事業の規模を問わず、法人や個人事業主、副業を行っている人を対象に実施される「税務調査」。
もちろん、不動産オーナーも調査の対象になります。
本記事では、突然の税務調査にも慌てずに対応できるよう、実際の税務調査の流れや、不動産オーナーが日ごろからチェックしておくべきポイントについて解説します。
どんな不動産投資家が税務調査の対象になるのか
帳簿などを基に税の申告状況をチェックする税務調査。
事業の規模にかかわらず、すべての法人および個人事業主が対象となり、もちろん副業も含まれます。
調査が入る頻度は決まっていませんが、通常は3~5年に1度のペースで実施されることが多いとされています。
税務調査の結果として不備を指摘された場合は加算税が、そして、もしその“不備”が悪質なものであった場合には、重加算税がかかることになります。
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税務調査の記録は税務署内に残されますので、万が一、悪質なものとして重加算税が課せられた場合、その記録も残されていくことになります。
まったくそのような記録がない場合と、過去に重加算税が課された記録がある場合……数年後に税務調査の対象として選定されやすいのはどちらかと考えれば、答えは明白。
税務調査がやってきても不備を指摘されないよう、日々帳簿管理を行っておくことがいかに重要か、理解できるのではないでしょうか。
税務調査がきたらどんなところをチェックされるのか、調査官はやはり調査の成果=お土産を持って帰らないといけないのか、税務調査の対象になる場合・ならない場合があるのはなぜか、という点について考えていきましょう。
税務調査ってビビりそう・・・
税務調査の基本的な流れ
そもそも税務調査は任意ですので、調査官からいわれたことはすべてその通りに従わないといけないということではありません。その前提もしっかり認識しておきたいポイントです。
税務調査がくることになった場合、まずは日程について話がありますが、この日程に必ず対応しないといけない訳ではありません。都合がつかない場合には、日程変更も可能です。
また場所についても、オフィスや自宅、税理士事務所、税務署など場所も状況に応じて変更可能です。
日程や場所が決まったら、正式に「事前通知」が行われます。ここで通知されるのは、実地調査の日時と場所、そして調査対象の税目や年度、準備する書類です。
このとき、しっかりメモを残しておくことが重要です。
この事前通知の際に、必ず調査の目的を確認するようにしてください。調査官は今回の実地調査でなにを見ようとしているのか、あらかじめ確認することができます。
税務調査の際には、非常に多くの書類を用意する必要があります。
総勘定元帳や領収書、請求書など、帳簿を作成するために必要だったものが対象となり、すべて準備するとテーブルの上は一杯になるでしょう。
税務調査の日数は個人事業の場合1日、法人の場合2日というケースが多いため、その間、たくさんの書類を置いておくスペースが必要になります。
ここでとても大事なことは、過去の資料がしっかり整理され、揃っているかということ。
過去の資料がどこにあるかわからない、紛失したということがないように過去の年度の書類も確認しておきましょう。
調査の対象になる年度は基本的には過去3年分。
ただ、継続的な取引について確認が必要となる場合には、過去5年分ということもあります。
税務調査当日、午前中はインタビューが行われます。事業の内容や経緯等、世間話を交えて色々な会話をします。調査官も調査する目的を持ってきているため、そのときに確認したい事項について質問してくることもあれば、世間話のなかで調査すべきポイントを探している場合もあります。
オーナーも税務のプロではないから対応は難しいよね。
この時間はその後の調査に大きく影響します。事前に準備すべき資料が揃っているかどうか、そしてインタビューも明確な回答ができているかどうかで印象が大きく変わるためです。
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その後は実際に準備した書類をチェックする時間になるのですが、調査官の中には、帳簿をほとんど見ずにオフィスを見学したり、業務の流れをチェックするというケースもあります。
いずれにしてもその内容を基に最後に帳簿をチェックする流れになるため、現状と帳簿・書類上の状況の整合性が取れているかということも大きなポイントになります。
調査官は基本的には17時には税務署に戻って報告しなければならないため、16時までにはまとめの話をします。
ここで調査官が調査した結果、論点となるべきポイントについて聞かされます。
この時点ではまだ確認事項という段階であり、後日、その点についてやり取りをしていくことになります。
税務署は不動産投資家のどこをみているのか
以上が税務調査の基本的な流れですが、不動産投資家がチェックされるポイントとして考えられる代表的なものは、経費の内容や売却価格・地代の客観性、管理費などのお金の流れに問題がないかという点です。
不動産投資をしていると、法人成りや、資産管理会社を設立していることも多く、個人と法人間で不動産の売却や賃料や管理費のやり取りがあるケースもあります。このあたりに恣意性がないかどうかも大きなポイントになります。
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不動産の売却金額が妥当なものであったかどうかも、売却の際にはしっかり確認して資料を残しておきましょう。
一例として、査定資料を残し、過去の判例と照らし合わせて妥当な金額で見積もるなどの方法が挙げられます。
賃料や管理費も同様です。地代の場合には無償返還の届出を税務署に提出していることもありますから、提出の有無も整理しておきましょう。
地代や管理費の金額についても相場をしっかり把握して、定期的に見直しをしておく必要があります。
また、契約書は揃っているでしょうか。契約書は期間があるため、更新が行われないままになっていないかも忘れずチェックしておくべきポイントです。
多くの人が気になるポイントは経費ではないかと思います。これは経費になるのかどうかがわからないということも多くあるはずです。
不動産投資に関係した経費ということになるので、「どのように関連しているか」ということを考えてみるといいでしょう。
不動産投資家からよく質問されるのが、交際費や大家の会での食事代や会費、セミナー代、書籍代、視察に行った際の旅費などについて。
これらは不動産投資業に関係があるのであれば、もちろん経費にできます。
税務調査に備え、上のような経費が不動産投資業とどのように関係しているのかを説明できるよう、メモや資料の類は残しておくようにしましょう。
たとえば、視察旅行の旅費であれば、視察した物件の資料やそのときに対応してくれた不動産会社の担当者の名刺などを保管しておくことなどが挙げられます。
日当がある場合には、しっかり旅費規程や精算書も整理しておきましょう。
なかなか大変だな・・・
税務調査官の「一筆入れてもらえませんか?」に要注意
税務調査はいつくるのか、それともこないのか……誰にも予測できないからこそ、日ごろから資料を整理しておく必要があるのです。
また顧問税理士がいる場合は、調査の際にしっかり自分の代弁をしてくれるよう、日頃からコミュニケーションをとっておくことも重要です。
一筆って聞きなれないよね。
税務調査において、調査官に言われるがままに認めていたら事実に反した結果になってしまうことも多くあります。
「それは違います」と説明できるような状況であることが重要です。日ごろから帳簿や書類の整理をしておけば、いつ税務調査がきても不安に思うことはないでしょう。
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また、調査官から一筆を求められることもありますが、一度、一筆を入れたらその書類はなかったことにはできなくなるため、注意が必要です。
一筆を入れてもらいたがる調査官には、それを重加算税などの過怠税を課すための根拠資料の1つにしたいという思惑がありますから、その内容が真実なのかどうか確認をとり、もし事実と異なる内容があればしっかりと否定し、絶対に一筆を入れることのないようにしてください。
当然のことながら、日ごろ、申告すべきものをしっかりと申告していれば、なにも問題はありません。税務調査の結果、「なにも修正はありませんでした」という形で終わることも珍しくはないのです。