コラム

スルガ銀行はやばい?~提携を解消される不動産業者と新規融資を拒否されるオーナー~

スルガ銀行の問題は、「かぼちゃの馬車」事件で顕在化しました。

スルガ銀行と組んで物件をあっせんしていた不動産業者と、スルガ銀行で融資をしてもらい、物件を買ってしまったオーナーにも影響が出てきているようです。

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かぼちゃの馬車物件とは?

シェアハウスの基準を満たしていない、女性シェアハウスもどき、です。

かぼちゃの馬車の物件を2棟購入してしまった医師に会う機会があったのですが、ひどいというレベルを飛び越え、鳥肌モノでした。

中野区と足立区それぞれで、1棟を購入していました。

それぞれのザックリとしたスペックは、次の通りです。

駅も微妙であり、徒歩も12分~13分と微妙です。

【中野区】

土地面積:約100㎡

延床面積:約190㎡

【足立区】

土地面積:約150㎡

延床面積:約230㎡

シェアハウス仕様なので、水回りが少なく、建築費用と一般的なワンルームの木造1棟に比べると、低くなるでしょう。

それぞれの物件、いくらだと思いますか?

なんと、両方とも1.8億円です。

その金額を見た瞬間、私は言葉を失いました。

どう見てもせいぜい半額前後ではないか?

と思ってしまいました。

少しでも1棟物件に携わったことのある人であれば、上記スペックがそれぞれ1.8億円であるはずがないことは、すぐにわかります。

家賃保証の金額も無茶苦茶です。

本来2-4万しか取れない家賃を、7万円で保証しているのです。

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これにより、ローンの支払いもしていけるかのような収支計算書になっているわけです。

家賃外収入が含まれているという理解不能なスキームになっており、家賃以外に、入居者の就職の斡旋をするため、その分が余計に取れるという説明だったそうです。

概要書を見て、金額を聞けば、1秒でおかしいことに気が付きます。

買ってしまった人にも責任はあります。

投資は自己責任です。

しかし、私は、やはりこの物件概要書を見て1.8億円を簡単に貸し付ける銀行側にも問題があると思いました。

融資を担当しているプロであれば、1.8億円もの価値がないことは、すぐにわかったはずです。

最近は、ワンルーム業者でも、家賃を意図的に高く保証して悪質な販売をしているところが増えてきています。

・ハー○アセットマネジメント

・Re○ie

ワンルーム系の不動産業者は、99%アウトですが、上記は特に悪質です。

ワンルームに限らず、地方のどうしょもない1棟を、高い家賃保証を付けて買わせまくっています。

いずれ倒産するでしょう。

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スルガ銀行物件の特徴

スルガ銀行と言えば、

地方

・金利が高い

・フルローン

・融資基準が緩くて速い

で当初から有名でした。

簡単にいうと、どう考えても危険な地方の1棟物件に平気で融資をするのです。

このような買い手にリスクしかない危険物件を売っている不動産業者は問題です(買主のことなど考えていない悪質な不動産業者と言えます)。

どこの銀行も貸したがらないような問題のあるエリアの物件に対する融資を積極的に行ってきたのが、スルガ銀行です。

ハッキリ言って、出口が見えないのです。

これが一番のリスクです。

スルガ銀行しか融資しない物件であれば、次誰がどのように買うのでしょうか?

そして、スルガ銀行の融資スキームが問題となった今、スルガ銀行の抵当権が付いた物件を持っているオーナーは、出口が見えない状況に陥りました。

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オーナーへの影響

スルガ銀行の抵当権が付いている物件を保有しているオーナーへの新規融資は行わない、という銀行が出てきています。

やはり、スルガ銀行を使って微妙なエリアや地方に物件を買う人は、素人です。

100歩譲って、

表面的な利回りが30%ほど出ており、スルガ銀行の金利でも十分勝てそう!

という見込みを付けて物件を買っている人は別ですが、多くの人は、利回り1ケタ台から10%の前半程度の利回りで物件を買っているという信じられない状態です。

どう考えても高すぎる返済比率になっているのです。

築古、地方・・・

今後の需要や家賃の低さに対する修繕費の高さを考えると、相当な利回りでないと、ペイしないと思います。

不動産投資で最大に重要な出口戦略が描けない物件の購入ほどリスクの高いものはありません。

この意味では、静岡銀行も近い存在と思っています。

エリアが悪い、どこも融資したがらない。

ならスルガか静岡銀行(しずぎん)だ!

というような流れです。

スルガ物件を保有しているオーナーへの他行からの見方は厳しくなっており、2019年に入って、具体的にスルガ銀行の物件を持っているオーナーへは融資しないという銀行が出ました。

この流れは今後も加速するでしょう。

しかし、私からすれば、どこが融資した、ではなく、どこの物件をどう持っているのか、に着目してほしいところですし、いずれはそうなると予想します。

スルガ銀行物件を持っているオーナーの収支は、年々悪化し、これから厳しくなることが明白だからです。

確かに、不動産の購入時が良く、需要がそれなりに見込めるエリアをスルガ銀行で購入している人は、セーフである可能性もあります。

しかし、2015年ごろから2018年ごろにかけてスルガ銀行で融資を受けているオーナーは注意が必要です。

不動産業者への影響

スルガ銀行を使って物件を販売している不動産業者は、買主の将来など考えない悪徳業者と言えるでしょう。

このような悪徳業者と取引しない!

という銀行が出てきています。

スルガ銀行と提携関係にあった不動産業者との提携を解消する銀行が出てきています。

妥当ではないでしょうか。

これにより悪徳業者は、他行からの提携を解消され、廃業に追い込まれていくでしょう。

頼みのスルガ銀行が、不動産融資を完全に停止しており、再開したとしても、今までのやり方は通用しなくなるでしょう。

仮に今後復活したとしても、以前のような無茶な融資をするとは考えにくく、地方物件で暴利を得ていた不動産業者は同じやり方では生き残れないでしょう。

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まとめ

スルガ銀行の物件 = 悪

スルガ銀行で融資を受ける提案をする不動産業者 = 悪

というイメージがどうしてもついてしまっているのではないでしょうか。

勿論、色々なビジネスの形があるため、誰も融資しないような物件に対して高い金利で融資するのも、手段の一つであり、理解はできます。

しかし、「かぼちゃの馬車」物件に対する融資は、常識の範囲をはるかに超えており、あまりにもひどいというのが感想でした。