購入編

不動産は今が買い時なのか?~東京オリンピックとイールドギャップ~

オリンピックが終わったら価格が下がるから今は買い時ではない

とてもよく聞く言葉です。

確かに、不動産の価格は上下します。

しかし、そもそもですが、誰でも聞いて分かるようなことで、不動産価格は動くと思いますか?

不動産に限らず、投資はそんなに単純なものではありません。

どのような要因で不動産価格は上下するのでしょうか。

それは、オリンピックのようなイベントではなく、金融機関の融資姿勢で決まるのです。

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しかし、東京23区などでは、価格の上下幅も限定的です。

いきなり3割上がったり、3割下がったりはしません。

不動産の価格変動幅は、区分マンションの方が大きく、土地が価格の大半を占める1棟物件の場合は、区分マンションほどの変動幅はありません。

区分マンションの融資基準は大変緩く、この傾向は当面続きそうです。

よって、当記事では主に1棟物件を基準とします。

記事の内容を5分動画にしました。

↓ ↓ ↓ ↓

あなたは価格が落ちた時に買える人ですか?

価格は落ちると思うので、落ちたら買おうと思います!

よく聞きます。

しかし、価格が落ちた時、あなたは本当に不動産が買える人でしょうか。

まず、不動産の価格は、なぜ落ちるのでしょうか。

それは、買える人が減るからです。

では、なぜ買える人が減るのでしょうか。

それは、融資が厳しくなるからです。

融資が厳しくなるとは、簡単にいうと、お金を持っていない人に貸さないよ、ということです。

自分自身で多額の預貯金を持っている人にとっては、あまり関係のない話です。

銀行はお金持ちに優しいため、融資状況が全体的に厳しくても、お金持ちへの貸出はします。

不動産の価格が落ちるときは、フルローンで不動産を買うということができなくなる、ということです。

フルローンで不動産が買える時期は、物件価格の7%(諸費用分)ほどの自己資金があれば、買えたでしょう。

しかし、頭金は物件価格の20%は入れてください、と言われたらどうでしょうか。

物件価格に対して、頭金20%+諸費用7%で合計27%の自己資金が必要になります。

5,000万円の1棟物件で考えてみます。

フルローンが通った時期は、7%である350万円があれば買えました。

しかし、融資が厳しくなると、27%の自己資金が必要です。

すると、1,350万円出せないといけないのです。

頭金の割合が高くなると、現金を持っている人以外買えなくなってきます。

こうして、不動産の価格は少し下がるのです。

価格が下がったら買う!と言っている人は、手元に潤沢な資金がある人でしょうか?

東京23区であれば、2,000万円ほどは使える資金がないと、買える人には分類されません。

多くの人は、このことを理解していません。

不動産の価格と、必要になる自己資金は、反比例の関係にあります。

フルローンが通るときは、値段は高くなります。

多くの人が買えるからです。

しかし、頭金2,000万用意しなさい、と言われた瞬間、2,000万円以上の自己資金が使える人以外は、買える人になりません。

すると、購入対象者は減ります。

値段が下がったら買う!

