この記事を書いた人
船橋寛之(ふなばしひろゆき)
1984年生まれ。
ドイツ育ちの不動産投資家。
不動産投資歴16年。
立教大学 経済学部卒。
リーマンショックの時に新卒で区分マンションを購入し、東京23区を中心に最大6棟55部屋を所有。
大和証券、大和総研に11年間勤務後、不動産コンサルタントとして独立。
現在は年間20億円以上の「非公開物件」仲介を行う。強みは「物件情報力」で、経験を活かしてセミナー講師や執筆活動にも携わる。
私生活では子供3人を育てる「ほぼ主夫」。
水面下で取引される 「非公開物件情報」はこちら (メルアド登録のみ) |
・あなたの物件を「〇〇万円」で買いたい人がいます!
・この近所で「マンションを探している人がいます」
・この近くで「土地を探している人がいます」
・お持ちの物件限定で「買取ります」
・売り物件が「不足しています」
・〇〇万円であなたの物件を売ってくれませんか?
などの手紙、DM、チラシ、広告、メールなどで営業を受けたことはありませんか?
強引だと電話で直接連絡してくることもあります。
簡単に書くと、
「あなたの物件を、あなたが満足いく値段で買ってくれる買主がいる」
というニュアンスの発言をしてくるということです。
自社で買います!という手のものもあります。
広告や手紙であれば、アナログにあなたの家のポストに投函されます。
「探している」
「買いたい人がいる」
とされるエリアは、あなたが所有している物件や土地の近辺だったりしませんか?
またはあなたが持っている物件を買いたい!という連絡だったりしませんか?
以下は、広告・チラシのサンプルです。
結論からですが、このような手紙、DM、チラシ、広告、メール、電話などは、全てウソです。
マンション・アパート・土地を探している顧客などいません。
業者が買いたい、というのもウソです。
買主がいるのもウソです。
不動産業者は架空の買主をでっち上げるプロですね!
嘘を暴く方法
もし本当に買主がいるというのであれば、
「買付申込書」
を送るように指示してください。
買付は、買主本人の署名捺印済みのものです(通常であれば必ず送られてくるものです)。
物件を所有していたり、査定を依頼した人にも、買主がいるかのような雰囲気を出す連絡が入るケースも多くあります。
申し込みが入りました!
検討者が2名います!
など、売れそうな、雰囲気を匂わすのがとても上手です。
不動産の売却で買主がいる場合は、「買付申込書」が送られてきます。
買主は、〇〇万円でないと検討しないと言っています。
というようなことを言ってきた場合は、その値段でも、
買付申込書をください。
それから価格はしっかりと考えます。
という対応をしてください。
買付申込書が来ない場合は、買主はいないと考えてください。
この業界の常套手段だと思ってください。
このようなウソは、比較的流動性のあるエリアで起きます。
流動性のないまたは価格が小さすぎる田舎では、不動産業者の利益も少ないので、主要都市圏内で頻繁に起きます。
買付を偽装する会社も増えているので、買付申込書は買主本人の署名捺印済みのものは必須です。
その上で、買付が入ったら次に契約日の段取りまでします。
契約日の調整が完了し、売買契約書や手付金の振り込みがあるというところまでくると、買主は存在するといっていいでしょう。
逆にいうと、このくらいまで進まないと、ウソをつかれている可能性がある、ということです。
【21日間で学べる不動産投資メルマガ!】
メールアドレスだけで登録完了!
21日間、毎日夕方配信!
不動産投資初心者の方、検討中の方は必読!
不動産業者と対等に会話ができる知識が身に付きます。
登録はこちら
↓ ↓ ↓ ↓
それでは、こんなウソの連絡をしてくる本当の狙いはどこにあるのでしょうか。
答えは、単純に売りの媒介契約を締結したい、ということです。
最近は、購入希望者リスト、というよな、全く架空のリストを作成している業者も見かけます。
とんでもない幼稚なことをやってますが、この業界ではよくある話です。
なぜなら、売主は一般的なルールを理解していないため、買いたい人がいます!といわれると、自分の物件が売れるかも!という衝動にかられるからです。
契約を締結してからも動きがないと売主も不満になるので、申し込みが入りました、というウソをつくこともよくあります。
あとで融資がダメになった、という話をすればいいだけだからです。

不動産売却の流れ
すごく基本的なことになりますが、不動産を売るときの流れをご存じでしょうか。
1.売主が物件を売りたいと考える
2.不動産業者と媒介契約を締結する
3.価格を決めて売りに出す
4.売りに出されている情報を誰かが見て不動産が欲しいという(買主の出現)
さて、今のあなたの状況ですが、2.不動産業者と媒介契約締結済みですか?
恐らく違うでしょう。
そもそも、媒介契約を締結してない物件は、売り物にはなりません。
まだ売り物になってない物件を、お客さんに出すなど、ありえません。
よって、やりたいことは一つで、媒介契約を取りたいがために、架空の買主をでっち上げ、物件が売れそう、と売主に感じさせるのです。
そして売主がその気になったところで、「売り出すためには媒介契約というのを締結しないといけません」、という話を持ち掛けてくるでしょう。
本来の狙いはそこにあるためです。
買主を抱えている業者の立場で考えてみましょう。
売り物件は、軽く数千件単位で存在します。
既にレインズと呼ばれる業者のサイトに、正式な売り物件として載っているものです。
本当に買主がいるのであれば、レインズから物件を調達すればいいだけの話です。
数千件単位で物件が存在しているので、条件に該当する物件を探すのは比較的容易でしょう。
そもそも順序が違うって話なんだよね
ウソの連絡をする理由

