この記事を書いた人
船橋寛之(ふなばしひろゆき)
1984年生まれ。
ドイツ育ちの不動産投資家。
不動産投資歴16年。
立教大学 経済学部卒。
リーマンショックの時に新卒で区分マンションを購入し、東京23区を中心に最大6棟55部屋を所有。
大和証券、大和総研に11年間勤務後、不動産コンサルタントとして独立。
現在は年間20億円以上の「非公開物件」仲介を行う。強みは「物件情報力」で、経験を活かしてセミナー講師や執筆活動にも携わる。
私生活では子供3人を育てる「ほぼ主夫」。
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「みんなで大家さん」が行政処分を受けました。
ずっと前から怪しくて絶対飛ぶであろうと確信していたこの商品、ようやく化けの皮がはがれてきたようです。
それにしても長かった。
高性能な自転車ですね。
「みんなで大家さん」は、いわゆる不動産小口化商品に該当するものですが、個人的にはかねて最初からどの商品もハイリスクであると考え、投資対象には入れていません。
「みんなで大家さん」のどんなところが当初からハイリスクだと思っていたのか、解説します。
今回「みんなで大家さん」から不動産小口化商品のリスクについて、改めて考えてみると良いでしょう。
大阪府は18日までに、不動産投資商品「みんなで大家さん」を運用・販売する都市綜研インベストファンド(大阪市)に対し、不動産特定共同事業法に基づき18日から30日間、新規販売など一部業務の停止を命じた。成田空港周辺の開発プロジェクトへの投資商品で、出資者への説明が不十分だったことなどを処分理由に挙げた。
都市綜研インベストファンドは共生バンク(東京・千代田)のグループ会社。大阪府によると、プロジェクトの計画が訪日外国人向けの観光産業拠点から2023年5月に食品産業の集積拠点へと変更されたにもかかわらず、出資者に対し資産価値に与える影響の説明を怠るなどしたという。
都市綜研インベストファンドは17日に自社ホームページ上で「法律専門家および事業関係者と協議の上、適切に対処する」と発表。18日には「行政処分を契機に契約上の地位の譲渡の申し出が多発している」として「事業参加者様の保護を第一に、譲渡契約の締結を一時的に停止する」と発表した。
東京都も同日までに、共生バンクグループのみんなで大家さん販売(東京・千代田)に対し、不動産特定共同事業法に基づき21日から30日間の業務の一部停止などを命じた。
引用:日本経済新聞(2024年6月18日)
不動産小口化商品とは?
不動産小口化商品とは、特定の不動産を一口数万円から100万円程度に小口化して販売し、不動産の賃料収入や売却益を投資額に応じて出資者に分配する仕組みの商品です。
簡単にいうと、みんなで少しずつお金を出し合って不動産を買おうよ!というものです。
少額から不動産投資に参加できる点が魅力なのでしょう。
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色々な種類の商品があります。
その種類によって所有権や運営主体、税務上の扱い、減価償却の可否などが異なります。
それぞれの詳細な説明は省きますが、相続としても有効な手段の一つとなっていました。
現金で相続するよりも不動産小口化商品にしておけば、評価額を下げることができるので、相続税対策として有効になるということです。
一般的な借り入れをして不動産を購入することに比べると、心理的なハードルは低いものだったと想像できます。
確かに買いやすいのはでかいね。
不動産投資に慣れていれば借入は怖くありませんが、そうでない場合、過去に経験したことのない借入をして不動産を購入するというのは怖くて当然です。
不動産小口化商品最大のリスクとは?
通常の不動産売買で考えてみます。
物件を買えば、登記が行われます。
要するに、これは私の物件だよ、という名前が証拠として入るということです。
ローンを借りて購入すれば、通常は物件に銀行が抵当権を設定します。
買った不動産は自分のモノ!
但しローンの支払いができなくなったら銀行が没収!
