コラム

悪質な紹介料への制裁~不動産投資のワンルーム市場に改善の兆し~

あなたの周りに、やたら不動産投資を勧めてくる人はいませんか?

日々自分で億単位の売買をこなすプロ不動産投資家でもなければ業者でもない。

保険の営業マン、FP(ファイナンシャルプランナー)、職業不詳系、ワンルームを数戸もって上手くいっていると勘違いしている会社員などなど・・・最悪の場合、自分で売り買いすら経験したことないレベルです。

物件を実際に購入した人に対して、紹介者をいただければ100万渡します、という内容の話を業者からされることも頻繁にあります。

実際に買っている人なので説得力があるはず。

情報弱者である買主を使って、さらにその同僚などを紹介させて多額の手数料を支払い、連鎖的に顧客を獲得するというスキームです(先輩が言っているので断りずらいな・・・という心理も使えるそうです)。

社内にこの手の人はいませんか?

やたらと不動産投資を勧めてくる人です。

間違いなく裏で多額の紹介料を得ているといって間違いないでしょう。

 

どのようなケースにおいても、不動産業者でも関係者でもない人が、不動産業者を直接紹介して紹介料を得ているような人たちを、総じてブローカーなどと呼んだりします。

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ブローカーでも、不動産の本質を理解していて、その上でこれはお客様のためになる!という確信が持てている場合は、否定しません。

しかし大半は、不動産投資に絡む悪質で高額な紹介料目当てに動く人たちです。

不動産投資は簡単なものではなく、ましてや、自分でやってない人が理解できるレベルでは到底ありません。

不動産投資の紹介料って、そんなに高いんだ・・・

 

悪質な紹介料とは?

世の中一般的に働いている人は、週5日以上フルタイムで勤務して、月収は20万前後だったりします。

大手に入っても、最初の方は月収が20万台であることも多いでしょう。

まずはこの金額を頭に入れておきましょう。

 

それでは不動産投資の紹介料です。

悪質な不動産投資における紹介料はどのくらいだと思いますか?

最も悪質で高額な紹介料を支払うのは、決まって

新築マンションを販売する業者(デベロッパーなど)

です。

さて、紹介した方が1つの新築マンションを買うと、紹介者にどのくらいの紹介料が出るかご存じですか?

なんと、

300万円前後

は出るのです。

これをねずみ講式に分け合っていくような流れもあります。

毎月フルタイムで働いて得られる給与が月20万に対し、人を紹介しただけで300万円が入るビジネスなのです。

自分がプロとはいえる専門家ではない分野の投資で、いきなり

紹介してもらえたら紹介料300万払いますよ!

といわれたら、恐怖でしかないはずです。

しかし、残念ながら、そう思う人はマイノリティーで、大多数は、

300万円ももらえるの!!?頑張って紹介します!

になってしまうのです。

300万円はすごいね・・・ちょっと怖い・・・

 

さて、それではこの300万円はどこから出ているのでしょうか?

例外なく、買主が買う不動産価格に含まれている、ということです。

300万円を、紹介者に支払っても、痛くもかゆくもないのです。

そのくらい、不動産の本体価格に値段が上乗せされているということになります。

このような物件は、決まって「毎月赤字」でしょう。

物件価格が本来の価格よりも高すぎるため、ローンの返済額が多く、赤字に陥るのです。

最悪の場合、赤字が毎月1万円を超えるようなケースもあるでしょう。

 

300万円というぶっ飛んだ紹介料は新築マンションの販売ですが、同じくして100万円を超えるような紹介料を支払うケースは、中古物件でも存在します。

類似していることは、価格が高いが故に収支が極めて悪くなる、というものです。

 

中古でも紹介料が新築マンションと同じくらい出る例としては、住宅ローンを使って不動産の購入をあっせんする「なんちゃって不動産投資」でも見られます。

「なんちゃって」は住宅ローンを使わせる特性上、相当の利益を乗せることが可能です。

そのキックバックを紹介者に渡すことができるので、紹介料が高額になりがちです。

 

こんな高額な紹介料が出るのであれば、なんとか本業で得ているお客様に不動産を買わせたいな!と思うのが、保険の営業マンやFPなどです。

FPのセミナーなどに参加すればわかりますが、入り口は株式や投信、家計の見直しなんかですが、ほぼ決まって、ポートフォリオの1つに不動産を組み入れていきましょう、という話が出てくると思います。

彼らのバックエンドは不動産で得る高額な紹介料です。

FPに限らず、入り口はお金関係の話をしておき、そこに不動産の話を織り交ぜてきます。

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紹介料への制裁

300万円などというふざけた紹介料を支払って購入させる不動産が、まともにやって買主にとってメリットのあるものである可能性は極めて低く、金融機関がようやく目をつけてくれました。

一説によると、騙されたと感じた買主が色々と調べた結果、紹介者が高額な紹介料を得ている情報を取得し、金融機関に話をしたということです。

銀行が何をしたかというと、高額な紹介料を支払う業者と提携を解消しました。

具体的には、新築ワンルーム販売業者2社です。

この流れは、確実に広がっていきます。

銀行は、高額な紹介料を支払う業者を対象に、提携を解消していく動きを見せています。

これは、新築マンション業者だけでなく、中古の業者も同様です。

この流れが加速すると、紹介者に支払われる手数料が大きく減ります。

健全なことです。

確かに払われる紹介料がどこも同じくらいになれば、紹介者もしっかりと取捨選択しようという考えが生まれるのかもね

 

変わるワンルーム市場

高額な紹介料の支払いができなくなれば、業者にとってみれば従来通りの顧客獲得は難しくなると思います。

反面、1人あたりにかけることのできる広告費は増えます。

これだけで、ワンルームが平均的に安くなるとも考えにくいのですが、あまりに悪質で高額な紹介料の支払いがなくなれば、不動産投資としては少し健全化するものと期待したいです。

不動産投資の場合、銀行と密接にリンクしているため、銀行の評価額が下がらない限り、価格の上乗せ幅が減ることはないでしょう。

今後は、銀行も買主の立場に立って、その目線で勝てると思える価格しか融資しないよ、という姿勢を取ってもらえると嬉しいですね。

銀行も買い手のことちゃんと考えてほしいワン

 

究極は、売主物件と仲介物件における融資の差がなくなることです。

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まとめ

不動産業者にとっての大きなダメージは、銀行との提携を失うことです。

提携の弱い不動産業者は販売力も弱くなるので、今回の提携解消という制裁は、業界全体に影響が出てくる話だと思います。

新築マンション業者では間違いなく紹介料の見直しが行われるものと予想します。

そして、その流れは中古物件を扱う業者にも派生するでしょう。

改めて、業者にとって、銀行提携解消ほど痛い話はありません。

絶対に避けなくてはいけないことです。

紹介料が、業界で定められている仲介手数料などを上限として支払われること、などにすれば、随分と健全化されてくるのではないかと思います。

まずは新築マンション業者に対する制裁があったことで、今後が変わることを期待します。