マンションは管理を買いなさい
という言葉を聞いたことはありますか?
マンションの管理とは、主に
・修繕積立金が適切に積み立てられているか
・管理費と修繕積立金に滞納がないか
の2つで判断します。
これは、どのように調べればいいのでしょうか。
そこで登場するのが、重要事項調査報告書です。
重要事項調査報告書とは?
「重要事項に係わる調査報告書」とも呼ばれます。
建物管理会社が発行しており、基本的には物件の販売をしている不動産仲介業者に依頼すれば、出してもらえます。
資料には、次のような内容が記載されています。
・修繕積立金総額
・管理費、修繕積立金の月額
・管理費、修繕積立金の滞納額(マンション全体と対象となる部屋)
・管理費、修繕積立金の改定予定
・管理組合の借入金の有無
・修繕工事履歴
・大規模修繕に関する予定
ここで一番見ていただきたい項目は、修繕積立金の総額と、管理費・修繕積立金の滞納額です。
修繕積立金の総額が不十分である場合は、直前で大規模な修繕をしているのか、確認が必要です。
大した十全もしていないのに、築年数相応の修繕積立金が貯まっていないとしたら、マンション管理に問題がある可能性があるからです。
滞納額についても、滞納額が多ければ、マンション管理が適切にできていないと言えるでしょう。
また、購入する部屋の滞納がある場合、買主がそれを今後支払う義務があるので、注意しましょう。
問題のあるマンション実例
以前取り寄せた区分マンションの資料に、マンション全体の管理体制が崩壊している良い例があったので紹介します。
このような物件は、決して購入しないようにしてください。
管理体制に問題があるマンションの資産価値は、著しく下落すると考えてください。
【マイソク】
マイソクを見ると、買おうとしている部屋の管理費と修繕積立金が分かります。
この物件の修繕積立金は、1,290円であることが分かります。
【重要事項調査報告書】
重要事項調査報告書から、マンション全体の管理費・修繕積立金の滞納額は、約70万円に到達していることがわかります。
資料請求当時は、築8年であったこのマンションの滞納額は、異常に多く、管理は完全に崩壊していると言えます。
以下記事内の「5.物件の詳細調査」で詳しく説明していますので、参考にしてみてください。
【長期修繕計画】
マンション管理が崩壊しているので、今後の修繕計画も崩壊しているだろうと思い、長期修繕計画も確認しました。
長期修繕計画は、マンションを維持していく上で必要な資金計画です。
修繕積立金から、いついくら使う予定なのか、を計画している資料になります。
【項目A】
30年間適切に修繕していくために必要な修繕費の記載があります。
約7,500万円です。
【項目D】
築8年時の修繕積立金の残高です。
約260万です。
【項目K】
マンションを維持するために定めた項目Aの修繕積立金を貯めるために必要な月額費用が記載されています。
約20万です。
今後毎年各所有者から20万の修繕積立金を受け取らないと、計画通り修繕できません、ということになります。
この20万は年額であるため、月にすると約1.67万円です。
上記マイソクから、修繕積立金は月1,290円であることが分かっています。
毎月1.67万積み立てる必要があるにも関わらず、実際に積み立てられている額は1,290円です。
尋常ではない不足です。
滞納額と長期修繕計画の両面で、完全に崩壊しているマンションです。
あまりに致命的です。
当マンションの総戸数は14戸であり、各専有面積はほぼ同じです。
このため、ピックアップしたマイソクの専有面積が他と比較して狭いことはありません。
修繕積立金は、専有面積に比例するため、その他の部屋の専有面積が広いと上記のような計算では不適切な場合があります(今回はその事例には該当していないので、誤りのないように念のため記載しておきます)。
まとめ
物件が良くても、管理状態に問題がある場合は、見送るほうが賢明です。
修繕積立金が不十分になると、十分な修繕ができず、建物に問題が出てきます。
汚い建物を、次の人が欲しいと思いますか?
適切な管理がされていなければ、物件の資産価値も下がります。
重要事項調査報告書からは、マンションの管理状態がわかるため、購入しようとしている物件の重要事項調査報告書には目を通しておくべきです。