不動産投資のやり方に正解はありませんが、地方の不動産投資は、基本的にお勧めしません。
それでも圧倒的なキャッシュフロー率を誇り、半分が空室でも十分回り、出口での売却も苦労しなそうであれば、検討の余地もあるかもしれません。
また、特定の地方都市に土地勘があり、地元の不動産業者や賃貸管理会社をよく知っている場合は、地方で不動産投資を開始して良い場合もあります。
しかし、首都圏などよりも少し利回りが高めだから、という理由で地方を購入はしないほうが良いでしょう。
利回りだけに目が行って、土地勘のない地方に物件を購入してしまうのは危険だよ
その理由は、全部で4つあります。
どれも致命的です。
地方における不動産投資のどのようなところにリスクがあるのでしょうか。
また、当時はスルガ銀行を筆頭に、融資額と本人の属性が一致していない人への融資が横行していました。
資産1,000万ちょいレベルのサラリーマンに3億の融資をする
などです。
通常3億の融資であれば最低1億くらいの現金はあったほうが良さそうです。
しかしながら到底そのラインに届かない人に高額な融資が出ていたのです。
多くは不動産業者にはめ込まれたサンタメ(転売)物件なので、相場より極めて割高で購入していることでしょう。
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高利回りの中古アパート
地方や郊外にある中古の木造アパートは安価で高利回りということもあり大変人気を集めています。
しかし、ここでも「買ってみたものの、想定していた儲けが出ない」というサラリーマン大家があとを絶ちません。
具体的には、地方で利回り15%の中古アパートを買ったものの、不良入居者に家賃を滞納されているため、想定通りの収入が得られないのです。
いくら高利回りでも、家賃が入らなければ絵に描いた餅です。
そもそも築古のアパートは融資付けが難しいものです。
2年~3年前(2019年現在)であれば、政府系の金融機関である日本政策金融公庫が融資を出していましたが、最近はその門戸も固く閉ざされています。
地方のRCマンション
今でこそ融資は厳しくなりましたが、2年~3年前までは地方の大型物件が買いやすいという市況でした。流通しているのは、「良い物件」ではなくて、「銀行から評価が出る物件」になってました。
実際には入居率が低く、家賃を下げなければ入居付けができない地雷のような物件であることが多いのです。
加えて大型物件は戸数が多く、修繕費やメンテナンスが非常に高額になります。
特に地方のエレベーターありの築古物件は高コストになりがちです。
さらに、入居者が付かなければ、家賃を下げることに加えて広告費など客付けのためにかかるコストも大きくなります。
これでは表面利回りが10%あっても、実質で見れば7%程度です。
そんな物件は珍しくありません。
こんな物件をスルガ銀行の4.5%の金利で借りてしまえば、キャッシュフローはほぼ出ませんし、急な修繕や退去が重なるとなど何かしら想定外の事態が起これば、手持ち資金が尽きて、月々の収支がマイナスになってしまうのも当然でしょう。
Contents
1.空室率
地方におけるリスクの代表的なところが空室リスクです。
不動産投資の収支や利回りは、満室想定で計算されてます。
要するに、一番いい状態にお化粧されているということです。
大前提として、よほど特定の地方都市でない限り、空室率は今後改善しません。
東京23区でも、空室率は高くなってきている状態です。
地方都市の空室率は、一部を除き、今後加速的に上昇していくでしょう。
空室率が高くなると、高利回りに見えていた地方の不動産投資は、机上の空論となります。
不動産投資は、入居者がいないと始まりません。
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入居者がいないと家賃収入を得ることができないため、高利回りに見えていた物件の利回りは、下がります。
検討している物件の入居率をまずは確認しましょう。
個人的には入居率が95%平均くらい確保できていないと、なぜ入居率が95%を下回っているのか原因を確認しないと落ち着きません。
仮に20戸の物件であれば、最低19戸は埋まってないと、空室リスク高いエリアなんじゃないの?と疑いをかけます。
単純に複数の入居者が入れ替わるだけのタイミングであれば良いですが、半年埋まってません、というような物件であれば要注意です。
地方物件は満室になっている方が少なく、個人的には空室が多い物件ばかり目にしている気がします。
よほど現地に精通していたり客付けに自信がある人でない限り、空室率は改善されないと思った方が良いでしょう。
今空いている物件は、そのまま募集するレベルでは今後も空室のままです。
家賃が入らないなんて怖くてソワソワするワン・・・
【購入時の概要】
物件価格:5,000万円
年間家賃:600万円
表面利回り:12%
【現実】
空室率が25%だったとします。すると、以下のように利回りは激減します。
物件価格:5,000万円
年間家賃:450万円
