この記事を書いた人
船橋寛之(ふなばしひろゆき)
1984年生まれ。
ドイツ育ちの不動産投資家。
不動産投資歴16年。
立教大学 経済学部卒。
リーマンショックの時に新卒で区分マンションを購入し、東京23区を中心に最大6棟55部屋を所有。
大和証券、大和総研に11年間勤務後、不動産コンサルタントとして独立。
現在は年間20億円以上の「非公開物件」仲介を行う。強みは「物件情報力」で、経験を活かしてセミナー講師や執筆活動にも携わる。
私生活では子供3人を育てる「ほぼ主夫」。
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FIREによる早期リタイアを目指し、資産運用や副業を進めている方もいるでしょう。
この記事ではFIREの意味と実現に必要な2つの条件、FIREのメリット・デメリットおよび達成に向けた3つのステップを解説します。
収入の不安がない生活基盤を築き、自由な生活を手に入れたいと考える方はぜひ参考にしてください。
Contents
「FIRE」の意味とは?
働き方や稼ぎ方が多様化する中で、FIREに注目する方が増えています。
しかしFIREに興味があっても、FIREの定義や詳細についてはよくわからないという方も少なくありません。
ここではまず、FIREの意味や早期リタイアとの違い、フルFIREとサイドFIREの概要を解説します。
FIREは経済的自立を目指す新しいライフスタイル
FIREとは経済的自立を意味する「Financial Independence」と、早期リタイアを意味する「Retire Early」の頭文字を取った造語です。
具体的には、資産運用や副業等により不労所得の仕組みを築くことによる、労働収入に縛られない人生設計を指します。
もともとは欧米で注目されたライフスタイルですが、日本でも働き方が多様化するにつれてFIREの認知度は年々上がってきました。
若いうちに資金面での生活の基盤を確立し、将来に向けてより自由な生活を実現したいと考えているのであれば、FIREを目指してもよいでしょう。
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FIREと従来の「早期リタイア」との違い
FIREと従来の「早期リタイア」の違いは、以下のとおりです。
- 従来の早期リタイア:老後も困らない程度の資産を形成したうえでのリタイア
- FIRE:資産運用から得られる利益での生活が可能になった時点でリタイア
従来の早期リタイアは、将来必要となる資産を貯蓄した時点でリタイアします。
では、早期リタイアを目指すにはどのくらいの資産が必要なのでしょうか。
総務省が発表する家計調査報告によると、2人以上世帯における1世帯あたりの1ヶ月の消費支出は29万7,487円です。支出の内訳は、以下のとおりです。
仮に40歳で早期リタイアするとしたら、平均余命である40年間分の生活費を貯めなければなりません。
つまり、およそ1億4,300万円(29万7,487円×12ヶ月×40年)の貯蓄が必要です。
子どもの教育費や住宅費等によっては、リタイアの時点で用意するべき資金はさらに増えます。
一方FIREは、資産運用により得た利益を生活費とするため、将来必要な資金のすべてをリタイアの時点で用意する必要はありません。
そのため、多額の資金形成が難しい一般的な会社員などでも、目指しやすいリタイア方法といえるでしょう。
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参考:総務省 家計調査報告
「フルFIRE」と「サイドFIRE」との違い
FIREには、フルFIREとサイドFIREの2つのタイプがあります。
それぞれの概要は、以下のとおりです。
- フルFIRE:十分な資産と不労所得を持ったうえでのリタイア
- サイドFIRE:資産運用による収入と労働収入の両方を有したリタイア
フルFIREは、生活をするうえで十分な資産と不労所得を確保したFIREです。
そのため、リタイア後に働く必要はありません。
サイドFIREは、資産運用による収入と労働収入の両方で生活に必要な費用を賄うスタイルです。
そのため、リタイア後も仕事は継続します。ただし資産運用による収入があるため労働収入に頼る必要はなく、好きなことをライフワークとして続けるケースが多いようです。
サイドFIREはかなり現実的に感じる!
