コラム

ワンルーム不動産投資家はマイホームが買えなくなる?~フラット35制度改正(2020年)~

2020年4月より、フラット35の制度改正がありました。

ワンルームで不動産投資を行っているオーナーは、内容を必ず確認しましょう。

多くのケースにおいて、将来マイホームが買えなくなると予想します。

今までは、ワンルームや1棟を問わず、不動産投資用の借入であれば、住宅ローンへの影響は小さいものでした。

不動産投資用のローンにおける借入があっても、住宅ローンは組めたのです。

しかし、ここにきて、この制度が大きく変わりました。

この変更は、制度変更前に既に不動産投資でワンルームを購入済みの人にとってかなり痛い話となります。

住宅ローンが借りられる人

住宅ローンは、自分が住む家を買うためのローンであり、かなり幅広い人が使います。

会社員でなくても、契約社員や個人事業主でも、所得によっては組めるものです。

住宅ローンの場合、直近の年収または確定申告が重要になるので、家を買いたいと思っている前年は、できるだけ年収を高くしたり(会社員であれば残業、自分の給与コントロールの効く法人を運営している場合は役員報酬を上げる)、個人事業であれば経費計上は避ける方が良いでしょう。

また、当然ではありますが、個人信用情報に問題のある人は、融資を受けることはできません(自己破産、多額の借金がある、返済の遅れが顕著、など)。

 

【会社員】

会社員であれば、源泉徴収票上の年収に対して、6倍から8倍ほど借りることができます(個人の資産背景などにより異なる)。

源泉ベースではなく、所得金額ベースになる場合もあるので、確認しておくと良いでしょう。

【個人事業・中小企業経営層】

個人事業であったり、小さい会社から給与所得を受け取っているような場合であれば、確定申告上の所得金額が、借入可能額の対象基準となります(経費を多く計上していたり、法人からの給与所得の少ない人は、借りられません)。

※これらはあくまで目安です。

個人個人で異なるので、住宅購入の場合は、探す前に枠の確認を必ずしておきましょう(枠確認の前に探し始めても時間の無駄になる場合があります)。

重大制度変更:総返済負担率の変更

今回の制度変更で影響を受けるのは、

・ワンルーム(区分マンション)の不動産投資家

です。

当記事では、できるだけ簡単にポイントを記載するので、詳しくは以下を参照ください。

【フラット35】2020年4月の主な制度変更事項のお知らせ

返済負担率とは、年収に対して、どの程度ローンの支払いがあるのか、を指す比率です。

制度変更前は、ワンルームマンション投資の借入額は、返済負担率に加味されていませんでした。

しかし、これが、ワンルームに限り、加味されるようになったのです。

1棟物件のアパートローンは、今まで通り加味されません。

ワンルーム系に限り、大きな変更があった背景は、おそらく2019年にかけて発覚した、「なんちゃって不動産投資」における住宅ローンの不正利用だと考えます。

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どのように変わったのでしょうか。

以下を例にします。

※どんな変更があったのかを分かりやすく記載するため、計算はかなり簡素化しています(厳密な計算式は異なります)

年収:800万

既存借入:ワンルーム1戸で2,000万円

 

【変更前】

住宅ローン借入可能額:5,600万円~6,400万円

年収の7倍~8倍の借入が可能なので、年収800万の人であれば、上記の範囲で融資を受けることが可能でした。

 

【変更後】

住宅ローン借入可能額:3,600万円~4,400万円

 

何が変わったのか、分かりますか?

ワンルームマンションで借りている2,000万円が、住宅ローン借入可能額から控除されたのです。

 

どのような影響があるのかは既におわかりいただけたかと思いますが、ワンルームで多くの融資枠を使っていると、マイホームが買えない、ということになるのです。

これは大きな制度変更となります。

フラットに限らず、銀行は足並み揃える形になるので、この考え方は変わりません。

 

変更が無い借入は次の通りです(総返済負担率に算入しない)。

・1棟物件における借入(戸建て含む)

・法人名義での借入

よって、個人名義でワンルーム投資を行っている人が対象になっていると言えます。

不動産所得が赤字ではマイホームが買えない?

不動産所得が赤字になっているような場合は、なおピンチです。

住宅ローンの借入に関する計算は、主に給与ですが、不動産を所有している場合は、不動産所得も合算されます。

よって、不動産所得が赤字であれば、最初から住宅ローンで借入できる金額が小さくなるのです。

この点は従来のままで変わりありません。

今までは、仮に不動産所得が赤字であったとしても、その返済額自体は、総返済負担率に算入されていなかったので、そこまで影響はありませんでした。

しかし、今回の制度変更により、区分所有者は住宅ローンで組める金額が減っています。

その上で、不動産所得を赤字にしていると、一層住宅ローンが組めなくなるので注意してください。

まとめ

今回の制度変更は、大きなものです。

これにより、ワンルーム投資を検討している人は、将来マイホームが欲しいのか、を考える必要が出てきました。

ワンルームの借入も、売却して完済すれば問題ありません。

但し、ワンルームの多くは諸費用まで含めたフルローンであるため、諸費用分まで加味すると、5年ほどの所有期間がないと短期売却では赤字になる可能性が大です。

このような制度改正はリスクの一つではあるものの、かなり手痛いものではないでしょうか。

ワンルームとフラット35の借入が切り分けられていた時期に投資用で不動産を購入していたとしても、今回の制度改正では巻き込まれます。

当面マイホームは買わない!ということであれば良いですが、数年以内にはマイホームを検討している、ということであれば、ワンルーム投資は慎重になった方が良いでしょう。

勿論、フラット35にいかなくても普通に銀行で組めます!という属性の人はあまり気にしなくてもいいかもしれません。

・年収に対して身の丈に合わないローンを組もうとしている

・属性そのものが高くない

という人は、フラットを頼っているケースが多かったので、注意が必要です。

個人名義でワンルームマンション投資をしている人は、投資額の分、組める住宅ローンが減る、というのが今回のフラット35における制度変更でした。