・個人の年収があまり高くないので、法人名義で購入して規模を拡大していきたいと思います!
・法人の方が多く借りることができると思うので、法人名義で購入したいと思います!
というような、あたかも法人の名義で借りた方が融資が引きやすいという趣旨の発言を耳にすることがあります。
本当に法人名義で借りる方が借りやすいのでしょうか?
お金を貸す銀行の目線で考えてみてください。
内容を5分動画でまとめました!
↓ ↓ ↓ ↓
Contents
資産管理法人レベルでは個人の属性に依存する
いきなり結論から書きますが、
・よほど別事業で実績のある法人
・代々資産を築いてきている法人
・大家としてかなり成功していて貸借対照表のバランスが抜群である法人
でない限り、経験の浅いまたはたいして純資産のない資産管理法人レベルで見られるのは、「個人」の属性になります。
要するに、個人の年収が低いから、個人で借りるより法人で借りる方が多く借りられる、というのは誤りということです。
不動産を法人名義で購入するというのは、税制面で有利になったり、中長期的に見て、安定運営している実績ならびに多くの純資産を積み上げていくことで、銀行から一定の評価を得られていくことはあります。
ただし、そこに至るまでにはかなりの時間がかかるでしょう。
ましてや、個人の属性が低い、金融資産が少ない、CICに問題がある、というような状態で法人を設立したところで、見られるのは個人であり、法人で買うから買いやすくなるということはありません。
名義は法人でも、審査自体はその代表者になります。
代表者が主債務者または連帯保証として入るパターンになるので、審査の対象は代表者本人ということです。
法人は、今の時代資本金1円で設立できます。
そんな実態のない、できたばかりの法人(ペーパーカンパニー)に、多額の資金の貸し付けなど行うと思いますか?
設立した法人の代表者を主債務者または連帯保証人にし、その代表者に返済能力があるから、銀行はお金を貸してくれるのです。
不動産投資で複数棟購入して多くの家賃収入を得たければ、
・本業の年収をしっかりとUPさせる(年収1,000万以上が望ましい)
・金融資産をしっかりと積み上げる(3,000万以上は欲しいところ)
ことが大切になってきます。
小手先の近道などありません。
法人で多くの融資が引けるようになる状態
法人でもしっかりと多くの融資が引けるケースは、当然あります。
特に以下に該当しないな、ということであれば、審査で見られるのは個人であり、法人に名義を変えて審査したところで同じだと思ってください。
1.別事業を営んでいる
まずは別事業をしっかりと営んでいる人です(もちろん黒字で健全な経営が前提)。
お客様の例でいうと、設立20年近くで従業員は約100人という会社の代表者が該当します。
営んでいる事業は、不動産とは全く別です。
設立して20年も経過していること、売り上げがしっかりとあって黒字で回っていること、従業員が100人もいるという点で、既存銀行取引もあれば、不動産を購入したい場合、その金融資産次第では問題なく購入に至れるのです。
どんな事業でも、しっかりとした形でその事業を営んできている実績を見せることができれば、融資は土台に乗ります。
会社員のちょっとしたプチ副業などは、ほぼ考慮されないと思ってください。
ここでいう別事業というのは、自分で会社を経営し、従業員を雇い、事業を営む、というレベルの話です。
2.代々資産を築いてきている法人
ある程度お金のある家では、資産管理法人は当たり前のように設立されており、代々その引継ぎを行ってきています。
個人間での資産引継ぎよりも、税務面で法人が圧倒的に有利だからです。
代々資産を持っているお金持ち家系は、銀行がそのことを理解していますし、すでに既存の取引があるというのが一般的です。
このような資産管理法人であれば、銀行は問題なく融資をしてくれます。
ローンの無い土地建物、ビル、倉庫、駐車場などの資産を多く所持しているような一族を指します。
地主に近いイメージです。
この手の法人は、相続性対策ということで、かなり低い金利で不動産投資の融資が受けられることも珍しくありません(2020年現在では、0%台の金利が基本です)。
3.成功大家の法人
非常に稀ではありますが、不動産投資で成功している人の資産管理法人です。
不動産投資で成功している人は、そのキャシュフローだけでも余裕をもって食べていけるだけでなく、純資産も大変豊富です。
フルローンの連発などで不動産を購入しておらず、ある程度しっかりと頭金を入れて、低金利(0%台~1%中盤)で多額の借り入れを起こせています(数億から数十億規模)。
現預金で考えても、最低1億円ほどは軽く保持している人と考えてよいです。
大家として不動産投資に成功すると、1億円の現金を作るのは難しくありません(不動産が生むキャッシュフローを貯めるだけで数年あれば十分に届くためです)。
2020年現在は、専業大家の評価が銀行では上がってきています(会社員を卒業して大家業でご飯が食べられる人たち)。
少し前までは、サラリーマンが有利と言われていましたが、ここにきて、財務健全性の高い成功大家の法人で不動産融資を受けることが可能になってきています。
偽物のメガ大家系は、対象外です(純資産ほぼゼロ系)。
あくまで、貸借対照表上の純資産が借り入れに対して豊富であるような状態の大家を指します。
まとめ
法人で借りると多く借りられる!
というのは幻想なのです。
よほどの方でない限り、審査対象は個人であるため、法人名義で購入しようが、個人の属性にすべては依存します。
不動産投資は、
・年収
・金融資産
・既存借入
の3点が主に鍵を握ります。
金融資産さえ多額にあれば、買い増し自体は可能です。
頭金を一定入れることができれば、融資を受けることができるためです。
年収が低くても、現金さえあれば買えるのが不動産の世界です。
不動産に限った話ではありませんが、都合の良い小手先のテクニックで楽になどなれるはずもなく、長きにわたり努力を重ねることでしか道は開けないでしょう。
不動産投資も長期で資産を形成する投資であり、いきなり爆発的に今の現状が改善されるような提案があれば、それは疑うべきです(かぼちゃの馬車みたいなオチになります)。
努力の先にしか、「楽」はないのです。
時間はかかりますが、価格と立地さえ間違えずに運用できれば、安全な金融商品といえるでしょう。