1棟目を買った後に、2棟目を買って・・・そのあと3棟目を買って・・・という具合に、先のことを考えすぎるが故に何も購入に至れない人がいます。
ワンルーム(区分マンション)は、ある程度年収に対する借入額に上限があるので、わかりやすいのですが、1棟にはそのような借入上限がないため、先のことを考えすぎる人が出てきます。
結論からですが、先のことを考えすぎてもあまり意味がありません。
不動産投資はシンプルで、目先の1棟に集中して購入し、不動産の収支を含めて圧倒的な財務健全性を銀行に示すことができれば、買い増しは可能なのです。
多額の預金さえあれば、多くを気にせずとも購入は可能なのです。
無駄に先のことを考えるのは単なる機会損失でしかありません。
であれば、どんどん買って増やして残債を減らしていった方が結果的に勝てます。
買えるときに買う
この銀行を1番目に使うといい!
この銀行は最後に残しておくべきだ!
ノンバンクは使うべきではない!
など、複数の業者を回ると、みな言っていることが違って混乱する、という状況に直面すると思います。
互いを否定して自分を肯定する、はお決まりのパターンです。
融資に限らず物件もです。
その物件はやめたほうがいい!
であればこっちのほうがいい!
という具合です。
不動産業界アルアルです。
みな、自社で買ってもらわないと利益にならないので、自社の優位性をアピールして他を否定する、という素敵な文化です・・・
だいたいの人は混乱してしまうのですが、融資はシンプルです。
・多くの現金があれば買える(1億円以上がベターです)
・良い物件を持っていればどんな銀行を使っていても買える
現金1億円は一つのポイントになると個人的には思います。
それがあるかないかで提案はわかれてきます。
次に、「良い物件」です。
良い物件とは、立地と収支のバランスがともに優れているものです。
その場所でその収支はいいですね!
という感じです。
そのような物件を持っていれば、いざ売ろうと思ってもすぐ売れますし、銀行からも「持っているからダメ」ではなく、「よくその物件をその価格で買えましたね!」になるわけです。
後者に該当するような物件が購入できるようになれば、細かいことを気にせずとも買い増しはできるようになります。
※当記事は1棟物件の話になります。
先のことを考えすぎる人の特徴
・自己資金が不十分
・経験値が浅い
・早期に多額のCFを得たいと考えている
主にこの3パターンだと感じます。
まずは少ない自己資金で、できるだけ多くを買おうと試みる人です。
勿論、レバレッジの考え方で言えば、必ずしも誤りではありません。
しかし、借り入れをする金額相応の自己資金はしっかりと持って不動産投資には挑むべきであり、例えば貯金が1,000万の人が、無理に1億以上の融資を受けたりすると危険なのです。
少し前に、少ない自己資金で購入できている人は、ご存じの「かぼちゃの馬車事件」を筆頭に、微妙な場所で高額な物件を買わされて苦しくなっている人が多く存在します(融資自体が極めて不健全であった)。
2020年現在は、よほど高属性かつ素晴らしい資産背景の人以外、フルローンは通りません(1棟目購入は審査が緩くなるのでフルローンが可能な場合もある)。
このあたり最新の融資事情に疎いような人は、
・不動産投資歴が浅い
・そもそも未経験者
・ワンルームしか経験していない
など、経験値が不足している初心者に見られる傾向です。
また、少ない自己資金でできるだけ購入しようとする人は、短期で多額のCFが得られる夢を見ている傾向もあります。
多額のCFがあれば会社が辞められる!
