2019年は、1棟物件の融資が著しく厳しくなり、三為業者(転売屋)が軒並み倒産したり撤退したりしました。
2018年に起きたかぼちゃの馬車事件を発端とし、特に会社員に対する融資が厳しくなった2019年でした。
皆様はどう感じましたか?
不動産投資を始めて、「よし買い増ししていくぞ!」と思ったけど融資が通らない、なんて経験はなかったでしょうか。
2018年までは、自己資金が乏しい会社員に対しても、積極的に融資をしていたので、一定の年収を満たす人は、不動産が買えていましたが、2019年は違いました。
ある意味で、正しい不動産投資の形になりました。
さて、2020年の融資情勢はどうでしょうか。
既に銀行では動きが出ているので共有します。
少し厳しい表現もあるかもしれませんが、これが事実であるという認識とともに、不動産投資は甘くはない、ということを改めて念頭に置いていただければと思います。
—以下書籍より抜粋—
【中古】 融資地獄 「かぼちゃの馬車事件」に学ぶ不動産投資ローンの罠と救済策 /小島拓(著者),畑中鐵丸法律事務所 【中古】afb
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「かぼちゃの馬車」で変わったことは、融資の基準です。
サラリーマンでも属性が高ければ、数千万、1億以上の融資を受けられていましたが、今ではかなり厳しきなり、属性が高くても自己資金をだ出したり、それなりの経験者でなければ融資が受けられなくなってきています。
これは、本来の不動産投資の在り方に回帰しているといえるでしょう。
区分マンションの融資ハードルは依然低い
不動産投資と言っても、大きく区分(ワンルーム)と1棟があり、これらは全然違います。
区分がプロ野球の2軍だとしたら、1棟はメジャーです。
区分マンションの融資は、全然変わっておらず、相変わらず年収と借入の倍率のみ見ており、フルローンは健在です。
よって、それなりの企業に勤務(資本金1億円以上の会社)していて年収が500万を満たしていれば、ほぼ誰でも買えるものになっています(自営業または中小企業勤務は自己資金が20%ほど必要になるケースがあります)。
この動きに変化はなく、2020年もワンルームは活発でしょう。
区分マンションの融資はまだまだ大丈夫そうなんだね
自己資金が乏しい人は、1棟を購入することはできないので、区分マンションからコツコツと資産を増やすことをお勧めします。
勿論、適正価格で購入することは大前提です。
1棟の融資が厳しくなった2つの理由
会社員に対する1棟融資は、今後緩和される兆しが見えていません。
少し前にフルローン、オーバーローンで買っていた会社員の多くは、自己資金が乏しいのに1棟を買うという無謀な行為をしています。
個人的にはとても危険だと感じていましたが、ほころびは出てきていると思いますし、5年後、10年後に必ずボロが出てきます。
賃貸経営は甘いものではなく、しっかりと自己資金を持った人が安全にやるものです。
カツカツの人が、なんか儲けたいから、と言って安易に手を出すものではありません。
1棟の融資が厳しくなった背景は、主に以下の2点です。
1.そもそも不正による購入が多かった
2.購入したものの、返済が滞る件数が増えてきた
銀行の視点でいえば、昔から、ある程度自己資金を持っている人に貸す、というスタンスは変わりませんでした。
しかし、預金を改ざんするなどして、資産があるように見せて融資を強引に通すやり方が多くなり、これにより本来融資が通らない人への融資が実行されていました。
その筆頭となった事件が、かぼちゃの馬車です。
これにより不正が全面的に明るみになり、各銀行では調査が強化されました。
買主の預金も入念にチェックされるようになったので、不正ができなくなり、世間的には買いにくくなった、といわれていますが、これは誤りです。
本来あるべき姿に戻っている、というだけです。
不動産投資は預金の多い人がやるものです。
ある程度買い増しができる人の預金は、最低でも5,000万円、できれば1億円以上、というレベルになっています。
預金があるんだから最低10%は頭金入れてね、というスタンスに変わってきています。
フルローンは今後極めて難しくなるでしょう。
次に、返済で滞る人の数が増えているという問題です。
微妙なエリアを高値かつ高金利で借りている人に顕著です。
エリアが微妙なので、満室で稼働せず、入居もなかなか決まらず、という状態で、赤字に陥りだしています。
1棟は借入が大きいので、赤字の幅も、10万、20万という単位です。
一般的な会社員であれば、毎月20万円も不動産投資のローン返済を工面し続けるのは極めて厳しく、あきらめムードすら出てきている状態です。
これにより、銀行側も、不動産業者がつけた価格で融資の評価をするのではなく、物件そのものの評価をするようにシフトしています。
物件の評価が厳しくなっているので、融資額も減っています。
融資額が減る、ということは、その分頭金を出す必要が出てくるわけです。