なぜこのような幼稚なウソをついてまで手紙、DM、チラシ、広告を投函または電話しているのでしょうか。
理由はたったの1つです。
それは、
不動産を持っている人と売却に関する媒介契約を締結したい
からです。
前述したとおりの話です。
実にシンプルです。

手紙、DM、チラシ、広告は、基本的に不動産を所有しているほとんど全ての人が該当するような作りになっています。
謄本を見てピンポイントで所有物件について連絡してくるケースも多くあります。
・お、私の持っている物件が該当しそうだな
・残債で売れそうだな!
・利益が出そうだな!
と思わせるのが狙いです。
そして、
「今持っている物件が高く売れるのではないか?」
と錯覚させるようにできています。
買取りについても、自分の持っている物件を少しでも高く買い取ってくれるのであれば、問い合わせてみようかな!
と思わせるのが狙いです。
ボクなら騙されそう・・・
買取りの場合は、相場より安くなる場合が多くなります(その分手数料がかからない、ローン特約がない、などのメリットもあります)。
相場で売りに出した方が、売主にメリットがあるので、わざわざ緊急でもないのに不動産業者に買取を依頼するメリットはありません。
結局は問い合わせをさせることが狙いであり、最終的には不動産を売りたい人と契約を締結したいのです。
媒介契約が締結できると、不動産業者は売買成立時に仲介手数料を受け取る機会を得ることができます。
目的はこれだけです。
これが狙いです。
※最近では、一般媒介契約でもいい、といって契約締結を促す不動産業者も出てきました。
【簡単な机上査定で不動産価値を知ろう!】
60秒の入力作業でお持ちの不動産価値がわかります。
投資用マンション、戸建て、ご自宅、なんでもOK!
全国対応!
いくらで売れるのか、サクッとわかります!
↓ ↓ ↓ ↓
しかし、結果は同じです。
買いたい、という人などおらず、媒介契約が取りたいだけです。
一度、媒介契約を締結して売りに出し始めれば、売主は売りたいという気分になり、結果として売却活動を継続させてもらえる可能性もあります。
その際に、徐々に最初に出した高値の査定金額から、実際に売れそうな相場の金額まで、値段を下げて売るように促してくるでしょう。
契約した瞬間に違う話をしてくることもあります(価格を下げないと買主は買わない、など)。
それで売主が条件を飲めば、ラッキーです。
ウソのアプローチで迫ったかいがあった、ということになります。
買主と今後のためを考えて、リレーションを作っておきたい、という長期的な目標もあるでしょう。
しかし、このような幼稚なウソをついて迫ってくる業者に、まともな業者などありません。
—書籍より抜粋—
![]() |
絶対に知られたくない! 不動産屋の儲けの出し方 [ 斎藤智明 ]
|

ではなぜ「購入したい人がいる」と書かれているのに、実際には「購入希望者のいない」チラシを不動産屋は撒くことがあるのでしょうか。
実際そのようなチラシが入ると、マンション所有者は「このマンションは人気があるんだな」と感じ、所有物件の高い評価に悪い気はしません。
今すぐでなくとも、将来売るときに「確かあの不動産屋はこのマンションの売却を得意にしてたな」と思い出してもらえば、「元付け」となって媒介契約を結ぶことができる可能性が増えるわけですし、まさに「今売りたい!」と思っている人がいたらチラシの不動産屋に連絡をし、媒介契約締結となる可能性はますます高くなるでしょう。
つまり、売主から物件を預かれれば、そこから買主を探しても市場が活発な場所においては比較的容易に見つかるものなのです。
不動産業者の査定価格もウソ

さて、売りたい、と思う人から狙い通り問い合わせがあったとします。
不動産業者は、次に何をするのでしょうか。
売れるとされる査定価格を意図的に高く出します。
相場3,000万円で売れそうな物件であれば、3,400万くらいで査定を出すのです。
そうすることで、
「お、高く売れて儲けが出そうだな」
と錯覚させます。
しかし、当然、相場3,000万円の物件を3,400万円で売ることはできません。
さて、不動産業者の次の一手は何でしょうか。
最近〇〇で××なので、価格を下げてみてはいかがでしょうか。
という提案です。〇〇や××はなんでもいいのです。
適当な経済のニュースや、東京オリンピックなど誰にでもわかりそうなネタでもいいのです。
全て根拠も何もないのです。
そうすることで、結果として3,000万円前後で売ろうとします。

査定価格までウソだなんて・・・
まとめ

くだらないことをしていると思いませんか?
本当に幼稚なウソで、売主に問い合わせさせようとしてきます。
このようなことをする不動産業者を、信用しないでください。
特に、大手でこのようなウソの手紙、DM、チラシ、広告を投函しています。
大手だから信用できる、なんてことはありません。
大手だから信用できないのです。

不動産売却時の査定価格におけるウソは、別記事でもまとめています。
参考にしてみてください。

