不動産投資の利害関係者と、それぞれの役割を理解していますか?
不動産投資の利害関係者が理解できれば、
・誰がどこで利益をあげているのか
・どんなところに気を付けるべきなのか
が見えてきます。
把握しておくべき関係者は、次の通りです。
・不動産の売主(オーナー)は誰なのか?
・売主側の仲介業者は誰なのか?
・売主の不動産を管理している賃貸管理会社はどこなのか?
不動産の利害関係者
①物件を保有している個人・法人(オーナー)
②売主が不動産の売却をお願いしている売主側の仲介業者
③物件を借りている人から家賃を集金したりクレームの対処をする業者(空室になったら入居者探しも行う)
④物件を購入したい個人・法人(購入を検討している本人)
⑤買主が購入したい物件の仲介を行う業者
⑥融資を受ける金融機関(銀行など)
⑦物件全体の管理を行っている会社(今回は重要ではありません)
注意すべき利害関係者の組み合わせ
①売主と②売主仲介業者が同じ
①売主
と
②売主仲介業者が同じまたは関連の深い(※)物件
は、注意が必要です。
(※)「関連の深い」とは、売主が株式会社AAAA不動産であり、売主仲介業者が株式会社AAAA管理サービスなど、明らかに①と②が関連会社であるようなケースです。
何が問題なのでしょうか?
それは、
物件の価格が高額になっている可能性が高い
ということです。
高額とは、
本来1,000万円の価値しかない物件を、1,800万円で販売している
というようなケースです。買った瞬間に800万の損が決まります。
この手の物件を、売主物件といいます。
A社の不動産会社の営業マンが、A社の物件を売っている、というケースです!
自分の会社の物件じゃん!
ということです。
②売主仲介業者と③賃貸管理会社が同じ
次は、物件を売るときの話になります。
不動産を売るときは、物件を管理している③賃貸管理会社に、物件の売却依頼をしないほうが賢明です。
③賃貸管理会社に物件売却の依頼をすると、②売主仲介業者と③賃貸管理会社が同じになってしまいます。
何が問題なのでしょうか?
④買主が現れても、①売主にその事実を伝えず、勝手に断ることがあります。
これを、虚偽報告と呼びます。
①売主に、物件を買いたいという④買主が現れたことを告げずに断ってしまうのです。
なぜそんなことをするのでしょうか?
②売主仲介業者は、売買が成立した際、①オーナーから徴収する仲介手数料(原則、売買価格×3%+6万円)が主な利益になります。
③賃貸管理会社は、①オーナーが受取る家賃の一部を、賃貸管理手数料として毎月徴収します(家賃の5%が相場)。
次のようなケースを想像してみてください。
④買主が、物件は購入したいが、③賃貸管理会社は変更させてほしい、
と言ってきました。
さて、どうなるでしょうか。
③賃貸管理会社を変えられてしまうと、以降この物件の管理を受けられなくなります。
管理を受けられなくなる、ということは、物件が次売られるときの➁売主仲介業者になることもできなくなります。
➁売主仲介業者 = ③賃貸管理会社は、それぞれの手数料徴収機会を今後奪われるのです。
③賃貸管理会社を④買主が引き継げば、物件の所有権が新しい買主に移転しても、管理を継続することが可能です。
よって、③賃貸管理会社の変更を望む④買主に、物件を売りたくないのです。
この結果、①売主に対して虚偽の報告をします(④買主が表れても表れていないと報告する)。
区分マンションでは、頻繁に起きています。
▼日経新聞記事▼
2015年12月21日の日経新聞に関連した記事が出ていたのでご紹介します。
《PDF版》
日経新聞記事_20151221.pdf
この記事の内容は、主に仲介手数料の部分に触れています。
仲介手数料は、①売主と④買主双方から徴収することも可能であるため、自社で④買主を探したいという思惑があります(両手といいます)。
①売主からは、既に物件売却の依頼を受けているため、仲介手数料が徴収できることは確定しています。
自社ではなく、別の不動産会社を経由して④買主が現れた場合は、買主側から仲介手数料を徴収することができません。
この結果、④買主が現れた事実を①売主に告げず、勝手に拒否します。
このようなケースもあるのです。
まとめ
不動産投資の利害関係者を正確に把握することで、危険な組み合わせを事前に察知することができます。
不動産を買うときは、必ず、
・売主は誰なのか?
・売主の仲介業者はどこなのか?
は最低確認するようにしてください。
これらが同じ会社である場合は、注意が必要です。
不動産を売るときは、よほどの信頼関係がない限り、賃貸管理会社に物件売却依頼をしないほうが良いでしょう。