返済できないと、どうなっちゃうんだろう・・・
今後、銀行は資産を持っている人への融資以外はやらないと考えられます。
特に会社員は厳しくなるでしょう。
会社員の時点で、持っている資産など知れてるレベルの人が大半です。
どれほどの人が預金1億円以上あるでしょうか。
ほとんどいないと思われます。
反面、経営者で実力のある人は、預金1億円以上持っている人も多くいます。
よって、会社員への融資は厳しくなり、実力のある経営者への融資は行う、という方向にシフトするのではないかと予想します。
お金のある人が不動産投資をする資格がある、というのは、当たり前の話です。
少し前が、不正メインの無謀な状態であり、異常事態だっただけです。
被害にあう人が減り、暴利を得ていた不動産業者が廃業するという健全な状態になるので、これは望ましいことではないでしょうか。
1棟融資が通る属性
前述した通り、ある意味での実力者に対する融資を積極的にするようになると思います。
海外などでは、本人に帰属するスコアーが存在し、会社に属しているから高属性、という計算ではなく、どれだけその人が周りからの信頼を勝ち取っているかがスコアーに反映されたりしています。
これは実に合理的です。
会社に頼らず食っていける能力のある人とそうでない人、前者にお金を貸した方が安全であることは明白です。
要するに、実力者が実力者として銀行から評価されるのが海外です。
日本では会社に属していることが、融資を受ける上で有利とされてきました(特に大手や上場企業など)。
しかし、この流れが少しずつ変わるのではないかと思います。
日本の融資姿勢も、海外に近くなってくるでしょう。
すると、実力のある個人事業主や経営者が有利になる時代が来るのです。
最近では副業を後押ししていますが、これを機に、本気で取り組んでみるのも面白いと思います。
2020年現在、融資が通る属性は、次の通りです。
会社経営者/個人事業主
実績豊富な会社経営者や個人事業主で、自己資金を多く持っている人です(売買価格の30%くらいは捻出可能)。
預金は1億円以上であれば望ましいといえます。
自己資金がないと、いくら売上があっても厳しいでしょう。
それまでに銀行との関係が本業の経営で築けている場合は、別です。
本業で銀行と長い付き合いがある場合は、不動産投資の相談をしてみるのもいいでしょう。
会社員(資産家)
年収1,500万で自己資金4,000万、というレベルの属性です。
1棟目はここまで必要ありませんが、買い増しを検討していくとなると、上記属性くらいでないとスピード感を持って買い増しはできません。
既存の借入は、増えれば増えるだけ融資のハードルも上がります。
年収が低い場合は、そもそも受けられる融資額も低いので、1棟を買いたい場合は、多くの自己資金が必要です。
不動産投資をしていきたい場合、まずは本業の年収を高める転職から始めることを考える必要もあるでしょう(年収1,000万以上)。
年収が高い場合は、必要自己資金は緩和されますが、それでも多いに越したことはないのです。
サラリーマンでも4,000万くらいは持ってないとね、という発想なんだよ
親から相続した土地建物や、自分で買ってきた土地建物で残債がかなり減っている場合は、資産家としてみてもらえるケースもあり、年収に関わらず融資が通る可能性があります。
親がそれなりの場所に物件を持っている、というケースは、非常に有利です。
ご両親世代であれば、ローンも残ってない可能性が高く、ローン無しの土地建物は評価されます。
このような人は、親と相談しながら自分の資産を増やしていくことは可能でしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
2020年も、1棟は厳しい状況が続くと予想します。
会社を辞めたいから不動産、という理由で不動産を購入するのは危険です。
不動産で成功していくには時間がかかります。
会社員を辞めるトリガーにはならないでしょう。
安易に不労所得など手にできるものではなく、それにより楽になることもないでしょう。
お腹すいたワン・・・
買えるから買う、ではなく、不動産投資は投資なので、勝たなくては意味がありません(最後に利益が出た状態)。
融資が付くから買う!
という人は危険なので注意してください。
少し前にこのような買い方をした人は、危険な状況にあり、借入が多いと自己破産も見え隠れするでしょう。
不動産投資は、本質に戻ろうとしています。
焦らず、自分の身の丈にあった投資をするよう心がけてください。
不動産投資に限った話ではないと思いますが、安易な近道で成功するはずはありません。
不動産は中長期です。
じっくり腰を据えて10年~20年かけて成功へ近づくものです。
長いと思われるかもしれませんが、これが事実です。
夢が無くて申し訳ないですが、これが事実です。
近道には、高いリスクが伴います。
どんな投資でも同じです。
お、なんか儲かりそう!
今の状況から脱出できそう!
という手の話が来たら、十分に注意してください。
2020年も不動産が楽しみです。