表面利回り:9%
見た目上の利回りは高いにも関わらず、入居者が思うように確保できず、想定していた利回りを下回ることはよくあります。
![](http://landsitz.work/wp-content/uploads/2016/03/neki.png)
2.家賃に対する修繕費・維持費の高さ
意外にあまり意識されていないと思う部分ですが、個人的には超重要だと思います。
買うことだけに目が行き、保有期間中の運用が考慮されていません。
地方の不動産は、ワンルームであれば、月額の家賃が3万円台またはそれ以下であることも珍しくありません。
ファミリーであっても5万円など超低額賃料はザラにあります。
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確かに、取れる家賃が低い分、物件自体の価格も低くなります。
しかし、修繕や維持にかかる費用は、都内であろうが、地方であろうが、基本的にほとんど変わりません。
壁紙を替えたりするのに、東京都と田舎で値段自体はあまり変わらないということです。
土地の値段は全然違っても、上物を維持管理する値段はそこまで変わらないのです。
こうなると、家賃に対する修繕費や維持費の高さが際立ってくるわけです。
地方の場合、入居者が入れ替わるときにかかる修繕費が、家賃の3倍近くになることも珍しくはありません。
これは、直接的に実質利回りを大幅に押し下げる要因となります。
2年で1回入居者が入れ替わると仮定し、地方の高利回り物件と、都心の物件を比較してみたいと思います。
ボクも一緒に住んでたら悲惨だワンね
【地方のワンルーム】
・物件価格:280万円
・表面利回り:12%
・家賃:2.8万円
・退去時の修繕費:8万円
2年間で取れる家賃の総額は、67.2万円(2.8×24カ月)です。退去時の修繕費が8万円かかるので、それを差し引きます。結果、59.2万円となります。
2年間で59.2万円の家賃収入なので、年間29.6万円です。これを利回りに直すと、10.57%になりました(29.6万円÷物件価格の280万円)。
表面利回りは、1.93%も下がっています。
【都内のワンルーム】
・物件価格:1080万円
・表面利回り:7.5%
・家賃:6.75万円
・退去時の修繕費:8万円
2年間で取れる家賃の総額は、162万円(6.75×24カ月)です。退去時の修繕費が8万円かかるので、それを差し引きます。結果、154万円となります。
2年間で154万円の家賃収入なので、年間77万円です。これを利回りに直すと、7.12%になりました(77万円÷物件価格の1080万円)。
表面利回りは、0.38%の下落にとどまっています。
—書籍より抜粋—
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地方は賃料水準が低くて修繕費が高い
単身者向け20㎡の1Kがあったとします。
部屋から退去した時、クロスや床などの修繕をして貸せる状態まで戻す原状回復工事を行います。
1部屋出るごとに修繕費が15万円かかるとします。
東京都内の利便性のよい立地であれば、同じ広さの物件で、だいたい家賃が7万円~8万円くらいです。
対して、札幌などでは家賃は2万円~3万円です。
要するに、2倍から3倍近い収入差があるわけです。
しかし、賃料に大きな差があっても、かかる修繕費用はほぼ同じです。
エアコンが壊れた場合でも、札幌であっても東京であっても交換にかかる費用はほぼ同じです。
地方だからといって、人件費が東京の半額ということはありません。
つまり、賃料水準が低いと平米当たりの効率が悪いわけなのです。
ファミリータイプの部屋は要注意
![](http://landsitz.work/wp-content/uploads/2020/06/floor-plan-1474454_960_720.jpg)
さて、家賃に対する修繕費の高さで、最も注意すべきは、田舎の専有面積が大きいファミリータイプの部屋です。
ファミリータイプになると、2LDK前後以上が多くなります。
専有面積の広い物件は、修繕費がかなり高額になります。
退去時の修繕費が、20万円を超えることも珍しくはないでしょう。
勿論、それを拠出できるだけの家賃が取れていれば別ですが、家賃が7万円前後またはそれ以下のような物件であれば、かかる修繕費率は非常に大きくなります。
仮に、毎月のキャッシュフローがプラス1万円でも、修繕費の20万円は20か月分のプラスを吹き飛ばします。
ほぼ2年分です。
専有面積の広い区分マンションなどでは、管理費と修繕積立金の額も大きく、実際はほとんどキャッシュフローが出ないのではないでしょうか。
購入を検討する場合に注意するのは以下の通りです。
・地方
・ファミリータイプ
・家賃5万以下の部屋が多い
家賃に対する修繕比率が高いと思うように収益は伸びてきません。
利回り云々ではなく、お荷物物件になる可能性すらあるのです。
家賃5万以下の部屋はリスクあるんだね
大規模修繕のダメージは計り知れない
大規模修繕費を把握していますか?
