不動産投資におけるワンルームの比較は、インターネット検索である程度可能になりました。
投資用で使われる主なサイトは、
・楽待
・健美家
などが主流ではないでしょうか。
不動産業者から営業を受け、物件をネットで検索すると、「インターネットサイトに出ている物件の方が安いじゃん!」と思った経験はありませんか?
今の時代、多くのビジネスパーソンは昔と違い、ネットを当たり前のように使えます。
さすがにネット使える人は増えたよね
そんな時代に、明らかに高値とされる不動産は売れにくくなってきています。
前述した通り、ネットを検索すれば、多少なりとも比較ができるからです。
さて、そのような背景の中、単純な比較で、ネットに掲載されている物件の方が安い!とは言い切れないのです。
ワンルーム業者に細心の注意を払う点は間違いありませんが、
・物件の比較がある程度正確に行えること
・メリット、デメリットを理解できていること
は必須です。
不動産業者が出してくる物件(売主物件)と、インターネットに掲載されている物件(仲介物件)にはどのような違いがあるのでしょうか。
不動産価格における「総額」がそもそも違うので、単純に価格を比較するだけでは意味がありません。
※当記事は、ワンルームの話になります(1棟は全く異なるので注意してください)
Contents
売主物件とは?
不動産業者自身が売主になった上で販売する物件を売主物件と呼びます。
売主物件のメリット
《自己資金の少なさ》
不動産業者が買取再販しているので、提携ローンが使えるようになります。
最大かつ非常に大きなメリットです。
提携ローンが使えると、フルローンで不動産を購入することが可能になります。
ワンルームでは、頭金10万円で購入可能というのが主流ではないでしょうか。
多くても70万前後と、いずれにせよ極めて少額の投入で購入が現実的になるのです。
《金利の低さ》
提携ローンは、金利が1.6%台~1.9%台が主流です。
投資用の金利としては十分に合格点といえます。
このような低金利で借りることができる点も、提携ローンの大きなメリットであるといえます。
売主物件のデメリット
不動産業者によっては、販売価格が非常に高いという点で注意が必要です。
再販を行うので、ビジネス上の観点から、当然多少の利益を取る必要が出てきます。
この点、仲介物件と平均的な比較を価格だけで行うと、割高に映るケースが増えます。
仲介物件とは?
仲介物件とは、すごく簡単に書くと、レインズに出ている物件だと思ってください(やや乱暴ですが)。
レインズに出ている物件の多くは、相場価格です。
相場価格でないと、売れないからです。
そして、レインズに掲載されている一部が、インターネットサイトに掲載されていることが多くあります。
よって、インターネットサイトで見る物件の大半は、レインズに掲載されている可能性が高い、と思っていただければ大きな間違いはありません(もちろん例外もあります)。
仲介物件のメリット
冒頭で挙げた通り、なんとなく価格が安く見えると感じる人は多いのではないでしょうか?
しかし、そもそも売主物件と仲介物件は、総額表記に大きな差があります。
不動産価格総額 = 販売価格 + 諸費用 + 仲介手数料
諸費用と仲介手数料は、ザックリ7%~8%程度が多いです。
《売主物件の価格》
多くの場合、総額表記です。
このため、売主物件の販売価格は、すでに総額と等しいのです。
諸費用や手数料(実質かからない)が含まれた価格だと思ってください。
但し、不動産業者によっては、諸費用が外出しになっているので、しっかりと確認してください。
《仲介物件の価格》
多くの場合、販売価格です。
総額ではないのです。
要するに、記載されている価格に加え、諸費用と仲介手数料がかかってくる、ということになります。
このため、インターネットに掲載されている物件を販売価格で確認し、それを不動産業者が出してくる総額で比較すると、インターネット掲載物件が安く見えて当然なのです。
比較対象が誤っているからです。
物件を比較する場合は、必ず総額に直してから比較しないと意味がありません。
すごくザックリ簡単に比較したい場合は、
インターネット掲載物件 × 1.1倍
すれば、不動産業者が出してくる売主物件と比較できます。
単純に見えている価格だけを比較するのは全然意味がないんだね!
仲介物件のデメリット
単純に、価格が安そうであれば、皆さんそちらから買いますよね?