FIREが注目される背景
日本でFIREが注目されるようになった背景は、先述した働き方の変化以外にもいくつかの理由があります。
ここでは、FIREが国内で広がった4つの背景を解説します。
将来的な収入への不安
背景の1つめは、将来的な収入への不安です。将来的な収入への主な不安としては、以下の2点が挙げられます。
- 仕事量に見合う収入が期待できない
- 労働収入だけでは将来必要な資金を確保できない
会社員の中には、仕事量に見合う十分な給与を得られていないと感じている方も少なくありません。
そのため、資産運用や副業などによる本業以外の収入源の確保を目指す方もいるようです。
また労働収入だけでは収入源として心もとないことも、FIREが注目される理由です。
ここで、2019年から2023年における平均給与と消費者物価指数の推移を見てみましょう。
消費者物価指数とは、総務省が発表する消費者が購入するモノやサービス等の物価の動きを把握するための統計指標です。
上の表は、2020年のモノやサービスの価格を100としたときに、どのように物価が推移したかを表しています。
2020年から2023年の間に、平均給与は約1.05倍(460万円÷435万円)になっています。
消費者物価指数は、総合については105.6のため給与と同様に推移していますが、食料品に関しては112.9となっていることから、物価の上昇に給与の増加が追いついていない状態です。
物価上昇に給与アップが追いつかない状況が続くと、今まで購入できていたものが買えない状況になります。
このように、給与だけでは十分な生活費を賄うことが難しい状況下のため、副業や資産運用による新たな収入源の確保を目指す方が増えていると考えられるでしょう。
参考:総務省 2020年基準消費者物価指数 全国 2024年(令和6年)8月分
「働き方」に対する考え方の変化
背景の2つめは、働き方に対する考え方の変化です。
従来は、就職した企業で定年まで勤め上げるという考え方が一般的でした。
しかし現在では、給与やワークライフバランス等を考慮したうえで、より良い条件の企業に転職する方も少なくありません。
実際に総務省統計局が発表した転職者のデータを見ると、2019年には844万人だった転職希望者が2023年には1,035万人にまで増えています。
このように積極的に収入や雇用について考える中で、FIREに興味を持つ方が増えているようです。
参考:総務省統計局 直近の転職者及び転職等希望者の動向について
「人生設計」に対する考え方の変化
背景の3つめとしては、人生設計に対する考え方の変化が挙げられます。
従来は60歳で定年を迎え、年金を受け取り、足りない部分を退職金などで補てんしながら老後の生活を送るといったセカンドライフが一般的でした。
しかし2000年に年金の支給開始年齢が65歳に引き上げられたことや、標準的な年金受給世帯の年金額が20年前よりも減っていることを見ると、これまでと同様のセカンドライフを送ることは難しそうです。
年金の支給額が減る一方で、平均寿命は男女とも80歳以上と高い状態が続いています。
そのため老後の収入を年金や退職金のみに頼るのではなく、資産運用による収入源の確保を若いうちから進め、いずれはFIREを実現したいと考える方が増えています。
今は人生100年時代・・・
参考:厚生労働省 50~60代の皆さんへ | いっしょに検証! 公的年金
資金運用への認知の広まり
背景の4つめは、資金運用への認知の広がりです。
資金運用が広く知られるようになった主な理由としては、以下の2つが挙げられます。
- 少額から投資できる商品が増えた
- NISAがスタートした
投資信託や株式といった運用商品は、日々の値動きにより資産が増減します。
価格の値動き次第では損失が発生する可能性もあるため、投資は怖いと感じる方も少なくないでしょう。
しかし近年は、100円から株式や投資信託を購入できるサービスも増えており、リスク許容度に合わせて無理のない範囲で資金運用をスタートできます。
それにより、資金運用にチャレンジしようという方が増えました。
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また、2014年にNISA(少額投資非課税制度)がスタートしたことも、資産運用の広がりを促進しました。
NISAは、株式や投資信託への投資から得た利益にかかる税金が、一定額まで非課税になる制度です。
節税しながら効率の良い運用ができることから利用者は年々増え、2014年末に825万口座からスタートしたNISAは、2023年末には2,136万口座まで増えました。
このようにNISAのスタートは、それまで運用に興味がなかった方も口座を開設するきっかけになったといえるでしょう。
参考:日本証券業協会 NISA口座の開設・利用状況 2024年4月
FIRE実現に必要な2つの条件
FIREを達成するには、2つの条件をクリアする必要があります。
ここでは、それぞれの条件を詳しく見ていきましょう。
1.年間支出総額の25倍の資金を用意する