大規模修繕費は、
RC>>>>鉄骨>木造
の順番でかかります。
規模が大きなRCであれば、大規模修繕の内容によっては、1,000万円以上かかることも珍しくありません。
この費用への意識はありますか?
地方の物件を勧める不動産業者は、RC推しが多いと思います。
個人的に、築古のRCにはかなりのリスクがあると思っています。
建物自体の修繕費用は極めて重たくなります。
地方のRC物件は金額こそ安いものの、規模が大きい傾向にあるため、大規模修繕は首都圏の比じゃないほどかかると思います。
首都圏で1億台くらいのRCにかかる大規模修繕費を1,000万と仮定すると、地方であればその数倍かかってもおかしくないのです。
数千万レベルでかかる大規模修繕費を低賃料の地方でカバーするのはなかなか大変です。
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RCだと壊滅的な固定資産税
固定資産税でも同じことが言えます。
RCの固定資産税は非常に高額で、総賃料に対して10%以上を占めることも珍しくありません。
地方ではこの比率がもっと格段に上がるでしょう。
取れる総額賃料は低いのに、建物でかかる固定資産税は首都圏よりも高くなります。
部屋面積に占める固定資産税比率が著しく高ければ、明確に収支を圧迫する要因となります。
買ってからでは遅いのです。
固定資産税を全額家賃から控除した後で計算をすることを忘れないでください。
3.入居者募集にかかる負担割合が大きい
現在、都内でも礼金はよほどエリアが良くない限り、取れなくなっています。
敷金礼金ゼロで募集することも、珍しくなくなりました。
地方では、入居者の確保が難しく、フリーレントすらも付与しないと、入居者が付かないような物件も珍しくありません。
入居者が通常負担する、鍵交換費用、火災保険費用、保証会社利用料、なども、オーナー負担にして募集する場合もあります(諸費用面での差別化)。
入居者を募集する時の費用は、主に次のようなものがあります。
・賃貸管理会社に支払う報酬
・客付け業者に支払う広告費(AD)
・フリーレント
・各種諸費用(鍵、火災保険、保証会社利用料など)
これらは、利回りを大幅に押し下げる要因となります。
![](http://landsitz.work/wp-content/uploads/2017/06/man-1293829__340.png)
それでは改めて、先ほどの例を使って、地方の物件と都内の物件を比べてみます(2年で入れ替わりがあるという前提)。
【地方のワンルーム】
・家賃:2.8万円
・賃貸管理会社に支払う報酬:家賃1ヵ月
・客付け業者に支払う広告費(AD):家賃2か月
・フリーレント:2か月分
合計すると、家賃5か月分も負担があります。
先ほどは、修繕費を加味した家賃の合計が、59.2万円でした。
しかし、入居者募集費用で、別途14万円(2.8カ月×5か月)かかっていたのです。
すると、2年間の家賃の合計は、45.2万円になります。
年間22.6万円になり、利回りは8.07%にまで減少します。
【都内のワンルーム】
・家賃:6.75万円
・賃貸管理会社に支払う報酬:0.5カ月
・客付け業者に支払う広告費(AD):0.5カ月
・フリーレント:不要
合計すると、家賃の1か月分が負担になります。
都内でフリーレントは不要です。
フリーレントを付与しないと入居が決まらないようなエリアまたは物件であれば、危険です。
先ほどは、修繕費を加味した家賃の合計が、154万円でした。
入居者募集費用で、別途6.75万円かかります。
すると、2年間の家賃の合計は、147.25万円です。
年間73.625万円の家賃になり、利回りは6.81%になりました。
ここまでくると、ほとんど差はありません。
1棟物件では入居者の入れ替わりも多くなり、大規模修繕などで多額の費用が掛かる場合、都内の低利回り物件のほうが、結果的に高い利回りを維持できるというケースは珍しくないと思います。
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4.次買う人がいない(出口がない)
不動産投資は、売却しないと、その物件の本当の収支がわかりません。
売って初めて利益確定になるのです。
不動産賃貸業は、明らかに衰退産業です。
エリアを相当絞らない限り、失敗するでしょう。
地方の不動産投資は、その典型です。
人口が減っている今、衰退していくエリアを積極的に欲しいと思う人がどの程度いるでしょうか。
今はなんとかキャッシュフローが回っていても、
・人口が減少して空室が増える
・修繕費が増える
・築年数が経過すると競争力が落ちる
というような流れで十分な利益が確保できなくなる時がくるでしょう。
売りたい!
