不動産投資に関係の無い人であれば、マイホーム購入のリスクを承知の上、適切な価格で、適切なエリアにマイホームを購入すれば良いと思います。
しかし、不動産投資をしたいのであれば、マイホームの購入はできるだけ避けておくべきです。
まだまだ年齢が若く、実需での不動産購入しか選択肢にないような場合は、検討の価値はあります。
本格的に不動産投資を開始できる年収や自己資金が用意できる段階になったら、売却も視野に入るからです。
なぜマイホームを買わないほうが良いのか?
住宅ローンは、個人信用情報に登録される
マイホームの購入に伴う住宅ローンは、銀行から見るとマイナスです。
この話に尽きます。

既に借入がある状態と見なされてしまうのです。
住宅ローンは、個人信用情報に登録される借入です。
以降融資を受ける際、全ての銀行に住宅ローンの存在を把握されます。
銀行は、
・年収に対してどの程度の借入があるのか
・評価額とローンの残債にマイナス乖離がないか
をチェックします。
住宅ローンでも、購入からかなりの年数が経過していれば、
銀行評価額 > ローン残債
になっている可能性もありますが、購入して間もないと、
銀行評価額 < ローン残債
になるでしょう。
不動産投資で物件の数を増やしたい場合、住宅ローンで借入枠を使ってしまうのは、勿体ないことです。
また、住宅ローンは収益物件とは異なり、賃借人から得る賃料でローンの支払いをするのではなく、自分の所得(可処分所得)から返済する必要があります。
これは、明らかにマイナス評価です。
家賃収入がなく、ローンの返済を自分自身で行うということです。
1棟物件においては、物件そのものの評価であったり、自己資金が評価されますが、ワンルームは単純な年収倍率で借入上限が定められており、自宅の購入をすると、ワンルーム投資で使える枠は減ります。
マイホームは評価されないのか?

マイホームの購入でも、銀行から見て評価されるケースもあります。
それは、前述した通り、銀行評価上の資産額が、ローン残債を上回っているケースです。
勿論、完済済みのマイホームを保有している場合は、評価ポイントが更に上がります。
区分マンションでマイホームを所有している場合、ローン残債が購入価格の半額以下ほどにまで減っていないと評価の対象にはなりません。
区分マンションは、銀行から評価されません。
土地が自由に使えない区分マンションは、販売されている価格の半値以下ほどの評価しか出ません。
東京23区でも同じです。
区分マンションの銀行評価は、驚くほど低い
一戸建ての場合は、土地評価になります。
建物は評価されないと思ってください。
土地評価額と、ローン残債の比較になります。
土地評価額がローン残債を上回れば、プラス評価となります。
銀行がマイホームを評価しているときは、融資の条件として、マイホームを共同担保に入れる提案をしてきます。
自分自身のマイホームだけでなく、時にはご両親のマイホームを担保に入れることはできないか、とも聞いてきます。
世代が上がれば、ローン残債のないマイホームを保有している可能性も高くなるからです。
マイホームに限らず、物件を共同担保に入れることができる場合は、銀行評価額 > ローン残債 のプラス乖離分を、自己資金とみなしてくれるケースがあります。
但し、共同担保に入れると、共同担保に入れている物件単体では売却できなくなります。
共同担保に入れて物件を購入する時は、共同担保に入れる物件の計画をしっかりと立ててからにしてください。
まとめ

不動産に興味はなく、マイホームを買ってそこに住むだけであれば問題ありませんが、収益物件数を増やしたいと考えている場合、銀行から見ると収益を生まない、支出だけがある住宅ローンはマイナスになり、融資は不利になります。
あなたが描く中長期的な不動産への投資スタンスをしっかりと計画した上で、マイホームは購入されることをお勧めします。
若いうちの投資として考えるのか
結婚して家族がいるので、そこに住み続ける思いで買うのか
などです。
後者でかつ大きな金額の借入をしてしまうと、不動産投資では不利になることがあるので、念頭においておくと良いでしょう。
銀行の中には、物件単位で収支を判断したり、頭金の割合が高ければ融資が通るところもあります。
住宅ローンを抱えている場合は、このような銀行で融資を打診するのが良いでしょう。
逆に、収益物件を持っていると、それが住宅ローンの審査に影響することも忘れてはいけません。
将来マイホームが欲しいな!
と思っているのであれば、収益物件を買ったうえで、本当にマイホームが買えるのかはしっかりと調べておくべきでしょう。

※フラット35の制度改正が2020年の4月にありました。これにより、区分マンションを多く持っている人の住宅ローンが通りにくくなったので、注意が必要です。

