コラム

【不動産投資】今後売りにくくなる1棟収益物件とは?

不動産投資は、融資が鍵を握ります。

昨今は数年前に流行った、金融資産の乏しい人に対する無茶な融資が閉ざされ、健全化されています。

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健全化された、ということは、不動産投資における1棟物件への参加者の質が平均的に高くなったことを意味します。

今までは、

・年収1,000万未満

・金融資産1,000万未満

という人の参加も珍しくありませんでした。

現在では、

・年収1,000万以上

金融資産3,000万以上

くらいの人でないと、そこそこの規模の物件は買えなくなってきています。

年収というよりは、金融資産が融資のポイントになってくるので、3,000万以上くらいは金融資産がないと、難しくなってきているのが今の現状です(後述する物件種類別で変わります)。

 

不動産投資は、売って初めて利益が確定する投資です。

売ることを意識して購入しなくてはいけません。

売る、ということは、誰かが買う、ということになります。

その誰かは、ほとんどの場合ローンを使って買うでしょう。

すると、銀行が貸さなくてはいけません。

売ろうと思ったときに、銀行が貸しやすい物件を持っていることが、売却への鍵を握るのです。

不動産種類別属性

1棟では、大きく分けて次の3タイプで融資する銀行が変わります。

タイプ別に買主の属性は大幅に変わります。

積算重視の築古

一番多くの対象者がいる物件の種類です。

年収ハードルはほぼありません。

金融資産も、3,000万円に満たなくてもチャンスがあります。

多少場所が微妙でも、土地が広くて積算が出れば、融資対象になります。

共同担保などがあれば少ない自己資金でも購入することができたりと、使いやすい銀行が多いのが特徴です。

具体的には、

・三井住友トラスト

・静岡銀行

・スルガ銀行

・セゾンファンデックス

・日本政策金融公庫

などが挙げられます。

どれもそこまで高属性でなくても融資は可能で、ターゲットになる人が多いレンジの物件です。

多くは1億未満です。

日本政策金融公庫などの場合は、ロットの低い物件のみが対象ですが、低い属性でも借りることができる点で、人気はあります。

よって、積算が出る物件は、貸す銀行も多いため、古くなっても比較的売りやすいというメリットがあります。

価格は大きくなると自己資金ハードルが上がってくるので、7,000万円未満くらいが買いやすいレンジではないでしょうか。

築浅1億円未満

築浅になると、年収がポイントになってきます。

最低でも年収は700万円以上です。

価格が1億円未満であれば、使える銀行は、

・オリックス銀行

・スルガ銀行

・各種信用金庫

などが中心です。

この中で、最もハードルが低いのはオリックス銀行です。

フルローンから頭金10%程度で融資を引くことが可能です。

よって、金融資産が1,000万円台というような人でも、テーブルに乗る可能性はあります。

1億円未満の築浅物件であれば、オリックスが筆頭ではないでしょうか。

築浅1億円以上

1億円以上になると、求められる年収は上がります。

1,000万円以上でも少しは使える銀行もありますが、できれば2,000万円~3,000万円以上の年収は欲しいところです。

金融資産は、5,000万円以上は欲しいです。

使える具体的な銀行は、

・千葉銀行

・きらぼし銀行

・横浜銀行

・各種信金など

です。

高属性に対しては割と積極的に融資はしている印象です。

複数棟の購入に関しては、よほど合計のバランスシートが良くないと難しくはなっていますが、高属性であれば持ち込みは十分可能でしょう。

売りやすい物件

売りやすい物件とは、簡単にいうと、上記「不動産種類別属性」に記載した物件です。

そこに該当する物件であれば、融資する銀行があるので、買い手はエリアが悪すぎなければ見つかるでしょう。

エリアが悪くなり、古くなると、相応の利回りは必要になってきますが、それを満たせば買い手はいます。

特に、5,000万円未満のような、小さなロットの物件が、一層売りやすくなってきています。

融資が厳しい時期は、特に融資額は伸びないので、小さい物件しか買えない!という人が圧倒的に多くなります。

積算が出る物件であれば、どのような状態であっても、融資先は見つかる可能性は高いのです。

ただし、地方都市など需要の乏しいまたは下降気味のエリアは買い手が見つかりにくくなっています。

場所が悪い地方だと貸す銀行もほとんどありません(従来はスルガ銀行頼み)。

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築浅に関しては少し複雑です。

構造別に売れにくい物件というのが存在します。

築浅を検討している場合は、少し注意が必要です。

勿論、30年先までずっと持っている!

