この記事を書いた人
船橋寛之(ふなばしひろゆき)
1984年生まれ。
ドイツ育ちの不動産投資家。
不動産投資歴16年。
立教大学 経済学部卒。
リーマンショックの時に新卒で区分マンションを購入し、東京23区を中心に最大6棟55部屋を所有。
大和証券、大和総研に11年間勤務後、不動産コンサルタントとして独立。
現在は年間20億円以上の「非公開物件」仲介を行う。強みは「物件情報力」で、経験を活かしてセミナー講師や執筆活動にも携わる。
私生活では子供3人を育てる「ほぼ主夫」。
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最近は晩婚化が進んでいる関係もあり、住宅を取得する時期が昔と比べて平均的に遅くなりました。
さらに、女性が働くのが当たり前になっているため、女性の給与も加味してローンを組む、ペアーローンも多くなってきています。
昭和までの常識とは違い、
・会社に勤めていれば安泰
・どんどん昇給
・退職金ガッポリ
・年金で平和な老後
という時代ではなくなりました。
実はこれらのことが、住宅ローンの老後破綻と関係しているのです。
2020年で30代、40代の人は特に注意が必要です。
ちょうどマイホームを購入しようかな?という時期に来ている人も多いのではないでしょうか。
よく考えて身の丈に合った住宅ローンを組まないと、老後破綻します。
老後破綻とは、住宅ローンの問題と、サラリーマンという制度崩壊の2点から生まれると考えます。
確かに今と昔では何もかもが違うよね
内容を動画にもまとめました!
↓↓↓↓
60歳以降のローンは地獄
住宅ローンの問題は、35年という長期ローンにあります。
35年間は、金利が変わらなければ原則支払額が変わりません。
給与が減っても、リストラにあっても、会社が倒産しても、ローンの支払いは35年間続くのです。
晩婚化に伴い、住宅を購入する年齢も遅くなっています。
すると、35年間のローンの完済年齢が、60歳を超えるケースが多発しています。
これは大変危険なのです。
なぜでしょうか。
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会社の定年は、年々伸びています。
これだけ聞けば、60歳を超えても返済に問題はないのでは?
と思うかもしれません。
しかし、企業は、生涯年収を変えずに、雇用期間だけを伸ばしているのです。
これに気が付いてください。
生涯年収は増えないんだね・・・
簡単に書くと、毎年の年収は、下がっているのです。
毎年の年収を下げて、雇用期間を延ばしている、と考えてください。
特に60歳を迎えると、再雇用という形で会社に雇用されますが、雇用条件は全く異なるものになります。
具体的には、年収が大幅に下げられるのです。
60歳以前と比べると、30%~よくても50%ほどでしょう。
最もよくて、年収が半分になるのです。
それが、60歳というターニングポイントなのです。
サラリーマンは、昔のように、定年まで働いてガッポリ退職金をもらって老後を悠々自適に年金で過ごす、という考えが通用しなくなってきています。
会社は給与を下げるところから始め、終身雇用制度すら撤廃する動きになるでしょう。
この制度自体が今の時代に合っていないのです。
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自分の力で飯が食えなければ、危ない時代に入ってきているのです。
さて、このようなサラリーマンの昇給ならびに終身雇用制度崩壊に加えて、35年の住宅ローン問題が出てくるのです。
60歳を超えて年収が半分以下になっても、住宅ローンの支払いは、現役時代と変わらない、ということです。
これはとても危険だといえます。
また、住宅ローンを抱え、定年が見えてくるころに、子供がいれば、子供に大きなお金がかかることも珍しくないでしょう(学費など)。
給与減、生活費増の2重苦に直面する可能性があるのです。
身の丈に合わない住宅ローンを組んでしまうと、後で自分自身の首を絞めることになります。
それでは、どのようにして身の丈を確認できるのでしょうか?
