コラム

【民法改正】連帯保証人制度の変更における不動産投資への影響

2020年4月1日から、連帯保証に関する民法が変わりました。

これにより、少なからず不動産投資の融資に影響が出ています。

そもそも何が変わったのでしょうか?

それにより、どんなことができなくなり、その結果、どこに影響が出てくるのでしょうか?

今回は、

・民法改正の概要

・民法改正の影響について

を不動産投資の視点からお伝えします。

連帯保証人とは?

連帯保証人とは、

主債務者と同じ責任を負うことを約束した人

です。

 

Aさんが500万円を借りるとします。

Bさんは、Aさんの連帯保証人になりました。

すると、Bさんも、ある意味で500万円借りたのと同じということです。

Aさんが500万円を返済できずに逃げてしまったとします。

すると、Bさんに500万円を返済する義務がでてくるのです。

Bさんは借りてもいないのに、返済の義務だけ背負うのです。

借りた人と同じ責任が契約上ある人を連帯保証人と言います。

すごく重いのです。

軽々しく連帯保証人になるのは避けましょう。

民法改正の概要(変更内容)

連帯保証人制度はどのように変わったのでしょうか。

改正のポイントは3点ありました。

1.個人根保証契約の極度額ルールについて

2.主債務者から連帯保証人への情報提供義務について

3.債権者から連帯保証人への情報提供義務について

 

言葉で書くと難しいのですが、不動産投資で重要なのは「1.個人根保証契約の極度額ルールについて」です。

あとの2つは、情報提供するべき人にはちゃんとしましょうね、という話です。

いずれにせよ、連帯保証人制度が非常に面倒なものになった、と解釈いただければ十分です。

 

「1.個人根保証契約の極度額ルールについて」の変更ですが、簡単に言うと、

連帯保証人が保証すべき上限金額を明記することが義務付けられた

というものです。

従来は、連帯保証人になったら、その時点で主債務者と同じ返済義務を背負っていたのですが、その上限となる金額を予め明記する必要が出てきたのです。

 

例えば先ほどの500万円を例にします。

Aさんは500万円を借りていて、Bさんがその連帯保証人でした。

改正された制度では、Bさんがいくらまで保証するか、というのを明記するというものです。

Bさんが、100万円までを保証する、という形で連帯保証人になれば、Aさんが500万円を借りて逃げても、100万円の返済義務しかない、ということになります。

 

単純なお金の貸し借りであれば分かりやすいのですが、不動産投資で考えると、少し複雑です。

民法改正における不動産投資への影響

1棟物件の売買を経験している人であれば、

連帯保証人付けられますか?

と銀行から聞かれた経験があるのではないでしょうか。

連帯保証人を付けると、

・金利が低くなる

・融資額が伸びる

など、借り手にとっては条件が良くなっていました。

銀行側からすれば、連帯保証を取れるので、安心度は増します。

連帯保証人も属性がそこそこ良ければ、年収合算で見てもらうことも可能でした。

よくあるのが、奥さんや旦那さんの年収合算です。

主債務者:年収800万円

主債務者の配偶者:年収600万円

主債務者の年収だけだと800万円ですが、配偶者を連帯保証人に入れることで、合算した1,400万円前後で見てもらえる、ということが可能だったのです。

 

不動産で考えると、返済に困り、最終的に不動産を売っても残債が消せない余りを、主債務者と連帯保証人で返済する必要があります(超過債務分)。

不動産が複雑なのは、その時どのくらいの金額が不足になるかは、売る時期になってみないとわからないというものです(売値 – 残債 のマイナス分)。

しかし、連帯保証人制度は、契約時に保証額を明記するよう変更されています。

2,000万円まで保証してください!

なのか

500万円まで保証してください!

なのかは、その時になってみないとわからないのです。

銀行からすると、とりっぱぐれる可能性が高まりますし、連帯保証人から見ると、いきなり2,000万円まで保証してくださいと言われると、ビビると思います。

連帯保証人で、と言われるだけのケースと、2,000万円までは何かあったら連帯保証人として返済してね、と具体的な金額を言われるのでは、気持ちにも差が出るのではないでしょうか。

 

さて、このような変更があった結果、銀行の姿勢はどうなったのでしょうか。

答えは、

連帯保証人を取るのを控えた

です。

 

2020年の4月から顕著になっています。

不動産投資家にとってみると、今までは連帯保証人を入れることで引けていた融資が、引けなくなるということです。

配偶者の属性が強い人にとってみれば、インパクト大です。

簡単に書くと、色々とややこしくなってしまったので、連帯保証人を取ることを控えた、ということです。

まとめ

連帯保証人は、特に1棟物件では求められることも多かったのではないでしょうか。

配偶者がいるような場合でよく見られたことだと思います。

主債務者だけの属性だとイマイチ足りないが、配偶者を入れると良くなる!

というような場合です。

今の時代は女性も男性と同じ力を持って働くことが可能になっており、銀行に対する女性の評価も、男性同等です。

奥さんの属性が強ければ、昔で言うところの男性×2として見られていたので、非常に有利でした。

これがなくなるのは痛手です。

旦那さんは旦那さん。

奥さんは奥さん。

として融資を引く必要が出てきそうです。