こんな感じです。
不動産小口化商品のリスクといえば、不動産自体を買うのではないという点です。
簡単にいうと、発行体の社債を買うイメージに近いと思います。
社債のリスクな何でしょうか?
その会社の倒産ですね。
自分で不動産を買えば自分の支払いが滞らない限り、倒産という概念はありません。
しかし、不動産小口化商品は、発行体が飛べば、資金を大きく失う可能性があるということです。
それは怖いね~
社債を買うときは何を見ますか?
トヨタの社債であればなんとなく安心する人は多いでしょう。
他方、名前も知らない、何をやっているかもよくわからない会社が発行する社債はどうですか?
欲しいですか?
それとも、よくわからない会社だし辞めておこう!になりますか?
この観点は、不動産小口化商品を選択する際も極めて重要です。
発行体にトラブルが生じれば、投資した資金が棄損する可能性は十分にあるのです。
こう考えると、思ったよりリスクは高いのではないでしょうか。
発行している多くの不動産業者などは中小です。
この時点で、社債であれば検討から外れませんか?
リスクとリターンがあっていない商品だと私は流行りだした当初から思っていました。
みんなで大家さんが危険であった理由
みんなで大家さんがなぜ危険であったのか。
理由は簡単です。
利回りが高すぎる
という点です。
当たり前の話ですが、リスクとリターンは表裏一体の関係にあります。
投資の世界では常識だ!
エンドの払い出しが7%ということは、運営サイドはそれをはるかに超える利回りを実現させないといけません。
超大手の不動産業者や証券会社が発行しているものであれば、そもそもその母体が極めて有利な条件で融資を引けたり、物件情報の優遇もかなりあるでしょう。
一般的な不動産業者がこのクラスの優遇を受けることは困難で、にも関わらず、7%出すというのは至難の業といってよいでしょう。
不動産投資をある程度のエリアで行っている人であれば容易に想像がついたはずです。
エンドに7%もの配当を出しながら物件を回していくのは難しいことが。
キャピタルをあてにした架空の計算であれば可能かもしれませんが、いずれにせよ危ない組織という認識は早い段階でありました。
次に、広告が目立っていたことです。
一般的に、広告が多いということは、そこに費用をかけている証拠にもなりますし、内部で回っていないんだなと感じます。
本当に優れた商品なのであれば過度な広告は不要です。
広告を多く目にする投資商品には危険が多いということです。
近年流行ってしまった有名人を使ったSNSでの広告詐欺なども一緒です。
良い投資商品は広告されません。
覚えておくと良いでしょう。
よく目にするものは危ないってことだね。
他にもある!危険な不動産小口化商品を見分ける方法
危ない不動産小口化商品は沢山あると思います。
改めてになりますが、社債を買う感覚も必要です。
発行体は本当に大丈夫ですか?
不動産業者なんて簡単に飛びます。
好調でも不正融資がばれてメインバンクに提携切られて一気に傾くなんてザラです。
既に挙げましたが、
・高利回り
・広告
の2点が危険を判断する基準となるでしょう。
高利回りは、当然ですが発行体もリスクを取る必要があり、危険です。
または最初から運用などしていない悪質なケースもあるでしょう。
自転車操業です。
これに加えて広告を頻繁に目にするようであれば危険です。
是非この2点は覚えておくと良いでしょう。
まとめ
不動産小口化商品は社債に近い性質があり、リスクとリターンがあっていないと個人的には思います。
私は今までも不参加ですが、今後も不参加です。
トヨタの社債を買うのとはわけが違います。
中堅どころの不動産業者なんていつ倒産してもおかしくはなく、その会社の社債を買うなど考えられません。
「みんなで大家さん」は不動産小口化商品を改めて考える良い機会になったのではないでしょうか。
不動産を買っているのとは違うのです。
元金が棄損したり、最悪戻らなかったりすることもある、ということを認識しておきましょう。
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