身の丈に合ったローンの計算方法
あくまで私個人の見解になりますが、身の丈にあったローンの組み方とは、住宅購入時に用意できる頭金と融資年数で計算できます。
身の丈に合ったローンとは、今の自分の実力で組んでも良いと考えられるローンの適正金額です。
住宅ローンの問題は、適正金額を超える融資が引けてしまう点です。
実力以上のローンを組んでしまうと危険です。
晩婚化が進む、ということは、用意できる頭金が多くなくてはいけません。
当然ですが、25歳で結婚して住宅を買う人と、35歳で結婚して住宅を買う人では、預金額に差があるべきです。
その年齢差相応の自己資金が用意できる、というのは大前提です。
35歳にも関わらず、預金が全然ない、という人は、その時点で高額なローンを組むべきではありません(年収が高くても関係ありません)。
25歳でローンを組む人と、35歳でローンを組む人では、実に10年の差があります。
25歳でローンを組んだ人は、仮に35年ローンを組んでも完済年齢は60歳です。
35歳でローンを組んだ人は、完済年齢が70歳になります。
この差は、大変大きなものであるため、これを預金額で埋める必要があります。
身の丈にあったローンとは、
60歳 – 不動産購入時の年齢 = 融資期間
で計算すると良いでしょう。
融資期間は、長くすれば毎月の返済額が減るため、「今」だけを見ると楽に感じます。
ところが、そのツケは、60歳以降にやってきます。
60歳以降は給与がガクンと下がるっていうもんね
先ほどの例でいうと、25歳時点で住宅ローンを組んで自宅を購入する人に関しては、35年ローンで返済額を計算して良いでしょう。
しかし、35歳の方は違います。
60歳 – 35歳 =25年
です。
融資期間を25年でシミュレーションして毎月の返済額を計算しましょう。
あれ?結構返済額きついな。
と思ったら、余裕をもって返済できる金額まで頭金を入れて再計算してみましょう。
余裕をもって返済できる金額まで返済額が下がらない!
ということであれば、身の丈に合わないローンを組んでいることになるので、金額を下げて住宅を探すようにしましょう。
年齢と預金をセットで考え、組めるローンの上限を現実的に考えてみましょう。
実は毎月の返済額にも、闇があります。
それは、「ボーナス払い」です。
ボーナスは、あくまでボーナスであって、不況時には出るかすらわかりませんし、本来決まった支出でアテにするものではありません。
不動産業者は、ボーナス払いを組み込むことで毎月のローン返済額が下がったかのように見えるため、積極的に活用させようとします。
しかし、ダメです。
身の丈にあった住宅ローンを組むときは、ボーナス払いなしです。
これは守ってください。
【例】
4,500万円の物件を購入すると仮定します。
《Aさん》
年齢:25歳
融資期間:35年
金利:0.8%
頭金:300万円
ローン:4,200万円
毎月返済額:約11.4万円
《Bさん》
年齢:35歳
融資期間:25年
金利:0.8%
頭金:300万円
ローン:4,200万円
毎月返済額:約15.4万円
Aさんと比べて、Bさんの融資期間は10年短いので、返済額も4万円違います。
Aさんと同じ返済額(月約11.4万円)にするためには、ローンが3,100万円でなくてはいけません。
よって、Bさんは、頭金300万円ではなく、1,400万円を投入できれば、Aさんと同じような状況に持っていける、ということになるのです。
年齢の差があれば、お金の差があって当然です。
年齢が上がってからの不動産購入の方が、自己資金を投入できないといけないのです。
35歳にもなっても預金がほとんどなく、それでもって多額の住宅ローンを長期で組む人ほど危険なものはないでしょう。
自分の身の丈に合っているのかどうかは、必ず、
60歳 – 物件購入時の年齢 = 融資期間
で毎月の返済額を計算してみてください。
返済額が無理ないところまで頭金を入れることができなければ、預金不足です。
その物件は身の丈に合わない金額ということになります。
老後破綻しないためにも是非参考にしてみてください。
不動産業者は、平気で、
・70歳までローンは組めますよ!
・7,000万までは組めるので、その範囲で買いましょう!
