コラム

オープンハウスの不正~買主に潜むリスクとは?~

オープンハウスの不正が明るみになりました。

記事は以下です。

「絶対バレない」と住宅ローンの不正利用を指示し…オープンハウス“不適切営業”を顧客が連続告発 金融機関は取材に「契約違反となります」

簡単に書くと、

住宅ローンを投資目的で使った

ということです。

住宅ローンは本来自分が住むために使うローンです。

これを投資目的で使用するのは契約違反となり、不正です。

このような、住宅ローンを使った不正取引をする買主にはある程度の特徴があります。

それはどのようなものでしょうか?

また、買主が背負うリスクはどのようなものなのでしょうか?

「なんちゃって」とは?

住宅ローンを投資用目的で使う不正は、巷で「なんちゃって」であったり、「ちゃって」などと呼ばれています。

過去アルヒアプラスなどで流行った不正取引で、現在はそれなりにめくれています。

銀行が一定期間経過後に転送不可郵便を送り、受け取れなかった人にヒアリングをかけるところから不正が発覚していきました。

以前は主にファミリー向けまたは少し広めの間取りにおけるマンションでした。

オープンハウスの場合は、マンションではなく戸建てです。

自社が建築販売している物件に対して、「なんちゃって」取引を持ち掛けていたということです。

共通しているのは、自分が住むというテイで住宅ローンを利用し、実際には住まずに貸し出してしまう、というものです。

貸し出すことを目的とする場合は、投資用ローンを使う必要があります。

住宅ローンは金利が低く審査が緩いため、投資用ローンを使うよりは圧倒的に有利です。

これが悪用されています。

「なんちゃって」における一連の流れは次のとおりです。

また、買主は確信犯で全てを把握したうえでアクションを起こしています。

買主にも悪意があるんだね~

 

1.自分が住むと偽り、自宅を購入

2.住民票を移し、住んでいると装う

3.実際には貸し出す

4.銀行から転送不可郵便が送られるも返送される

5.銀行から買主にヒアリングが入る

不正を行う買主の特徴

買主はなぜこのような不正行為に手を染めてまで「なんちゃって」で物件を購入するのでしょうか?

正しくは、「なんちゃって」じゃないと購入できない属性だからです。

要するに、年収または自己資金が乏しい層が行う代表的な不正ということです。

区分マンションであれば自己資金はほとんど必要なく購入できる不動産業者のパッケージローンがあります。

戸建てなどで不正をする人たちは、区分マンションだと儲かりにくいから1棟投資がしたい!と思っている人が多いのではないでしょうか。

1棟を投資用で買おうとなれば、最低でも預金は2,000万円以上ほど。

年収も700万円以上ほどは欲しいところです。

ちょっとハードルが高めなのです。

普通の1棟購入はできないけど、住宅ローンであれば低属性でも組めるので、これでいっちょやってみるか!になるわけです。

区分マンションの場合もほとんど同じです。

区分マンションでの不正は、年収が極めて低い層が買い手でした。

前述した不動産業者のパッケージローンは、ある程度の企業に勤務していて年収が500万円ほどを超えてないと使えません。

これに届かない層が「なんちゃって」で広めのマンションを購入して貸し出しをしていたのです。

特徴としては一致しています。

総じて、

属性が低い人

がやる代表的な不正といえるでしょう。

属性が良くないとできる投資は限られてるもんね~

 

際どい賃貸併用住宅

「なんちゃって」に似た際どい投資があります。

それが賃貸併用住宅です。

これも「なんちゃって」と属性はほとんど一緒です。

1棟を買ったり買い増したりするには不十分な層が行う代表的な投資であり、私が知る限り多くは不正です。

賃貸併用住宅になるので、半分以上の面積を自分用の自宅として建築する必要があります。

そこに住んで、残りの部屋を貸し出す、というものです。

しかしながら、これまた最初から自宅部分も貸す目的で購入している人が大半といえるでしょう。

手順はほとんど一緒です。

結局のところ、

住宅ローンでしか買えない人たち

が行う代表的なものです。

もう一度言いますが、これも多くは不正で、大半の人は貸し出しているでしょう。

似たようなものが色々あるんだな・・・

 

不正を行う買主のリスク

「なんちゃって」で購入する買主が背負うリスクはどのようなものでしょうか。

【1.一括返済】

銀行に不正がばれて一括で返しなさい、といわれるリスクです。

 

2.本当に家が欲しいときに買えない

例えば独身時代になんちゃってで不正購入し、その後結婚したとします。

結婚してから本当に自宅が欲しくなった時、すでに住宅ローンを組んでいるが故に購入ができなくなるケースです。

大きなリスクを背負う割に対して儲かりません。

売り手が儲かる仕組みとなっており、買い手に旨味は少ない取引となっています。

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不正を行う売主のリスク

売主が背負うリスクは、実はほとんどないのです。

今回はたまたまオープンハウスという大企業が不正をしたことで話題になりましたが、似たようなことをしている中堅以下の不動産業者は沢山あります。

彼らは問題が起きれば会社をたたんで作り直すだけです。

万が一銀行に何か言われても、

買主は本当に自分が住むと思っていた。

まさか貸し出すとは夢にも思いませんでしたよ!

といえば済む話です。

要するに、知りませんでした、でおしまいです。

銀行に対するリスクを背負うのは買主だけです。

売主は、物件が売れれば儲かりますので、買ってくれるのであればなんだっていいのです。

オープンハウスは自社で建売をしているので、自社物件を売るだけで儲かります。

過去になんちゃってを区分マンションで勧めていた業者も、高値で買主に売りつけて多額の転売益を得ていたので儲かります。

負けるのは買主だけです。

倒産前提の営業は不動産あるあるだね!

 

まとめ

誰でもできる投資

に良いものはないと思っておくべきです。

入り口が簡単なのであればそこに旨味があるはずはないのです。

不動産投資でも同じです。

そもそもまともな不動産投資ができない属性であれば、不動産を買う資格はありません。

まずはある程度の自己資金をしっかりと作りましょう。

身の丈に合わない投資は自分を滅ぼします。

おいしい話はむこうからやってきません。