不動産投資では高利回りで低価格の中古物件がもてはやされますが、実はこれがデフォルト(債務不履行)への落とし穴であることに多くの投資家が気付いていません。
利回りの高さを賛美する背景には、厄介なリスクの数々が隠されているのです。
本記事では、不動産投資家が「表面利回り」に踊らされて割安物件に飛び付いてしまうことの危険性について解説します。
利回りばかりに目がいくのは初心者と心得よ!
Contents
「表面利回り」に躍らされてはいけない
現在、日本人の賃金水準は先進国のなかでも最下位レベルにあります。
円安・物価上昇も相まって、貯蓄だけで豊かな生活レベルを維持することは大変困難です。
そのため、経済的余力がある人たちは手元の資産を効率的に増やす取り組みを始めています。
投資初心者でも取り組みやすい資産運用法として「不動産投資」があります。
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インターネットの不動産ポータルサイトにはさまざまな投資用物件情報が掲載されていますが、膨大な数に圧倒されて「どんな視点を持って物件選びをすれば良いのか?」と戸惑うことでしょう。
そこで頼るべきは投資のプロである不動産会社です。
投資用不動産を取り扱う会社は数多ありますが、そのほとんどが「表面利回り」の高い物件を顧客に勧めてきます。
しかし表面利回りだけで物件購入を決めるのは大変危険です。
表面利回りは物件購入価格と家賃収入だけで単純算出した利益率であり、不動産にかかる税金や建物修繕費などの諸経費は鑑みていません。
そうした諸経費も含めた利益率を表すのが「実質利回り」です。賢明な投資家は、表面のみならず実質利回りも見た上で物件購入を決めています。
高利回りに隠されたリスクとは
表面利回りだけをみて物件を購入したために「不動産投資に失敗した」と嘆く初心者が後を絶ちません。
当たり前だけどリスクとリターンは表裏一体だよね
なぜこのようなことが起こるのか。
それは売る側の立場で考えればわかることです。
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投資家側が「儲かる」「稼げる」物件、すなわち利回りの高い物件を求めていることは間違いないので、不動産会社側は「表面利回りが高い」という情報だけを切り取って収益性をアピールしてくるのです。
市場理論で考えれば、人気物件には大勢の買い手が付きますから、安く売り叩く必要はありません。
間違いない・・・不人気だから高利回りにするんだね
そこで疑問視してほしいのは、「何でこんなに利回りが高いのか?」という点です。
物件価格が安く、表面利回りの高い魅力的な物件には必ずといっていいほどリスクが潜んでいます。
注意すべきリスクは以下の3点です。
空室リスクが高い
表面利回りが高く価格が安い物件の多くが「空室リスク」を抱えています。
その原因は最寄り駅から離れているなどの「立地」問題、そして単身者ニーズがないところに建つワンルームマンションなどの「間取り」問題です。
原則として駅から遠くコンビニなどがないエリアに単身者は住みません。
競争力が低く入居客付けしにくい物件は、表面利回りを高くみせて売り出されている可能性があります。
また、各部屋の専有面積を極めて小さくし、部屋数を増やすことにより利回りを吊り上げているケースもあります。
狭小物件と呼ばれ、具体的には各部屋の専有面積が16㎡未満のものを指します。
高額な修繕費用がかかる
中古物件の場合、建物の老朽化が進むにつれて頻繁に修繕工事が必要になります。
高い家賃が取れていても建物修繕費の支出割合が大きくなれば収益率は落ちてしまいます。
たとえば月額4万円の家賃で1年間貸し出し、退去後の原状回復費に35万円もかかってしまったら、その年間収益はわずか13万円です。
この物件を500万円で購入したとすれば、表面利回りは9.6%ですが、実質利回りは2.6%となり、著しく収益性の低い物件を買ってしまったことになります。
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余計な経費がかかる
入居客付けしにくい物件のオーナーは、賃貸仲介業者に対し「広告費(AD)」を支払う場合があります。
広告費とは業者へのキックバックのようなもので、これを支払えばどんなに魅力のない物件でも言葉巧みに客付けしてもらえます。
加えて、顧客の興味を惹くためには室内の改装も必要になるでしょう。
結果、オーナーは空室のマイナス収支のみならず、広告費や改装費といった余計な経費まで背負うことになるのです。
中古物件選びのチェックポイント
物件を売りたいだけの不動産会社に惑わされず、そして利回りなどの数字だけに囚われることなく、より多角的な視点を持って不動産市場を眺めることができれば、初心者であっても有益な物件を見つけ出すことはできるはずです。
不動産投資の指南本の多くには「駅徒歩10分以内の立地が望ましい」とありますが、教科書通りに実践しても成功は勝ち取れません。
たとえ駅から徒歩1時間というような立地でも、人通りのあるエリアであれば賃貸需要は見込めるものです。
そこで通行人の年齢層、周辺の店舗などをチェックしてみて、「若い家族が多い」「小さな子供がたくさんいる」「近くにスーパーマーケットや学校がある」となればファミリータイプの賃貸ニーズが見込めると判断できます。
次に出口戦略、すなわち将来の売却についてです。
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チェックするポイントは、数年間賃貸運用した後でも銀行融資が受けられる物件かどうかです。
未来の市場動向は読めないものの、購入段階で融資査定に不安があるような物件は避けたいものです。
「10年後も〇〇銀行、◇◇銀行なら融資を付けてくれる」と期待できる物件を選ぶことが望ましいです。
銀行融資の観点は素人だとなかなか難しいね・・・
購入後の資金繰りも物件選びの段階で考えておくべきです。
中古物件の場合、外壁・屋上防水工事などといった大規模修繕費の支出が不可欠です。
すでに施工済みの物件であれば良いですが、中古物件では過去の修繕記録が残っていないケースがほとんどです。
また表面だけキレイに修繕してあっても、内部調査で致命的な破損が発見されることもあります。
購入費用ですべて使い果たすのではなく、修繕のための資金も手元に残しておくことが大事です。
修繕リスクを考えると新築物件に気持ちが向いてしまうかもしれませんが、中古物件のなかにも「掘り出し物」はたくさんあります。
建物の状態や立地、間取りなど、物件選びのポイントをしっかりとチェックし、悔いのない選択をしたいところです。