と言う前に、値段が下がった時に、あなた自身がその時買えるレベルの属性なのかを今一度確かめた方が良いでしょう。

年収が高いではなく、どれだけ自己資金を持っているのかが鍵です。

不動産投資は、1にも2にも3にも自己資金が重要

インカムゲインの確保が最優先

不動産は、買える時に買っておく方が良いでしょう。

もちろん、ある程度の場所を、ある程度相場通り買うという意識は、必要です。

不動産業者の発言を鵜呑みにして、高値掴みをさせられていたら話になりません。

家賃からローンやその他費用・税金を引いた後に残るお金を、キャッシュフローと言います。

キャッシュフローが潤沢に確保できる物件であれば、どのような時期でも購入を検討する価値があります。

外側の価格は変動しますが、インカムゲインであるキャッシュフローは、大きく変わりません。

物件価格自体は、上がったり下がったりします。

インカムゲインがしっかりと確保できて入れば、価格の上下に一喜一憂する必要はありません。

下がっているときは、そのまま保有して入れば良いのです。

なぜなら、保有しているだけで十分なキャッシュフローを生むからです。

景気のトレンドが変わり、少し高い値段で売れそうなタイミングが来たら、売ればいいだけの話です。

保有期間中も、残債は減っています。

売ろうとするタイミングで、売値>残債になっていれば、そのまま売却できます。

区分マンションでは、フルローンではなかなか満足のいくキャッシュフローは出ませんが、1棟物件におけるキャッシュフロー確保は必須です。

物件の価格が多少高そうな時期であっても、融資の条件(頭金・金利・期間)が良ければ、おおいに検討する価値はあるのです。

勿論、現金1億円を持っているので、下がるのを待つ!という、多額の現金保有者はそのスタンスでも問題ありません。

しかし、そこまで潤沢な現金を持っていない人は、買えるときに良い条件で買っておくのは、決して悪いことではありません。

イールドギャップを意識する

イールドギャップとは、投資利回りと長期金利の差分を指します。

例えば、利回り7.5%で金利が2.5%であれば、7.5 – 2.5 = 5%がイールドギャップになります。

投資利回りに着目しがちですが、借入金利も大変重要です。

 

利回り7.5%の時期と、8.5%の時期では、8.5%の時期の方が、価格自体は安くなっています(利回りが高い = 値段が安い)。

しかし、金利が同じではありません。

ここがポイントです。

前述した通り、融資が厳しくなってくると、金利も上昇傾向になります。

【ケース1】

物件価格:7,000万

年間家賃:525万

利回り:7.5%

借入金利:2.2%

イールドギャップ:5.3%

必要自己資金:500万円

 

【ケース2】

物件価格:6,175万

年間家賃:525万

利回り:8.5%

借入金利:3.5%

イールドギャップ:5%

必要自己資金:1,700万円

ケース2の方が、価格は825万円安くなっています。

しかし、借入金利が高くなっているだけでなく、必要になる自己資金も3倍以上になっています。

不動産の価格が落ちる、という状況に陥ると、このような違いが出てくるのです。

勿論、あなた自身が、しっかりとした現金を持っており、必要自己資金が増えても買える人であれば、融資姿勢が厳しくなるのを待つ、というのも選択肢として浮上します。

しかし、そもそも現金に乏しい人は、その選択肢がありません。

価格が下がったときには、買えない人になっているからです。

イールドギャップの観点で見ても、値段が高い時期の方が良く、借入金利が低い分、返済速度も早まります。

価格が低いほうが、スタートで借りるお金も少なくなるため、この観点ではリスクが下がります。

しかし、返済速度が劣ることに加え、必要になる自己資金が増えます。

 

このような観点で見ると、利回りが高い時期が必ずしも正解ではないのです。

どちらの時期にも、メリット・デメリットがあります。

必要になる自己資金と金利のバランスまで見た上で、利回りを判断していかないとダメです。

自分自身の属性と照らし合わせて判断していく必要があるのです。

まとめ

不動産は価格が下がるから、下がったら買う!

こんな簡単にいくわけあると思いますか?

素人が見て、オリンピック後は値段が下がるから、下がったら買おう、などという単純なものではありません。

こんなに誰でも思いつくようなことで価格が動くのであれば、全員勝てます。

巷のYESは、プロのNOです。

まずは、自分自身が融資の厳しいタイミングで買えるだけの属性(年収と自己資金)を有しているのか、ということにポイントを当ててください。

私は年収も高いし、頭金も5,000万くらいは用意できる!

と言う人は、価格の上下について語る価値のある人です。

しかし、自己資金は500万しかありません、という人であれば、価格の上下を語る前に、やるべきことがあります。

自分は買える人なのか、今一度自己分析してみてください。

不動産は買える時に買っておく、という考え方も成立するのです。