というような発想ですが、そんなに甘くはありません。
不動産投資はゆっくりと時間をかけて行うものです。
短期でドカン!は過去の話です(それで成功している人も一握りです)。
5年から10年かけてじっくりと買い増しをしていく、という発想が健全でしょう。
融資状況は月単位で変化する
不動産投資は、融資が鍵を握ります。
融資情勢は月単位で変化するので、1年前の融資情勢で進め方を考えても、意味がありません。
「今」どうなのか?が重要です。
さて、この観点でいうと、先を考えすぎても意味がないことはわかっていただけたかと思います。
5年先まで考えて1棟目を購入したものの、融資情勢が変われば、1棟目を購入した時と、次を購入しようとするタイミングで状況が変わっている、ということになるのです。
1棟目を購入した時は、順調に2棟目も購入できるプランであったとしても、いざ2棟目の購入に踏み切ろうと思った時には銀行の考え方が変わっていて、2棟目の融資が承認されない、なんてことはよくある話です。
このため、数年先まで考えて購入するというのは、あまり意味がないことなのです。
1.目の前の1棟に集中し、それをしっかりと購入して健全に運用
2.健全な不動産投資であればCFが出るので、それを貯金
3.不動産投資のCFを中心に貯めた預金を頭金にして次を購入
というフローを繰り返せばいいだけの話です。
銀行は、資金さえしっかりと準備できるような人であれば、融資を承認してくれる可能性は高いのです。
月単位で変化することの数年後は見通せないので、その不確実な数年後のことばかりを考えても時間の無駄です。
不動産投資は1歩ずつ進むものであり、近道はありません。
もし買った物件と銀行が、次の融資の足かせになるタイミングがあったとします。
どうしますか?
万が一そのようなケースなのであれば、売ればいいだけです。
売って含み益であるキャピタルを存分に回収すれば済む話です。
短期で売り抜ける物件ほど、「いい物件」になります。
「いい物件」を持っていれば、どうにでもなるのです。
買える人の特徴
少し触れましたが、資産状況が健全であれば、細かいことを気にせずとも融資を受けることはできるのです。
資産状況状況とは、
・総資産
・借入
・金利
・所有物件
・現金
・純資産
などで決まると考えてください。
例えば、
預貯金:3億円
不動産:5億円
借入総額:2億円
という人がいたとします。
総資産は預貯金+不動産資産で8億円です。
これに対し、負債は借入総額の2億円です。
資産 – 負債 = 6億円の純資産がある、ということになります。
このような方であれば、次に何か購入を試みても、問題なく購入に至れるでしょう。
既に取引のある金融機関でも相談はできますし、新規で銀行を開拓しても、十分に相談にのってもらえる資産背景です。
資産背景が良好であればあるほど、借入金利も下がります。
金利が下がるので残債の減りも早く、資産背景はどんどん良くなっていきます。
1歩ずつこのような状態を目指していけばいいわけです。
ただし、不動産投資は時間がかかります。
逆に、現金が1億円あってもダメなケースがあります。
・預貯金:1億円
・不動産:20億円
・借入総額:20億円
借入総額に対する現金比率が小さすぎるため、このような人への貸し出しはリスクが高いと判断されます。
純資産が多ければ多いほどよく、その比率が総資産に対して良好であれば、銀行から評価されてどのような時期でもそれなりの条件で継続して借り入れをすることができるのです。
まとめ
結局のところ、お金のある人は融資を受けることができる、というシンプルなロジックなのです(資産背景が良好)。
資金力が不十分。だけど不動産欲しい、という人は、当然多くを借りることができません。
しかし、残念なのことに、このような人に限って、先のことばかり気にする傾向があるのです。
先を気にするよりも今すぐにアクションを起こし、スタートしたほうが良いのです。
意味のないことを沢山考えていても時間の無駄です。
今の自分に何が買えるのか?
それを把握して購入に至ることができれば、次が見えてくるでしょう。
買って回して売る。
それだけです。
私個人は比較的短期売買が主流です。
所有期間は2年~4年前後がほとんどです(銀行目線ではあまり喜ばれません)。
このため、どこで組むか?などはそんなに気にしたことがなく、勝てると思える物件は、そのタイミングで組めるところと使う、という発想で買います。
先のことなんてイチイチ考えて買った経験はありません。
しっかりと需要のあるエリアを、相場(または相場以下)で購入する、ということのほうが重要です。
不動産業者にババ物件をつかまされないように気を付ければ、あとはスピードです。
早く始めている人の方が勝てる確率は高くなるのです。