ということであれば気にしなくていいかもしれませんが、やはり売れる状態を確保しつつ運用していくほうがベターなので、売れるに越したことはないでしょう。

RCであれば、耐用年数も長く、築が30年になっても十分に買い手がつきます。

木造と鉄骨は、残念ながらそうはいきません。

このような融資状況の変化から、現在はRCの人気が増していると感じます。

売れにくい物件

結論から書きます。

木造、軽量鉄骨で価格が1億円を超える物件は、売りにくいです。

1億円未満(できれば7,000万未満だとなおベター)であれば、オリックスが候補になるため、以下に記載する融資期間の問題は起きなくなります。

ただし、それでも築10年ほどを超えてくると、築浅でもなくなってくるので、微妙なところに突入します。

 

話を戻します。

1億円以上の木造・軽量鉄骨物件を買うときは注意が必要です。

木造、軽量鉄骨でも、新築またはほぼ新築の状態の引き渡しであれば、各種銀行は25年から30年ほどの期間で融資をしてくれます。

しかし、一度引き渡しが終わって中古になると、いきなり耐用年数が適用されるようになるので、次売るときは、耐用年数 – 築年数 で融資期間が計算されてしまいます。

ご存じの通り、木造と軽量鉄骨の耐用年数は短く、そこから築年数を引いて融資期間を出されてしまうと、融資期間は20年も取れないことが予想されます。

そこそこの立地で買っていれば、利回りも低めで当然です。

利回りが低くて融資期間が短ければ、かなりの自己資金を投入しないと回りません。

好んで多額の自己資金を投入するくらいであれば、自己資金の少ない新築1棟などに流れるでしょう。

あえて築5年というような木造・軽量鉄骨を買う必要はないのです。

場所がそこそこ良い木造鉄骨における築浅で1億以上は要注意です。

欲しいと思う人は存在するものの、融資期間が延びなかったり、思うような融資額が出なかったりと、中古として出回ると、売れにくい商品になってしまうのです。

1億以上の物件を検討する場合は、RCが賢い選択になるでしょう。

RCであれば、耐用年数は47年もあるので、築20年でも27年の融資期間が取れます。

すると、十分に回ります。

 

木造か鉄骨の場合であれば、売値が7,000万未満ほどの築浅が良いでしょう。

ロットが小さくなれば、オリックス銀行が候補に入ってきます。

融資期間も、築10年くらいであれば、まだまだ30年ほど引けるので、十分に回ります。

融資額についても、フルローン~頭金10%程度で購入に至れるので、オリックス銀行を使う想定のもとで売却活動をすると、売れやすいと思います。

まとめ

どんな物件であれば融資が付きやすいのか?

を予め把握しておくことは大変重要です。

属性や使える銀行で購入できる物件はかなり変わります。

どのような物件に融資が付くのか?

を知っていれば、自分が売るときに、そこにターゲットを合わせれば売抜きは可能なのです。

 

私自身、上記で挙げた、東京23区の新築木造を2億円近くで購入して所有しています。

これはまさに、今や売れにくい物件の典型となってしまいました。

融資情勢も変わるので、タイミングによっては売れるのでしょうが、耐用年数に対する考え方が強くなってきていると感じる今、木造と鉄骨は逆風です。

売却を考えるのであれば、ある程度土地の積算が出る、少し古めの木造、鉄骨がまだ良いでしょう。

ロットの大きな木造、鉄骨を購入するときは、長期保有を前提にすると良いと思います。

強者(金持ち)が出てくるエリアでの木造鉄骨であれば、そもそも金持ちと取引している銀行が諸条件を無視して貸したり、現金での購入もあり得ます。

金持ちが好むエリアとしては、港区、千代田区、中央区、新宿区、渋谷区、文京区あたりです。

それぞれの区において、外れた駅などは除きます(都心の中でも弱い駅は存在します)。

都心6区かつ駅力のあるところで物件を持っている場合は、強者の買い手が現れますが、それ以外での高額木造鉄骨は、なかなか出口が難しいでしょう。

億以上の場合は、RCも検討してみてください。