最近は不動産の価格に関する情報が、ある程度可視化されてきました。
インターネット上に存在するデータをベースに、各社が価格を分析するようなサイトを作成しています。
マンションNavi
マンションマーケット
などが良い例です。
価格をデータから算出できるのは、区分マンションに限るので、区分マンションの価格予想サイトが激増しています。
1棟物件は、近隣をチェックしたところで、土地の形状や接道、物件の構造や前面路線価など、価格変動要因が多岐に渡るので、適正価格を算出するのは困難です。
このため、1棟では販売事例から論理的に参考査定価格を計算できないため、取り扱いがありません。
区分マンションの場合は、1棟とは違い、シンプルであるため、データを使って参考査定価格が算出できるとしてスタートされました。
しかし、精度がイマイチなだけではなく、実勢価格を知った上で比較する必要があります(以下記事参照)。
実勢価格を知らないで計算してしまうと、不動産業者の出す物件よりも、常にインターネットに掲載されている参考査定価格が低く出ます。

また、参考価格はあくまで参考価格であるため、掲載サイトの価格算出アルゴリズムに依存します。
確実なものではなく、あくまで参考程度、として使うことをお勧めします。
参考査定価格サイトの目的とは?
参考査定価格を無料で出すようなサイトの目的をご存知でしょうか。
目的は、サイトへの会員登録です。
登録したデータを売却したり、登録したデータに対してアプローチをしたりと、データがあれば活用方法は無限大です。
ましてや、この手の参考査定価格サイトに登録する人は、まず間違いなく不動産の売買に興味を持っていると考えて良いでしょう。
すると、不動産に興味のある人リストを獲得することができるのです。
集めたリストは、不動産業者に販売することもできますし、セミナー勧誘のメールを送ったりすることもできるようになります。
リスト集めの入り口となっています。
これらのリストは、販売されています。
不動産業者に1件2,000円で販売できたりするのです。
同じリストを10の不動産業者に販売すれば、20,000円です。
中には、登録顧客を不動産業者に流し、成約時にキックバックを受けているケースもあるでしょう。
このように、登録させることを目的に作られているものが多いのです。
故に、不動産の実際の相場を反映するためのアルゴリズムを一生懸命作成している、とは言い難いのです。
買い手が探す情報であれば安く出しておき、売りたい人が多そうな種別の物件であれば高く出しておく、という具合です。
目的は、サイトへの会員登録なので、査定価格の鵜呑みは厳禁です。
参考査定価格と売買履歴がアテにならない理由

参考査定価格は、あくまで参考値です。
特に区分マンションは、ボラティリティが大きく(価格の上下)、今の相場を算出するために、5年前のデータは使えない、ということになります。
例えば、大和証券グループ本社の株価が、2020年1月時点で500円だったとします。
5年前に1,000円だったとしても、それは今の相場計算する上では一切役に立ちません。
参考査定価格では、過去に取ったデータをベースに、加重平均して計算するケースもあります。
上記の例では、少し極端ですが、参考査定価格で750円となるわけです。
相場は生き物であるため、「今」が重要で、過去は関係ありません。
過去の株価が2,000円でも、今が500円であれば、相場は500円として算出されるべきです。
各価格査定サイトで異なるアルゴリズムが適用されているため、このあたりの精度がバラバラです。
売買履歴に関しても同様です。
必ずしも記載されている金額で売りに出ていたという保証はどこにもありません。
「いやいやこの値段はないでしょ」と思えるほど安い売買履歴も散見します。
前述した通り、参考値を出すサイトの目的は、顧客リストの獲得です。
まとめ
インターネット上で見える情報は、あくまで参考程度です。
勿論、最低限価格のチェックを行うことは大切です。
しかし、物件の商流を理解し、実勢価格で比較しないと、比較になりません。
ザックリですが、インターネット上に掲載されている物件価格と、不動産業者の物件価格の差額が、10%~20%未満であれば、検討の余地はあるかもしれません。
しかし、それ以上大きく開く場合は、どちらかの価格が適正でない(多くの場合は不動産業者の物件が高すぎる)可能性があるので、注意が必要です。
インターネット上の参考価格が2,000万円に対し、不動産業者の提示する物件が2,800万円であれば、それは疑いの余地が多いにある、ということになります。
