年収に応じた最適な寄附額の設定
• 複数自治体への分散寄附による効率化
• 税還付分の投資への活用計画
例えば、年収500万円の場合、上限額は概ね10万円程度となり、2,000円の自己負担を除いた金額が実質的な節税額となります。
この節税分を計画的に老後資金として積み立てることで、着実な資産形成が可能になります。
さらに、得られた税還付分は新NISAやiDeCoなどの制度と組み合わせて投資に回すことで、より効果的な資産形成を実現できます。
【独身で持ち家なし】老後資金に関するよくある質問(FAQ)
独身で持ち家がない方々からよく寄せられる疑問について、具体的な解決策とともに解説していきます。
ここでは特に多い3つの質問に焦点を当て、実践的なアドバイスを提供します。
Q1: 独身で老後資金が貯まらない場合は?
まずは現在の収支状況を詳しく分析し、固定費の見直しから始めることが重要です。
携帯電話料金や保険の見直しなど、身近なところから支出削減を行いながら、可能であれば副業による収入増も検討しましょう。
また、つみたてNISAなど、少額から始められる投資手段も活用することで、着実な資産形成を進めることができます。
Q2: 老後の住まいはいつ決断すべき?
住まいの決断は、理想的には50代前半までに方向性を決めることをお勧めします。
この時期に決めることで、その後の資金計画を具体的に立てることができ、必要に応じて軌道修正も可能です。
特に持ち家購入を検討する場合は、60歳までにローンを完済できるプランを立てることで、老後の固定費を抑えることができます。
Q3: 年金以外に活用できる制度は?
年金生活者支援給付金制度や、シルバー人材センターでの就業機会など、様々な支援制度が利用可能です。
また、40歳から加入できる介護保険制度も、将来の安心を確保する重要な制度の一つです。
これらの制度について早めに情報収集を行い、自分に合った支援策を見つけることが大切です。
まとめ
独身・持ち家なしでも計画的な老後資金対策で安心
独身で持ち家がない場合の老後資金準備は、確かに大きな課題ではありますが、計画的な準備を行うことで十分に対応可能です。
特に重要なのは、現在の年齢や収入に応じた具体的な資産形成プランを立て、着実に実行していくことです。
基本生活費や住居費、医療・介護費用など、必要となる費用を具体的に把握し、それに基づいて目標金額を設定することが第一歩となります。
独身男性の場合は6,500-8,500万円、独身女性の場合は7,700万円-1億円程度を目安として、長期的な資産形成を進めていく必要があります。
この目標達成のために、新NISA制度やiDeCo、ふるさと納税など、利用可能な制度を最大限活用することが効果的です。
また、早い段階から老後の住まい方について検討を始め、持ち家購入や賃貸継続など、自分に合った選択をすることも重要です。
年代が上がるほど準備のために必要な月々の積立額は増加しますが、どの年代からでも対策を始めることは可能です。
重要なのは、先送りにせず、今できることから着実に準備を進めていくことです。
計画的な老後資金対策を行うことで、独身であっても、また持ち家がなくても、安心して老後を迎えることができます。