賃貸経営を行うにあたり、投資家の多くが「築年数」や「立地」を重視するはずです。
実際、入居者も「築浅・好立地」の物件を中心に住まいを探しているケースは多く、賃貸経営を成功に導くために、そうした条件を満たした物件を選択することは重要かもしれません。
ただし、「築浅・好立地」だからといって、賃貸経営が必ず上手くいく訳ではありません。
本稿では、好条件の物件を手に入れたにもかかわらず、「空室続き」といった状況に見舞われているオーナーの共通点について考えます。
立地がいいのに空室って悲惨だよね
「築浅・好立地」であっても、入居者に不人気の物件は存在する
賃貸アパート経営における最大のリスクは、空室が発生した場合に次の入居者が円滑にみつからないことです。
非稼働の状態が長引けば長引くほど、当初の見込みよりも収益性が低下してしまいます。
賃貸経営を成功に導くためには、退去者が出てもすぐに空室が埋まりやすい物件を保有することが鉄則。
それを考える上で、「築浅」や「好立地」といった条件は、空室の長期化を防ぐための強力な武器となるはずです。
しかし、「築浅」でかつ「好立地」でありながら、なぜか入居者に選ばれない物件が存在しているのも事実です。
それは一体なぜでしょうか?
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入居者にとって、「築浅」が大きな魅力の1つであることは確かですが、管理がいい加減で入口や階段などの共有スペースにゴミが散らばっていたり、メンテナンスが疎かで建物の傷みが早かったりすると敬遠されがちです。
築年数が経過していたとしても、手入れが行き届いていて清潔感の漂う近隣物件が選ばれたとしてもおかしくありません。
入居者にとっては、その物件こそが日々の生活を過ごすスペースとなる訳ですから、「快適性」が重要であることは間違いありません。
建物が古びていないことはその要素の1つにはなれど、決定打とはなりえず、見た目が新しくてもほかに不快なポイントが見つかれば、結局選ばれることはありません。
また、そういった意味では「間取り」や「収納スペース」も重要な条件となります。
「築浅」でもかなり窮屈な「間取り」であったり、「収納スペース」が貧弱であったりすると、実際に内覧を行った際に失望される材料となりやすいものです。
うーん難しい!
「好立地」という条件に潜む“大きな落とし穴”
「好立地」という条件についても、大きな落とし穴が潜んでいます。
駅から徒歩30秒の距離に建っていたとしても、さほど賃貸需要が見込めないエリアの場合は空室が容易に埋まらない恐れが出てきます。
たとえば単身者をターゲットとしている物件なら、都内の主要なターミナル駅までのアクセスに優れたエリアに人気が集中しています。
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アクセスに難があるエリアでは、進学や異動のシーズン以外で空室が発生すると入居者探しに苦労しがちです。
現に東京23区内では、2015年頃から賃貸アパートの空室率が上昇傾向を示しています。
わお!気を付けないと
2015年1月1日の相続税制改正で課税が強化されたのを踏まえて、税金対策のために賃貸アパート経営に乗り出す人が増えたことがその背景にあります。
他人に貸すと課税評価額が下がることから、もともと所有していた土地にアパートを建てるケースが急増したもの、さほど賃貸需要のないエリアに林立したことから、相次いで空室が発生した訳です。
さらに、賃貸アパート経営に失敗している投資家の多くは、「好立地」という条件を狭義で捉えているケースが多いようです。
広義の「立地」においては、「駅まで至近距離にある」といったような移動の利便性以外にも、日当たりや周辺施設の充実、街全体の雰囲気、治安などの条件が含まれてきます。
内覧時に入居希望者がチェックしているのは、物件の外観や内観だけではありません。
駅までのアクセスに優れていても、コンビニやスーパー、飲食店、医療機関などといった日常生活に欠かせない施設が見当たらないと、不便で生活しづらいとの結論に達するでしょう。
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加えて、「治安が悪い」という印象が強いエリアは、おのずとファミリー層や単身女性に敬遠されてしまいます。
多くの層から支持されるような立地条件が整っていない限り、空室がなかなか埋まらない恐れがあるのです。
「築浅・好立地」なのに失敗するオーナーの共通点は?
結局、「築浅・好立地」の物件を手に入れたのに空室に悩まされているオーナーの多くは、それらの条件を表面的にしか捉えていないようです。
とにかく「築浅」であれば入居者に好印象を与えられると思い込み、多くの入居者の真のニーズである「快適性」の重要性を見落としているのです。
一方、「立地」についても最寄り駅までのアクセスばかりを重視し、周辺の施設や治安をさほど気にしていません。
そして何より、賃貸需要が高いエリアであるか否かという判断も疎かになっているのが現実でしょう。
言葉を換えれば、賃貸経営に成功しているオーナーは、あくまで「築浅」は「快適性」に結びつく条件の1つにすぎないことを理解し、日頃の管理やメンテナンスにも気を配っています。
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その観点から間取りや収納スペースにもこだわり、インターネット環境やオートロック、防犯カメラ、宅配ボックスなどといった設備面も重視しているのです。
新型コロナウイルスの感染拡大以降、リモートワークやウェブ会議がにわかに普及しましたが、そういった目的で使用できるスペースの確保も人気を呼ぶ秘訣となっているようです。
成功しているオーナーは、入居者目線で物件を選び、設備の充実にも力を入れています。
オーナー自身がずっと住み続けたくなるような環境が整っている物件であれば、空室知らずの状態が続きやすい上、突発的に空室が発生したとしても、すぐに次の入居希望者がやってくるのです。
賃貸経営ってやっぱ簡単ではないんだね・・・