割安な物件が出たら、まず不動産業者が絶対に買いますよね?
と聞かれることがあります。
確かに、YESであるケースも多くあります。
しかし、NOであるケースも多いのです。
なぜでしょうか。
常に買える現金があるとは限らない
企業規模が大きく、現金が極めて潤沢で、なんでも来い!という会社であれば、割安な物件を購入できる可能性は高くなります。
規模が大きければ、メガバンクもついているでしょうし、融資も柔軟に引けるでしょう。
しかし、多くの不動産業者には当てはまりません。
ファイナンスの問題がある、ということです。
大手に良い情報が集まるわけではなく、小さい不動産業者にも水面下で情報は十分に集まります。
主にサラリーマンなどをターゲットにしている不動産業者であれば、規模が小さいところも多く存在します。
会社の規模が小さいと、いざ1億円でお買い得な物件が出た!
といっても、1億円をすぐに出せる状況ではない、ということです。
私自身、水面下で情報を得ていますが、不動産業者が購入を試みて融資審査を入れているケースもありますが、買えない場合も多々あります。
そのような物件の場合、それが顧客に流れてくることはあるのです。
良いと思っていても、買えるかどうかは別の問題ということです。
個人の投資家に限らず、不動産業者にも同じことが言えるのです。

このため、不動産業者が常に良い物件を買ってしまうから、エンド顧客に良い物件は出てこないと思っている人について、それは誤りと言うことです。
不動産業者でも1億円の物件に対して融資を申し込み、審査結果5,000万の融資です。ということになれば、5,000万の現金を入れる必要があります。
例えば、年間にそのような物件が10出たとします。
必要な現金は5億円です。
小規模や少人数でやっているようなところでは、まず厳しい金額ではないでしょうか。
ターゲットにしている物件の種類が違う
欲しいと思っている物件の種別が異なる場合もよくあります。
商業ビルをターゲットにしている業者がいたとします。
そこに、区分が出てきても、これを現金購入してしまおう、ということはないのです。
築浅の1棟をターゲットにしていたとします。
そこにボロ戸建ての高利回り商品が出たとしても、買わないのです。
ターゲットにしている物件に全力投球しなくてはならない中、別の物件で無駄な現金は使いません。
不動産の種類も多く、
・区分
・アパート
・戸建て(ボロ含む)
・商業ビル
・民泊
・簡易宿泊所
・ホテル
・更地
などなど・・・
色々とあるのです。
狙っているタイプの物件でなければ、それを無駄に購入したりしません。
現金を違うところで使うのは致命的で、いざ本当に欲しい種別の物件が出た時に購入できないのであれば、それは本末転倒ということになります。
悪徳業者の詐取方法

自分は買えないけれど、今出てきている価格は安い、と不動産業者が判断したとします。
不動産業者によっては、売主が同じ不動産業者の場合、自社の顧客に高値で売るので、高く売った分をキックバックしてほしい、という依頼をしたりします。
これは、金額の大きい1棟物件でよくあります。
例えば、不動産業者Aの物件が8,000万で売りに出たとします。
悪徳不動産業者Bが、自社の顧客Cに、1億円で売るので、差額の2,000万円をちょうだい!と不動産業者Aにもちかけます。
不動産業者Aは、もともとその物件が8,000万で売れることを期待して販売しているので、悪い話ではありません。
そうすることによって、本当は8,000万円で買えていたはずの物件を、顧客Cは1億円で買うことになるのです。
よって、良さそうな物件をそのまま自社で価格を上乗せすることなく出してくれる良心的な不動産業者と付き合う必要はあります。
時々あるのですが、同じ物件が業者間で異なる値段で販売されるようなケースです。
このような場合疑われるのは、今回挙げたようなことです。
基本的には、裏側でなんでもありの世界なので、十分注意が必要です。
不動産投資で考えると、買い方はどうであれ、入居付きの良い場所を適切な価格で購入さえできていれば、非常に負けにくい投資です。
失敗のほとんどは、相場より高く買うことになります。
今回挙げたような不動産業者は、融資でも不正を働くことが多く、買い手が確実に損するような、尋常ではない高値で転売を試みます(その転売益を複数社で分け合う)。
見ればすぐに高いとわかるレベルで出てきますが、それすら気が付かないで買ってしまう人が多いのです・・・
まとめ
不動産業者が不動産を買うのも、簡単ではないのです。
それは、皆様投資家の方と同じです。
常に潤沢な現金でバンバン購入できる、ということはほとんどなく、多くの不動産業者は融資を引きます。
融資を引く以上、
・承認額が想像より小さい
・融資期間が短すぎる
・金利が高い
・そもそも否決
など、色々あるのです。
ターゲットにしている物件も色々とあります。
それは、まさに不動産投資家の方が経験されていることではないでしょうか。
現金で即買える場合を除き、物件が割安だからといって必ず買えるわけではないのです。
良い物件を現金でどんどん買えるほど潤沢な現金があるケースも非常に稀なので、各社買えるタイミングはそう多くは訪れません。
購入準備ができるタイミングで出てきた物件を買おうと試みる可能性はありますが、それが「常に」ではないということです。
普段から水面下の情報を右から左に流してくれる不動産業者がいたら有力な情報源として大切にしておきましょう。
