共同担保に入れると頭金なしで1棟が買えます!
なんて話を聞いたことはありませんか?
確かに共同担保に入れることで、不動産は買いやすくなります(必要な頭金が減る)。
共同担保の特徴としては、現在所有している物件を効率よく最大限活用して不動産の買い増しが可能、というものです。
しかし、物件として評価がでるものに限る、という点を忘れてはいけません。
内容を5分動画にしました!
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「物件として評価がでるもの」を正確に理解しておく必要があります。
多くの人は、フルローンに近いような水準で購入したばかりの物件を共同担保にして次が買える、という勘違いをしています。
フルローン水準で買ったばかりの物件に担保力はないと考えてください。
なぜでしょうか。
銀行の視点で考えるとわかります。
共同担保を取る銀行の目線で評価の出る物件であれば、どの銀行でも共同担保の提案をする価値はあります。
その中でも特に積極的な金融機関は三井住友トラストで、その次は横浜銀行あたりです。
不動産の評価と共同担保力とは?
【不動産の評価】
不動産の評価とは、銀行の指標で評価する物件の価値を指します。
購入金額が5,000万円だから、銀行の評価も5,000万、と思ったら間違いです。
銀行の評価額と売買代金にはマイナス乖離があると思ってください。
購入金額が5,000万円の物件であれば、銀行の評価は3,500万円、といった具合です。
評価の仕方は銀行ごとにことなるため、絶対的な計算方法はありません。
【不動産の共同担保力】
不動産の共同担保価値は、
銀行の評価額 – ローンの残債
です。
物件価格:5,000万円
頭金:500万円
ローン残債:4,000万円(購入時のローンは4,500万円)
銀行の評価額:3,500万円
例えば、5,000万円の物件を、ほぼフルローンで購入したとします(4,500万円のローン)。
頭金は10%程度です。
数年保有し、ローンの残債は4,000万円まで減りました。
この物件を共同担保に入れようとしたとき、銀行から見て、共同担保力があるのかが重要です。
銀行の物件評価額は3,500万円です。
ローンの残債は、4,000万円です。
すると、マイナス500万円です。
銀行から見ると、赤字物件になるのです。
このような物件を共同担保に取っても意味がないことになります。
そもそも、5,000万円の物件を買うために4,500万円のローンをA銀行で組んでいる場合、A銀行の抵当権が購入した物件に設定されています。
万が一返済が滞ると、A銀行が物件を売却してローンの残債を回収できる、という意味です。
B銀行が、この物件を共同担保にしても、計算上A銀行が残債を回収して終わります。
ローンの残債が4,000万円に対し、銀行の評価が3,500万円なので、物件が売れると3,500万円が回収できるという計算になります。
A銀行からすると、500万円が未回収となり、損失になります。
A銀行が残債を回収してなお現金が残る場合に、初めてB銀行にも回収の権利が及ぶのです。
ローンの残債が、銀行の評価額である3,500万円を下回った場合に、その分が回収対象になります。
ローンの残債が3,000万円で、物件評価が3,500万円であれば、A銀行が3,000万円を回収し、B銀行が残りの500万円を手にする権利が出てくるのです。
このような状態になって、初めて、B銀行は物件を共同担保にする価値が出てくるのです。
よって、
銀行の評価額 – ローンの残債
がマイナス乖離している物件は、共同担保の価値がないのです。
共同担保の価値がある不動産
フルローンに近い水準で不動産を購入し、数年しか経過していないようであれば、共同担保力はないと思ってください。
それでは、どのような物件であれば共同担保価値があるのでしょうか。
【ローンが無い物件】
これは最強です。
勿論、その物件がどのくらいの価値があるのか、が重要ですが、東京の区分や、東京近郊の1棟でローンがないものであれば共同担保力があります。
【ローンの返済がかなり進んでいる物件】
具体的には、ローンの残債が、購入金額の半値ほどになっている物件です。
