リノベーション物件は、新築同様ですが、値段は割安なのでお得ですよ!
こんな営業トークを聞いたことはありますか?
確かに、内装だけ見れば、新築のようです。
なのに、価格は新築と比べると安くなっています。
お得に感じるかもしれませんが、注意が必要です。
内容を5分動画にしました!
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リノベーション物件を買ってしまったら、その時点で多額の損失を出している可能性があるのです。
都心部以外は、特に注意が必要です。
Contents
リノベーション物件が不動産業者にとっておいしい理由
リノベーションされている物件の特徴は、古いことです。
築が古くなると、物件価格は下がります。
不動産業者は、築古物件を安価で仕入れ、フルリノベーションを行った後、新築と比べて割安感を出して販売します。
買主にとって、本当にこれがお得になるのでしょうか。
そもそも、築年数が全然違う築古と新築を内装だけで比較して、得だと判断して良いのでしょうか。
不動産業者にとっておいしい理由その1
物件の調達価格が低く抑えられることです。
前述の通り、リノベーションを検討する物件は、築が古いものになります。
築3年の物件にフルリノベーションはしません。
築20年前後またはそれ以上経過しているものになるでしょう。
仕入れ価格が安くなるということは、その分不動産業者が背負うリスクも低くなります。
また、築古物件のオーナーは弱気になっていることも多く、エリアや売主の状況によっては安く仕入れられます。
都心部では強気でも、少し微妙なエリアになると弱気な売主は増えます。
不動産業者にとっておいしい理由その2
リノベーション費用が安いことです。
リノベーションでの再販は繰り返し行われるため、不動産業者はリフォーム会社と普段から密接に関わりを持っています。
大量生産すれば費用が安価になることと同じです。
普段からリフォーム会社に仕事を発注していれば、付き合いも含めて値段が下がるのは当然のことです。
普通の人が飛び込みでリフォームをお願いする価格と比較すると、割安な価格でリフォームを済ませることができます。
不動産業者にとっておいしい理由その3
割安で仕上げた物件を高値で販売できることです。
ここが一番おいしいのです。
通常リノベーション物件を求める人は、ほとんどの場合、自分が住む目的で探します(実需と言います)。
このため、審査の極めて緩い住宅ローンが使えるのが最大のメリットです。
不動産業者にとっては、審査の緩いローンを活用することで、さらに売りやすくなるのです。
安価に仕入れた物件に対し、安価でリノベーションを行います。
そしてこの物件を、新築と比較して割安感を出して販売します。
実需の場合、自分が住みたいことが優先されるため、物件を気に入れば、条件が緩くなりがちです。
簡単にいうと、多少高くても買ってしまう傾向があるのです。
例えば、新築同様の内装で、新築よりも価格が1,500万円低ければ、それだけで既に魅力的にみえてしまったりするのです。
・ローンが通りやすい住宅ローンが使える
・買主は「資産性より自分の希望」を優先させる
という2点が、不動産業者として利益が出せるポイントなのです。
不動産業者の転売フロー
ここでは1つの例と共に、不動産業者が物件を転売する流れを見てみたいと思います。
【物件を仕入れる】
市場から物件を仕入れます。
仕入れ価格を安く済ませることで、転売時の利益が変わってくるため、不動産業者にとっては非常に重要な部分になります。
55㎡のマンション(築23年)を2,500万円で仕入れたとします。
【リノベーションする】
購入した物件に対して、フルリノベーションします。
フルリノベーションの相場が600万円のところ、それを400万程度で済ませたと仮定します。
この時点で、不動産業者が使った仕入金額の合計は、物件仕入れ価格である2,500万円+リフォーム代400万円の合計2,900万円になります。
リフォームを行う場合は、所有権を移転しているため、これに各種税金などの費用がかかります。
これを100万円と仮定すると、ここまでの合計は3,000万円です。
【販売する】
55㎡の新築マンション販売相場が、5,980万円であると仮定します。
販売時の営業トークで比較するは、この新築の価格です。
3,000万円で手直しした物件を、4,680万円で販売します。
新築と比較すると、1,300万円ほど安いフルリノベーション物件に魅力を感じる人は少なくないのです。
不動産業者からしてみれば、すごく儲かる販売手法なのです。
今回の物件が売れると、販売値である4,680万円 – 仕入れ値の合計である3,000万円 = 1,680万円が転売益になります。
売却を考えると損に気が付く
確かに購入時は割安に感じると思います。
毎月負担するローンの額も少なければ、魅力的に見えるでしょう。
しかし、一度住んでしまえば、それはただの中古です。
売却を検討する時は、競合する物件は、築23年の物件であることを忘れないでください。
フルリノベーションしても、築23年の物件は、築23年のままです。
リノベーション物件に住んで、15年経過したとします。
ここで売却を検討すると、築38年の物件を売るのと同じになります。
当初不動産業者は、築23年の物件を2,500万円で仕入れていました。
すると、売却価格の標準は、この2,500万円になります。
そこから15年経過しているため、売れる価格の相場が2,000万前後になっている可能性もあります。
しかし、これを4,680万円で購入してしまっています。
すると、ローンの残債が売れる価格を上回り、売ることはできないでしょう。
中古のリノベーションは、周辺相場と比べて極めて割高になっているため、売るに売れない可能性もあるのです。
買う前に、同じような築年数の物件がどのくらいの価格で売りに出されているのか、相場を確認してください。
それが売れると想定される価格になるのです。
勿論、かなりの都心部であれば、そもそも古くなって価格が落ちにくくなるので、リノベーションを買って、都会ライフを満喫し、売却するというライフスタイルは、買い値さえ間違えなければ良いかもしれません。
しかし、値下がり幅が大きそうな郊外では注意が必要です。
リノベーションはリノベーションでも、
・購入価格
・エリア
は大変重要です。
まとめ
「今」にしか着眼点の無い人が多すぎます。
今安く見えるから、ではなく、売るときのどうなるのか、売るときまでのことを考えて不動産の購入をしないと、失敗します。
高値掴みをするので、売るときにローンの残債が多くて売れません。
中古リノベーションマンションは、危険な代表例です。
該当物件を購入する場合は、必ず売値を意識して購入してください。
値下がり幅が少なそうであれば買う価値はあるでしょう。
値下がり幅が大きそうであれば、気を付けてください。