FIREを達成するには一般的に、年間支出総額の25倍の資金を用意する必要があるとされます。
では、年間支出総額の25倍とは具体的にどの程度の金額でしょうか。
総務省による家計調査年報(家計収支編)によると、2023年度の全世帯の平均消費支出額は月額24万7,322円、2人以上世帯だと月額29万3,997円です。
それぞれを年間支出額に換算し25倍した金額は、以下のとおりです。
- 全世帯:7,419万6,600円
- 2人以上世帯:8,819万9,100円
先述のとおりFIREでは早期リタイアほどの資金は必要ないとはいえ、7,500万円以上の資金を用意する必要があることは押さえておきましょう。
参考:総務省 家計調査年報(家計収支編)2023年(令和5年)結果の概要
2.「4%ルール」または「5%ルール」を基本とする
FIREでは、4%ルールまたは5%ルールが基本とされます。
4%ルールとは、1998年に米トリニティ大学のグループによって発表された資産運用に関するルールです。
4%は米国株式市場の成長率7%と物価上昇率3%の差をもとに算出された数値であり、貯蓄の切り崩し額を投資元本の4%以内に抑えれば元本が目減りすることはないという考えです。
仮に、7,000万円を元本として投資したとしましょう。
4%の成長率があったとすると、年間280万円(7,000万円×4%)の利益の獲得が期待されます。
そのため毎年280万円までの支出であれば、元本を減らすことなく運用を継続できると考えられるのです。
なお、日本では物価上昇率の目標は2%とされています。
そのため、5%(7%-2%)ルールで良いという方もいるようです。
5%ルールを採用すると、投資元本が7,000万円の場合は350万円(7,000万円×5%)までは安心して支出できるという計算になります。
FIREを実現する4つのメリット
ここでは、FIREの実現により得られる4つのメリットを解説します。
FIREを検討している方は、ぜひ参考にしてください。
1.仕事に縛られない生活が送れる
メリットの1つめは、仕事に縛られない生活が送れる点です。
特に経済基盤を不労所得とするフルFIREであれば、自由で余裕がある生活を実現できます。
空いた時間はボランティアや趣味に充ててもよいでしょう。
あらためて何らかの仕事を始める場合も、収入のためではなく生きがいや自分のスキルアップ等を目的とした働き方が可能になります。
2.生活拠点を自由に選べる
メリットの2つめには、生活拠点を自由に選べることが挙げられます。
仕事をしていると、会社に通勤できる範囲で生活拠点を決めざるを得ません。
また異動があれば、会社が指定した地域に生活拠点を移さなければならないでしょう。
一方FIREを達成すれば、好きなところに生活拠点を置けます。
寒さが苦手な方は、暖かい地域が生活拠点の候補となります。
ウィンタースポーツが趣味の方は、雪が降る地域に住んでもよいでしょう。
緑に囲まれてのんびりと生活したいのであれば、田舎での生活も選べます。
このように、自分が望むライフスタイルに合った場所で生活ができるのも、FIREの大きなメリットです。
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3.資産運用の知識が身に付く
メリットの3つめは、資産運用の知識が身に付くことです。
FIREを達成するには、運用による資産形成が不可欠です。
そのため、運用に関する幅広い知識や金融リテラシーを得られるでしょう。
なお、投資元本を守りながら生活費を捻出するには、FIRE達成後も運用資産に気を配り続ける必要があります。
そのためには、FIRE実現後も運用に関する勉強はぜひ継続してください。
4.人生の選択肢が広がる
メリットの4つめは、人生の選択肢が広がる点です。
FIREを達成すれば、時間的・経済的な余裕を得られます。
空いた時間で趣味やボランティア、新事業の立ち上げといった新たなことにチャレンジできるでしょう。
新しいことをスタートすれば知識が増えたり人間関係が広がったりするため、より豊かな人生を送れる可能性もあります。
会社員として働いているだけでは得難いさまざまな経験ができる点も、FIREの魅力の1つです。
FIREのデメリットや注意点
達成によりさまざまなメリットがあるFIREですが、一方でいくつかのデメリットや注意点もあります。
デメリットや注意点をあらかじめ確認し、納得したうえでFIREを目指しましょう。
投資には一定のリスクがある
デメリットの1つめは、投資には一定のリスクがある点です。
先述のとおりFIREでは、4%ルールをもとに資金計画を立てます。
ただし、毎年必ず4%の運用成果を出せるとは限りません。
4%の利益を獲得できないときは、支出を抑えるか投資元本を切り崩さなければならなくなります。
FIREを達成するときには、4%の運用成果を出せなかった場合の対処法まで考えておくことが肝心です。
緊急時には生活費以外の出費が必要になる
デメリットの2つめは、緊急時には生活費以外の支出が必要になる点です。