なのになぜ買ってないのでしょうか。
話はそこまで単純ではないということなのです。
不動産価格を総額に直して、なお仲介物件の方が安い、というケースも多くあります。
但し、ここまできてもこれから挙げる仲介物件のデメリットと向き合って検討すべきとなります。
《自己資金の多さ》
売主物件のような提携ローンが使えません。
これは極めて痛いという点を認識しておくべきです。
提携ローンが使えなくなれば、必要になる頭金が多くなります。
提携ローンでは、オリックス、ジャックスなどを始めとした銀行が使えますが、仲介物件となれば、香川銀行や各信用金庫になるでしょう。
フルローンが付きにくく、諸費用や仲介手数料も別途の支払いになるので、投入自己資金は200万円~400万円台に跳ね上がります(都内近郊水準)。
10万円の投入で買える提携ローンとは大きな差です。
《金利の高さ》
提携ローンが金利1%台に対し、非提携ローンは、多くの場合金利が2%台になります。
香川銀行などは、物件価格の5%を保証料として支払うことにより金利を1%台後半に変更できますが、物件価格の5%は大きな金額です。
金利が高いと収支を圧迫するだけでなく、元金の減りが遅くなるので、中長期的に見ると、高金利のダメージは大きくなります。
売主物件 VS 仲介物件 どっちを買うべき?
ここまで理解できて、初めて売主物件と仲介物件を比較検討できます。
それでは、売主物件と仲介物件の違いをまとめます。
その上で、どちらを狙うか決めると良いでしょう。
奥が深そうだね・・・
【売主物件】
販売価格:割高
自己資金:10万円前後から可能
金利:1.6%~1.9%台
売主物件は、提携ローンが使えるため、自己資金が少なく、低い金利で借り入れることが可能です。
一番の魅力と言えます。
その反面、不動産業者に所有権を移転させるため、そこにかかる費用などが販売価格に上乗せされるため、仲介物件と比較すると、割高になります。
但し、多くの売主物件の販売価格には、仲介物件では必要になる仲介手数料と諸費用が含まれています。
このため、単純な仲介物件と売主物件の価格比較は厳禁です。
売主物件の総額 = 販売価格
仲介物件の総額 = 販売価格+仲介手数料+諸費用
という違いがあるためです。
以下に計算方法をまとめています。
【仲介物件】
価格:売主物件よりは安い
自己資金:200万~400万ほどは必要
金利:高め(2%中盤から3%台)
※保証料という名目の費用を最初に払えば、金利1.95%になる銀行もあります(保証料は売買価格の5%であるため、重い負担となります)
提携ローンが使えないため、最低でも200万円ほどは資金が用意できないと難しいという特徴があります(1000万円台の物件)。
価格が上がれば、比例して必要になる自己資金も増えます。
そして、金利も高めです。
【どっちを買うべき?】
投資には、トレードオフがつきものですよね。
安全で利益も出る、なんてものが無いのと同じです。
A、B、Cの項目があり、Bを優先するからA、Cで妥協する、というような発想です。
これがトレードオフです。
売主物件と仲介物件におけるトレードオフは、自己資金と販売価格です。
多くの自己資金を出すので、少しでも安い仲介物件を買う
自己資金は極力少なくしたいので、多少高くても売主物件を買う
のいずれかです。
価格を取るか、自己資金を取るか、なんだね。ビジネスにはトレードオフがつきものだもんね
両方の良い点だけを求めることはできません。
どっちを狙うのか絞る必要があります。
私自身は、少ない自己資金で購入したい人については、仲介物件に近い価格で出てきている売主物件を探すよう努めていますが、多くないのが現状です(取り扱い業者が極めて少ない)。
まとめ
仲介物件に近い価格で出てくる不動産業者売主物件が出たのであれば、それは購入すべきです。
これはワンルームにおける理想です。
但し、残念なことに、売主物件の大半は、過剰な利益が上乗せされています。
価格が高すぎると、買主にとってのメリットがなくなってしまいます。
まずはレインズという存在を把握し、不動産には相場があることを理解し、仲介物件と売主物件の価格をそれぞれ再計算して比較し、物件を見定めてみると良いでしょう。
改めまして、そこで忘れないでいただきたいのは、自己資金と販売価格のトレードオフです。
どちらを狙うのか、一度考えてみてください。