この記事を書いた人
船橋寛之(ふなばしひろゆき)
1984年生まれ。
ドイツ育ちの不動産投資家。
不動産投資歴16年。
立教大学 経済学部卒。
リーマンショックの時に新卒で区分マンションを購入し、東京23区を中心に最大6棟55部屋を所有。
大和証券、大和総研に11年間勤務後、不動産コンサルタントとして独立。
現在は年間20億円以上の「非公開物件」仲介を行う。強みは「物件情報力」で、経験を活かしてセミナー講師や執筆活動にも携わる。
私生活では子供3人を育てる「ほぼ主夫」。
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総資産と純資産は、全く別物です。
「総資産が多い = お金持ち」ではありません。
「純資産が多い = お金持ち」です。
総資産と純資産の違いを理解しておかないと、本当はたいして資金力のない人をお金持ちと勘違いしたり、本当は健全性の高い人をたいしたお金持ちではないと判断したりします。
内容を5分動画にしました!
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特に、不動産を持っているような場合は、必然的に総資産が多くなります。
このため、総資産で見ると多くの資産を持っているように見える人でも、実は借金だらけで自己破産寸前だったりもします。
総資産は着目すべきポイントではないのです。
総資産と純資産のバランス(自己資本率)が重要となります。
純資産を見れば本当の資産がわかるんだね!
総資産とは?
保有している資産全てを指します。
現金、投資信託、株式、不動産、車などが該当します。
これらを足し合わせた資産を総資産と呼びます。
総資産は、重要ではありません。
「総資産が多い = お金持ち」ではないワン!
純資産との違いがわかれば、この意味がわかります。
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純資産とは?
「純資産 = 総資産 – 負債」です。
負債を差し引いて考える点で、総資産と意味が全く異なります。
純資産こそ、保有している本当の資産になります。
重要なのは純資産です。
以下は、総資産、負債、純資産に関する表です。
この表を基準にして、純資産から見える”真の姿”をケースごとに見ていきましょう(自己資本)。
借方 | 貸方 |
---|---|
資産 (現金・有価証券・固定資産など) |
負債 (ローンなど) |
純資産 (真の資産) |
純資産(自己資本)からわかる真の姿
真の姿は見ないで><
不動産を例にします。
不動産の世界では、総資産で見ると多くの資産を持っているように見えても、実は超過債務であったり、純資産がほとんどなかったりするケースもあります。
①500万円の現金を持っている人が
②5000万円の物件を頭金500万で購入したと仮定し
③その純資産をチェックします
借方 | 貸方 |
---|---|
現金 500万円 |
純資産 500万円 |
現金を500万円持っている状態は、負債がないので現金500万が純資産となります。
借方 | 貸方 |
---|---|
不動産 5,000万円 |
ローン 4,500万円 |
純資産 500万円 |
5,000万円の不動産を頭金500万円で購入しているので、ローンは4,500万円になります。
総資産は、不動産の5,000万円に対し、負債であるローンが4,500万円であるため、純資産は500万になります(5,000万円 – 4,500万円 = 500万円)。
さて、5,000万円で購入した不動産ですが、5年後に売却したいと考えました。
しかし、その資産価値が3,600万円ほどしかないことが発覚しました。
5年が経過しているので、ローンの残債は500万円減っています。
借方 | 貸方 |
---|---|
不動産 3,600万円 |
ローン 4,000万円 |
純資産 ▲400万円 |
ローンの残債が売却可能な物件価格を上回っており、超過債務になります。
超過債務とは、純資産がマイナスになっているという意味です。
5,000万円と思っていたはずの総資産も、実は3,600万円にまで減っています。
不動産を保有している人の総資産があまりあてにならないことは理解いただけたと思います。
不動産の世界では、買った値段が適正であるとは限らず、売りに出すと、想像をはるかに下回る金額でしか売れないケースが多々あります。
資産の観点で考えると、売れる値段が資産になるため、今回のように、本当の意味での資産は減っているということになるのです。
仮に、このような超過債務に陥っていても、総資産だけで見れば、3,600万円になります。
総資産3,600万円!
と言われると、なんとなくお金持ちに聞こえますが、実態は超過債務が400万円であり、純粋な借金を背負っていることになります。
この例から分かるように、総資産は無意味なのです。
資産と負債の両面を見ないと、正解が見えてきません。
資産と負債の両方を見ないと何も分からない
政治家が資産を公開しているニュースを見たことはないでしょうか?
全て総資産の観点で公開しています。
「総資産が多い = お金持ち」ではありません。
そのため、この公表自体は全く無意味なのです。
純資産がわからなければ、本当の意味での資産を把握したことにはなりません。
本当の意味での資産を公開させるのであれば、純資産を公開させる必要があります。
総資産しか見ていないため、負債が分からず、結果として純資産も不明です。
総資産だけで良い状態、悪い状態が語れないのと同じで、負債だけみても、それが良い状態なのか、悪い状態なのかは判断できません。
前述した通り、不動産を持っている場合は必然的に総資産が大きく見えます。
資産と負債の両面から財務健全性を把握しよう!
また、負債ランキングのようなことをしている記事を見たことはないでしょうか?
これも、実は無意味なのです。
総資産に対する負債の比率がどの程度であり、結果としてどの程度の純資産があるのかは、総資産を見ないとわかりません。
負債が100億円でも、総資産が1,000億円あれば純資産は900億円です。
負債が50億でも、総資産が70億円であれば、純資産は20億円です。
後者のほうが、負債が少ないので健全である、とは言えません。
それでは具体的に見ていきましょう。
借方・貸方片方しか見ない場合の例です。
借方 | 貸方 |
---|---|
現金 200万円 |
??? |
不動産 3800万円 |
総資産は4,000万円です。
なんだかすごそうですが、負債がわかりません。
これでは本当にすごいのか不明です。
借方 | 貸方 |
---|---|
現金 200万円 |
ローン 5,000万円 |
不動産 3,800万円 |
純資産 ▲1000万円 |
負債は5,000万円もあり、超過債務が1,000万円でした。
これでは4,000万円の総資産があっても、最悪な状態と言えます。
借方 | 貸方 |
---|---|
現金 200万円 |
ローン 500万円 |
不動産 3,800万円 |
純資産 3,500万円 |
負債はわずかに500万円です。
純資産は3,500万円です。
総資産は同じ4,000万円ですが、負債を見てみるとその差は歴然です。
総資産だけでは何もわかりません。
3,800万円の価値しかない物件を5,000万円のローンを組んで買わされてしまった!
という人なのか、
3,800万円の物件をしっかりと購入し、しかもローンは500万円しかない!
という人であれば、どちらが健全化は一目瞭然です。
しかし、この2者について、総資産だけで見れば、同じ4,000万円なのです。
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まとめ
総資産はほとんど無意味であることはご理解いただけたと思います。
純資産をどれほど保有しているのか、がその人またはその会社を見る上では重要です。
特に、不動産を保有している人の総資産は大きくなるため、注意が必要です。
新聞やニュースで、総資産や負債など、片側だけでモノが語られているときは、必ず両方(借方・貸方)を確認して”真の姿”を確認してみてください。
勿論、総資産も大きく純資産も大きい人であれば、かなり信用度が高い人だということもわかります。
多くの借入ができる、ということは、同時に信用度も高いことを意味しています。