管理費と修繕積立金は、それぞれどのように使われるのでしょうか。
マンションの管理費と修繕積立金は、所有者が必ず支払うべき費用です。
修繕積立金には、特に注意が必要です。
管理費
区分マンションの管理費は、マンション全体を管理していくために必要な費用です。
マンション全体でかかる管理費用を、マンション全体の平米数で割って計算します。
ちなみに・・・賃貸管理手数料とは、全く別物です。
賃貸管理手数料とは、オーナーの物件を管理している管理会社(家賃の振り込みや入居者の募集、クレーム対応など)に支払う手数料です。
【例えば】
マンション全体の月額管理費:30万円
マンションの総戸数:30戸(全戸数の専有面積は20㎡)
毎月かかるマンション全体の管理費30万円を、マンションの総専有面積である600㎡(30戸×20㎡)で割ります。
すると、1㎡あたりの管理費は、500円になります。
専有面積が20㎡の部屋であれば、20㎡×500円で、1万円になるのです。
総戸数の少ないマンション(例えば20戸以下など)では、管理費が割高になる傾向があるため、注意が必要です。
マンションの管理費には、主に次のような費用が含まれています。
・管理人の費用
・清掃業務における費用
・各種設備点検を行う費用
・エレベーターの保守費用
管理費が高いな!
と思っても、管理費を削減することはできないと思っておくべきです。
管理費はマンション全体の話です。
個人レベルでどうこう言ったところで、簡単に変わるものではありません。
マンションを選択する時は、必ず確認してください。
このマンション安いじゃん!
と思っても、管理費が高額であれば、毎月の支払いは増えます。
ローンの支払額だけではなく、管理費と修繕積立金も加味してください。
修繕積立金
修繕積立金は、マンションを維持するための費用だと考えてください。
マンションの寿命に直接関係がある大切な費用です。
建物を維持するためには、定期的に修繕行為が必要であり、その資金となります。
修繕積立金は、次のように計算されます。
【例えば】
総戸数20戸のマンションを維持するためには、30年間で3,000万円の修繕費が必要であるとします。
3,000万円を、毎月の金額で計算し直します。
3,000万円÷30年(360カ月) = 約83,000円
になります。
このマンションを綺麗に維持するためには、毎月約83,000円を積み立てる必要があるのです。
総戸数20戸のマンション全体で、約83,000円が必要になる計算です。
83,000円を、総戸数で割ります(正確には専有面積で異なりますが、簡素化します)。
すると、1戸あたり約4,100円になりました(83,000円÷20戸)。
1戸あたり、毎月4,100円を支払えば、計画通りマンションを維持するだけの修繕積立金を確保することができるのです。
修繕積立金には、2つの注意点があります。
注意点1:新築時の修繕積立金は意図的に少額で設定されている
新築マンションでは、修繕積立金が、意図的に低く設定されています。
築浅のマンションも同様です。
管理費と修繕積立金は、毎月必ずかかる費用であり、支出です。
支出は少ない方がいいため、少なく見せる工夫の一環として、修繕積立金を低くしています。
支出を少なく見せることで、購入者側の負担を少なくしているのです。
しかし、修繕積立金を意図的に低く設定している以上、追々影響が出てきます。
予め必要な修繕費の合計は、長期修繕計画という計画で定められています。
それにも関わらず、修繕積立金は低く設定されているため、新築または築浅の物件で設定されている修繕積立金はアテになりません。
修繕積立金が、毎月3,000円以下であれば、注意が必要。
毎月3,000円以下の修繕積立金は、安すぎます。
今後値上がる可能性が高く、そこまで加味してマンションを購入する必要があります。
注意点2:修繕積立金は築年数とともに上がっていく
先ほどの例では、マンションを綺麗に維持していくためには、1戸あたり毎月4,100円の修繕積立金が必要でした。
それでは、新築時の修繕積立金が、本来必要な4,100円の半額である2,050円に設定されていたとしたら、どうなるのでしょうか。
【例えば】
新築から築15年までの15年間は、毎月の修繕積立金が2,050円で運用されていたとします。
このマンションはその後どうなるのでしょうか。
築16年目から、毎月の修繕積立金を、6,150円に改定しないとやっていけなくなります。
なぜ6,150円なのでしょうか。
本来は、30年間毎月4,100円徴収しないと、マンション全体でかかる修繕費である3,000万円に到達しません。
しかし、15年間は、本来徴収すべき費用の半額である、2,050円しか徴収していませんでした。
すると、明らかに修繕積立金不足になります。修繕積立金の不足をどのように補うのでしょうか。
1戸あたりの修繕積立金を増額することで不足をカバーします。
最初の15年間は、本来よりも2,050円安かったので、後半の15年は、本来よりも2,050円高くする必要があります。それにより不足を補うのです。
本来徴収すべき毎月の修繕積立金は、4,050円でした。そこに、不足分の2,050円が加算されます。すると、6,150円になります。
こうすることにより、従来30年で3,000万円必要とされていた修繕積立金を積み立てることができるのです。
まとめ
区分マンションは、定められた管理費と修繕積立金を支払う義務があります。
管理費は低いほうが望ましいです。
勿論、しっかりと管理業務をしていることが前提です。
しかし、修繕積立金は違います。
修繕積立金の低い物件は、「今後修繕積立金が上がる」と理解しておいてください。
新築物件の収支を少しでもよくみせるため、修繕積立金は意図的に低く設定されていますが、そのツケが、築年数の経過とともにやってくるのです。
修繕積立金が3,000円以下の物件に遭遇したら、「長期修繕計画」の提示を不動産業者に求めてください。それを見ると、修繕積立金がどの程度不足していくのかわかります。