生活費に十分な資金と不労所得を用意してFIREを達成したとしても、病気やケガ、介護といった不測の事態の発生により、まとまった資金が必要になる可能性もあります。
支出額によっては、FIREの継続が難しくなるかもしれません。
FIREを目指すときは生活費の確保に加えて、不測の事態が発生したときに使える余裕資金を用意しておくことも重要です。
それまでのキャリアが途絶える
デメリットの3つめは、それまでのキャリアが途絶える点です。
FIREの達成により早期リタイアをすると、一旦キャリアがストップします。
将来にわたりFIREを継続できれば、キャリアの中断はそれほど問題にはならないでしょう。
しかし前項で解説したとおり、何らかの理由でFIREを続けることが難しくなったときは、再び働かなければならなくなります。
FIREを経て再就職する際には、FIRE前に働いていたのと同水準の仕事の獲得は難しくなる可能性があることは押さえておきましょう。
人生のやりがいを失う可能性がある
デメリットの4つめは、人生のやりがいを失う可能性がある点です。
FIREにより時間的・経済的余裕を獲得すると、はじめは自由でゆとりがある生活を得られた喜びが勝るでしょう。
しかし時間が経つにつれ、時間を持て余し人生のやりがいを失う可能性があります。
FIREを目指すのであれば、資金計画と併せてFIRE達成後のライフスタイルや、新たな目標についても考えておきましょう。
将来受け取る年金額が減少する
デメリットの5つめは、将来受け取る年金額が減少することです。
FIREにより会社を辞めると、厚生年金保険を抜けて国民年金に加入することになります。
ここで押さえておきたいのは、厚生年金と比較し国民年金は年金支給額が少ない点です。
厚生労働省年金局が発表する厚生年金保険・国民年金事業の概況によると、2022年度における厚生年金および国民年金の平均年金月額は、以下のとおりです。
- 厚生年金保険:約14万4,000円
- 国民年金:約5万6,000円
このように、国民年金は厚生年金保険と比較し支給額が大きく下がります。
老後に資金繰りが立ち行かなくなることがないよう、FIREを目指すのであれば、老後の資金計画までしっかりと考慮した資金プランを立てましょう。
参考:厚生労働省年金局 令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況
FIREを実現に向けた3ステップ
FIREを実現するには、数千万円の資金を用意しなければなりません。
そのためには、1つずつ段階を踏んで資産形成をする必要があります。
ここでは、FIREの達成に向けた3つのステップを解説します。
ステップ1.必要資金を算出する
ステップの1つめは、必要資金の算出です。
先述のとおりFIREをするには、年間支出総額の25倍の資金が必要です。
年間支出総額は、年代やライフステージによっても変わります。
そのためリタイア後の生活をしっかりと想定したうえで算出することが重要です。
また、住宅の購入や子どもの誕生といったライフイベントが発生したときは、さらに追加の資金が必要になる可能性もあります。
資金的にゆとりのある生活を目指すには、ライフイベントや不測の事態が発生したときに利用できる資金の確保も考慮しておきましょう。
ステップ2.収入と支出の見直しを図る
ステップの2つめは、収入と支出の見直しです。
必要資金を算出しても、収入が少ない、無駄な支出が多いといったときには、計画的な資金形成はできません。
FIREに向けて十分な資金を貯めるには、収支と支出のバランスを整えることが大切です。
支出が多いと感じるのであれば、不要な支出の削減を図りましょう。
収入が足りないときには、転職や副業により収入を増やすことも選択肢となります。
ステップ3.資産形成を始める
ステップの3つめは、資産形成のスタートです。
資産運用には株式や投資信託、不動産といったさまざまな方法があります。
それぞれの特徴やリスクを理解したうえで、自分に合ったものを選びましょう。
なお主な資産運用の特徴やリスクは、以下のとおりです。
なお投資におけるリスクとは、価格のブレ幅のことをいいます。
そのため、大きなリターンを狙うのであれば、ある程度のリスクを取った金融商品への投資が必要です。
資産運用をする際には1つの種類にすべての資金を投資するのではなく、リスクとリターンのバランスを見ながらいくつかの種類に分散投資しましょう。
まとめ
FIREとは経済的自立を意味する「Financial Independence」と、早期リタイアを意味する「Retire Early」の頭文字を取った造語です。
ライフスタイルや働き方の多様化に伴い、FIREへの注目が集まっています。
FIREを達成すれば労働収入に縛られない自由なライフスタイルを実現できる一方で、それまで培ってきたキャリアが途絶えるといった注意点もあります。
FIREを目指すには、一般的に年間支出総額の25倍の資金が必要です。
まずは支出や収入を見直し、計画的な資産運用をスタートさせてはいかがでしょうか。