など、その人の先のことなど考えない無謀な提案をしてきます。
購入できる最大限の金額で提案すると考えて間違いありません。
物件価格が上がれば、立地の良い物件や、グレードの高い物件を選択できます。
しかし、待ってください。
あなた自身がその物件に住んでよいだけの属性と資産背景があるのかを、今一度考えてみてください。
買えるから買っていい、ということではないです。
返済に苦しくなって、迷惑をかけるのは、あなたの子供かもしれませんよ。
リテラシーに欠けた無謀な住宅ローンは、危険極まりないといえます。
ペアーローンのリスク
サラリーマン制度崩壊に加え、もう一つの大きな危険があります。
それは、ペアーローンです。
ペアーローンとは、簡単に言うと、夫婦で年収を合算してローン可能額を計算するローンです。
ペアーローンの主なリスクとは、
・身の丈に合わないローンが組めてしまう
・家庭環境の変化に弱い
という2点です。
まずは身の丈に合わないローンについてです。
例えば、
旦那さん:年収800万
奥さん:年収600万
というケースで考えてみます。
今までは、旦那さんの年収800万を基準に、ローン可能額が決まっているケースが大半でした。
仮に5,000万円とします。
しかし、今の時代、女性も男性と変わらず働くことが多くなってきたので、女性の給与も合算可能になっているのです。
本来年収800万では5,000万円までの借入が上限であったにも関わらず、奥さんを加味すると7,000万円までローンが可能になるというようなことが起こるのです。
ペアーローンにより、組めるローンの金額が増える、ということです。
これは、かなり危険なのです。
組めるだけ組むという発想は危険すぎるよ!
次に、家庭環境の変化についてです。
結婚して子供ができたりすると、どうしても未だに女性の負担が男性よりも多くなる傾向があります。
育児休暇などによって年収が下がるのはもちろんのこと、復帰してからも、子供がいなかったときと同じような状態で働くのは、難しくなってきます。
ライフステージや環境に応じて、女性の給与の方が、現実的に変動幅が大きくなります。
にも関わらず、ペアーローンを組むときは、あまりそのことは考慮されず、直近の年収をベースにローンの金額が決まってきてしまいます。
女性側の給与をアテにして組む住宅ローンは、リスクがあるということです。
さらに、家庭環境の変化でもう一つ大きなリスクがあるとすれば、離婚です。
これはややこしいこと極まりないです。
2名が債務を抱えている状態なので、これが大きく今までと違うわけです。
当然、ペアーローンを組むときは、離婚のことなどは考慮せず、夫婦仲良く頑張っていく思いが強いと思います。
しかし現実を見てみると、離婚率自体は高いものがあります。
統計的にも3組に1組が離婚するといわれます。
離婚が3組に1組であれば、離婚したいけど離婚してない人、というのを考えると、2組に1組はまずい状況なのではないかと思うほどです。
それほど離婚または離婚したい状況というのは身近なものとして考えておくべきでしょう。
決して珍しいものではないということです。
まとめ
個人的にはすごく危険な自宅の購入をしている人が沢山いると感じます。
10年後、20年後に判明してくるでしょう。
みなさん共通しているのは、「今」の状況において、「今」の支払いが大丈夫かどうか、という視点で考えていることです。
軸が「今」なのです。
私個人としては、不動産投資用のローンは億単位で組んでいますが、住宅ローンを組むとなると、とても恐怖を覚えます。
不動産投資用のローンで恐怖などはありません。
住宅ローンは、自分が返すローンという時点で、それが長期安定して可能かの保証なんてない、と考えてしまうからです。
それほど個人的に住宅ローンを組むことに抵抗があるのですが、そうでない人が非常に多いと感じます。
なので私自身、自分の家を買った経験はありません。
・60歳以降、年収が半分以下になっても、問題なく変わらない返済ができるのかどうか
・配偶者の給与がなくなっても支払っていける額なのか
今一度冷静になって考えてみると良いでしょう。
最悪の場合は自宅を売ったり、自宅を売っても負債だけが残るケースだって考えられます。
退職金で完済できる!
という発想も、本来は危険です。
・会社が倒産したらどうなりますか?
・業績悪化で思っていたほどの退職金が出なかったらどうなりますか?
そもそも年金受給年齢が遅くなったり少なくなったりしている今、退職金の大半をローンの返済に充てて、老後は大丈夫ですか?
身の丈に合った安全なローンを組むよう心がけましょう。
サラリーマンの老後は、非常に厳しいものであると思っています。
老後格差は激しくなるでしょう。
中でも、住宅ローンが占める支出のウエイトは圧倒的に高いと思うので、よく考えてから購入しましょう。