と思っていても、魅力的なエリアでない限り、欲しい人はなかなか現れません。
加えて、「かぼちゃの馬車」事件により、地方の物件に融資をしていたスルガ銀行が今後は消極的になるはずです。
すると、誰が買えるのでしょうか。
融資する銀行が消えれば、現金以外では買えません。
・エリアに魅力がない
・融資が付かない
こんな状態に陥る物件を、購入してはいけません。
売れない物件を買ってしまうと最悪です。
築古、高金利、地方は最悪の3点セットです。
融資は、スルガ銀行か静岡銀行が大半ではないでしょうか。
失敗する人のほとんどは、地方(エリアが微妙)の築古を、融資期間20年以上などで借り入れている人です。
例えば、購入時に築30年の物件で融資を20年受けると、完済時は築50年です。
ここまでキャッシュフローの観点で耐えられるのかは、かなり懐疑的です。
残った築50年の物件も、売れないような場所では話になりません。
出口が見えない、というのは、非常に恐怖です。
実はそれだけではないのです。
古くなると、解体費まで考慮する必要も出てきます。
銀行はそれを加味して融資するか判断するところも多くあるでしょう。
RCの解体費は、固定資産税などと同様、壊滅的です。
地方の中規模以上のRCであれば、解体費だけで5,000万円なんてのも十分考えられます。
とんでもない金額で、下手したら購入金額より高額になる可能性すらあるでしょう。
もはやほとんどの地方物件はババなのです。
最後にババを引いたら人生詰むかもしれませんよ・・・
特に一番やってはいけないのが中規模以上の築古RC購入です。
解体費まで見積もった上で勝てるのかどうか、今一度考えてから買いましょう。
まとめ
![](http://landsitz.work/wp-content/uploads/2020/06/apartment-3564955_960_720.jpg)
利回りは大切ではありません。
高いに越したことはないのですが、利回りの高い物件には、相応のリスクがつきものです。
そもそも、売り手のことを考えてみてください。
余裕で回っていて次の買い手も沢山いるような好立地であれば、格安で売る必要なんてありますか?
ありませんよね。
早く売ってしまいたい!
と思うから高利回りにして売りに出すのです。
言い換えると、高利回りでないと売れないからです。
地方の不動産投資は、極めて難しいと考えています。
高そうに見える利回りが、上記の例のように、実質利回りの観点で見るとそれほど高くなかった、ということは多々あります。
地方の物件を購入している人は、これ以外にも、高金利で融資を受けている可能性も高く、危険です。
利回りは高めだが、手元のキャッシュフローは思ったより残っていないのではないでしょうか。
勿論、地方の全てを否定しませんが、高利回りだけで安易に購入に踏み切るようなことだけはしないでください。
次買う人にとって、
・魅力的なエリアなのか
・魅力的な要素はあるのか
・そもそも融資は付くのか
など、しっかりと検討してください。
売れない物件は最低です。
ランニングコストが高額で満室にならず、赤字垂れ流し物件になる可能性だってあるのです。
そうなったとき、資金繰りで苦しくなるのは間違いありません。
よく考えて、よく計算して買いましょう。
![](https://landsitz.work/wp-content/themes/jin-child/resource/image/bg-contact.png)