購入金額が5,000万円で、返済が20年ほど経過しており、残債が2,000万円になっている、というタイプです。
1番抵当権設定者である銀行がローン残債を回収し、なお現金が余ると思われる物件であれば、共同担保の価値が出てくるのです。
共同担保になるかならないか、その評価が気になる場合は、銀行の担当者に聞いてみると良いでしょう。
【自宅】
自宅の場合は、必ずしも返済が進んでいなくても良い場合があります。
このため、自宅を共同担保に入れると、本来であれば評価が不十分であっても、融資が通る可能性はあります。
現金に勝るものはない
前述した通り、銀行評価には一定の掛け目が入るので、共同担保にしようか、売って現金にしようか、と考えている場合であれば、売って現金にしたほうが、評価は高くなります。
現金に勝るものはありません。
例えば、3,000万円で売れそうな物件をローン残債1,000万円で持っていたとします。
売れば2,000万の現金が回収できます。
2,000万円の現金は、当然2,000万円の評価です。
当物件の銀行評価が2,000万円だとします。
すると、共同担保に入れた時の価値は1,000万円です。
売って現金化したときの半分の価値しかありません。
勿論、思い入れのある場所で、売りたくない!
ということであれば、共同担保として使う価値はあるでしょう。
但し、次の行為は逆効果です。
手元に現金が1,000万円あるとします。
現金1,000万円で戸建てを買ったとします。
これを共同担保にして別の物件を買うというパターンです。
それであれば、手元に現金1,000万円を残しておき、それで良い物件を買った方がいいのです。
1,000万円の戸建ては、掛け目が入るので、500万円の評価だとすれば、共同担保としての価値も500万円しかない、ということになるのです。
これでは、次に買う物件も中途半端な規模になる可能性も高く、それであれば手元の現金を最大限活用して最大限買える物件のレンジで不動産を購入したほうが得策です。
改めて書きますが、不動産投資において、現金に勝るものはないのです。
いつだって、現金を多く持っている人にはチャンスがありますし、無い人には、なかなかチャンスは巡ってきません。
共同担保の注意点
共同担保に入れるとは、何が起こるということなのでしょうか?
答えは、共同担保に入れた物件だけを売ることができなくなる、です。
このことは必ず理解しておいてください。
物件Aを持っており、物件Bを購入するために物件Aを共同担保に入れたとします(物件Aの評価額は2,000万円とします)。
数年後、物件Aを売らなくてはならない状況になったとします。
しかし、物件Aには、物件Bを買った時の抵当権が付いているため、売れません。
厳密には、物件Bを購入した時に使った金融機関が、物件Aを共同担保から外してくれないといけないのです。
それではどうしたら金融機関は共同担保を外してくれるのでしょうか。
・共同担保評価分の現金を入れる(今回だと2,000万円)
・物件Bを売る
物件Bさえ売ってしまえば、自動的に共同担保に入れていた物件Aの抵当権も外れます。
このため、中長期的に、売却をそこまで考えていない物件であれば、共同担保に入れて効率的に新しい物件を買い増す上で活用するのは戦略的にはアリといえます。
まとめ
共同担保を理解していない人が多いと感じます。
買ってすぐの物件を担保に次を買って・・・
というのは無理です。
そもそもローンを組んで買った物件に担保余力は少なく、ましてやフルローンに近い水準で買っているものなどは、当面評価が出ないと思ってください。
共同担保を検討できる人は、親が持っているローンが無い物件や残債が少ない物件であったり、相続した物件くらいでしょう。
それ以外の、ましてや地主や資産家一家でもない自分自身が買った物件を共同担保として評価されるまでは、時間がかかるのです。
完済済みの物件を持っている人も、そこまで多くはありません。
完済済みで当面売ることも考えていない物件を持っているような人は、共同担保にすることで不動産投資の可能性を広げることができることを理解しておくと良いでしょう。
資産を効率よく活用することであらゆる可能性は広がるでしょう。